日東電工はスマートフォンや液晶テレビのフィルム材などを手掛ける化学素材系メーカーです。2018年に入って株価が下落傾向にあり、これは買い時ではないかと思い同社の株価推移と直近の決算等を確認し、今後の株価等を予想したいと思います。
同社の株価は2017年末に一時1万2千円に届こうかというところだったのですが、2018年に入って加速する円高等を背景に現在は8千円を切る水準となっており、押し目買いのチャンス到来かと、現在購入を検討しています。
—–2018年10月7日追記———-
5月に同社の株を購入し、継続保有中です。
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日東電工(Nitto)ってどんな会社
創業は1918年、電気絶縁材料の国産化を目的に日東電気工業株式会社として設立され、今年はちょうど創業100周年にあたるそうです。
最近はユニークなCMが多く放送されており、そこで使われている「Nitto」の呼び名の方が有名かもしれません。
主軸事業はインダストリアルテープとオプトロニクスです。身近にあるところでは掃除に使うコロコロだったり、スマホのフィルムなどがあります。
また、今はまだ全体に対する比率は多くないですが、核酸医薬を用いた創薬ビジネスも手掛けており、医療分野を伸ばしていこうとしています。
同社は高い技術力を活かし、幅広くニッチな分野のトップシェアを目指すというグローバルニッチトップという事業戦略を掲げ、実際に世界シェア首位の製品を多数保有しています。
売上高は8千億円規模で日経225にも採用されており、その売上げの海外比率は7割を越え、3万人の関係従業員の実に7割が海外勤務しています。
間違いなく一流のグローバル企業の一つと言えるでしょう。
日東電工の株価推移
日東電工の直近6ヶ月の株価推移をマネックスより引用します。2017年の10月末の第2四半期決算をきっかけに1万2千円に迫る勢いでしたが、その後もみあいながら下落、2月に入り大幅な円高&株安の流れの中、一時7500円まで急落しています。
たった3ヶ月ちょっとで120万が75万、、笑えないですね。。
一方で、10年スパンの株価推移です。ギャンブル好きの僕にはすごく、すごくそそられる形をしています。
なお、同社をはじめ化学系の銘柄の株価は為替との連動性が高く、株価は円安が進めば上がり、円高が進むと下がるという傾向があります。
為替は本当に分かりませんが、米国の金利が上がる中、円安に進むと予想するため、今は良いタイミングではないかと思っています。
日東電工の業績推移
次に業績の推移を見ていきたいと思います。下図はマネックスからの引用です。
売上高はここ数年横ばいですが、今期の営業利益は過去最大となる見込みです。
日東電工の決算を確認
同社の決算資料を下の表にまとめました。この中で特に注目したいのは1株当たり純利益(EPS)です。
EPSは純利益を発行済み株式数で割って算出しますが、600円(予測)というのは全ての上場企業のTOP50くらいにあたり、同業他社よりかなり良い数字です。
非常に効率良く株主資本から利益を生み出している会社とみることができます。
7,000円台というこの株価水準のままだとPERも10倍台前半と割安であり、やはり円高懸念により売られ過ぎているように思うため、株価は戻ってくると予想します。
—–2018年10月7日追記修正———-
2018年の第一四半期決算の内容で下表を修正しました。
通年の予測は据え置かれていますが、前回の第一四半期の進捗率は昨年度に比べ少し低調に推移したようです。同社の主力であるスマホ向けのフィルムなどが半導体需要とともに減退した影響を受けているようです。
フィルム製品をはじめとするオプトロニクスは同社の中でもかなり利益率の良い製品群ですので、スマホ市場が減退となると同社の通年の利益に影響大です。
このあたりに注意して次の決算等を確認していきたいと思います。これらが想定以上のインパクトを与えない限りは僕は当面ホールドしたいと考えています。
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2018年3月期実績 | 2019年予測 | |
売上高(百万) | 856,262 | 860,000 |
経常利益(百万) | 126,168 | 135,000 |
純利益(百万) | 87,377 | 100,000 |
1株当たり純利益 | 538.99 | 636.37 |
PER | 15.87倍 | 13.86倍 |
ROE | 13.00% | |
1株当たり純資産 | 4,328.50 | |
自己資本比率 | 73.90% |
なお、同社は好調な業績を背景に配当も年々増加しており、今年度は180円を見込んでいます。配当利回りは2%程度で同業他社よりも高い水準です。
配当性向は20%台ですので、無理して配当金を捻出しているという状況ではないのでこれは安心材料です。
気になる自社株買い
最後に一つ気になる点です。同社は1/31の第3四半期決算発表と同時に自社株買いを発表しています。その規模は発行済み株式の3.45%、金額で500億円相当になります。
一般的に自社株買いの目的は、敵対買収対策だったり、株価の下支えやPERを低下させるという株主還元を目的としており、同社の決算資料でも株主還元の一環だとしています。
これに対し僕はROEを上げるのが主目的じゃないかと思っています。自社株買いを行うことにより、自己資本が減るため、純利益÷自己資本で求められるROEの数値は改善されることになります。
同社のROEは優良とされる10%ちょうどくらいであり、これにより確実に10%を上回ろうという意図があるように思いました。もしかしてこれをしないとROEが10%切るかもしれない(=純利益が予想より下回る)のか、と勘ぐってしまいました。
同社の総資産9千億弱に対し自己資本は6千5百億くらいあり、自己資本比率は70%を越えていますし、現金等剰余金も500億の自社株買いに十分ですので、特に経営に悪影響を与えるとは思えませんが、この発表の後株価が反応しなかったことも気になります。
—–2018年10月7日追記———-
2018年8月1日付けのIR資料で自己株式取得完了が発表されました。
ROEは13%と非情に優秀で、上で書いた僕の懸念は杞憂だったようです。
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まとめ
今日の記事を書くにあたり同社のHPでIR資料を隅から隅まで見ましたが、僕はこの会社好きですね。確かな技術に裏打ちされたグローバル戦略に好感を持ちます。
業績も好調ですし、7千円台の株価水準に止まる銘柄ではないと判断し、僕は株価は上がると予想します。
是非長期で株を保有したいですが、金額が大きいですし、本決算発表を4/27に控えているため、購入はその結果を見てからとします。利益が予想を下回ればさらに売り込まれるかもしれないからです。
また、いろいろ調べていて気付いたのですが、日東電工に限らず、クラレ(3405)や東ソー(4042)、三菱ケミカルホールディングス(4188)など、33業種の化学業種に分類される銘柄は年末から大きく売られ続けています。
これらも業績は過去最高益に関わらず、株価は急落し1年前と同じくらいの水準になっています。化学分野は日本が世界に誇る技術優位を保った業種であり、今後の成長も期待できるため、狙い目ではないかと思います。
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