大和ハウス工業【1925】の株価は今後も上がるのか|業績好調の理由の分析と今後を予想

大和ハウス工業(1925)は業績も好調で株価も堅調です。僕は同社の株を買おうかどうか悩んでいるため、今日は同社の決算資料等から業績を確認し、今後の株価を予想してみたいと思います。

大和ハウスといえば個性的なCMで有名ですね。

竹野内豊さんが登場する屋根の高い家や、上野樹里さんが新婚夫婦を演じるD-roomのCMはみなさん目にしたことがあると思います。

そんな大和ハウスですが、業績も絶好調で株価も長期的に見て右肩上がりです。

同社の過去10年の株価推移をマネックスから引用します。

2019年2月現在ですが、すごくいいチャートの形をしていると思いませんか?

昨年は8月の第2四半期決算発表で業績がIFISコンセンサスに届かなかったという理由で株価が急落しましたが、日本株全体が不調だった年の後半は多くの企業が株価を下落するなか崩れることなく力強い値動きでした。

僕は大和ハウスの株を買うかどうか悩んでいて、今日は同社のIR資料から業績や決算資料を見ていきながら投資対象として分析してみた結果をお伝えします。

業績の確認

まずは同社のIR資料から過去の業績推移を引用します。

過去10年にわたり売上げ、利益ともきれいな右肩上がりです。

売上高は10年前の倍以上、さらに今年度も売上高・営業利益については過去最高の見通しで、売上高は4兆円を見込んでいます。

4兆円というのは日本の企業全体のTOP30くらいに位置します。

建設業というくくりで見ると大手ゼネコン4社(鹿島、大成、清水、大林組)が2兆円弱ですので、いかにその売上げが大きいかが分かります。

利益を牽引しているのは賃貸住宅、事業施設、商業施設

同じく同社のIR資料から事業セグメント別売上高・営業利益構成比を引用します。

ここから分かることとして、利益に大きく貢献しているのは賃貸住宅、事業施設、商業施設の3つであるということです。

この3事業で利益全体の80%を叩き出しています。

賃貸事業はもともと強くはなかったのですが、セキュリティ強化を差別化としたD-roomブランドが広く認知され、他社のシェアを奪う形で伸びています。

事業施設では、Amazonに代表されるように近年はBtoCのEコマースビジネスが隆盛ですので、倉庫ビジネスや物流ビジネスなどを展開しています。

商業施設では大規模都市開発を請け負い、中堅ゼネコンのフジタを子会社化し、同社の強みを生かした複合的な事業展開はシナジー効果も生み出しかなりの効果が出ています。

もともとの主軸事業から事業をうまく多角化し、それが利益に結びついています。

これは素直に、素晴らしい経営だ、と思います。

戸建住宅、マンションは苦戦

一方で僕たちに一番馴染みの深い戸建住宅、マンション事業は利益という観点では苦戦を強いられています。

戸建住宅は竹野内豊さんを起用したxevoΣシリーズを展開していますが、ライバルとの競争も激しいことが想定されますし、材料費や人件費の高騰なども影響しているでしょう。

マンション事業は現在の超低金利の中、首都圏のタワーマンションなど需要は引き続き堅調ですが、土地代も高騰している影響か、利益という観点での貢献は低めです。

積極的な海外展開

同社は中期経営計画で海外への展開を活発化し、設備投資も増強しています。

日本の建設、建築技術は世界一です。これは間違いないと思います。

今後は海外展開がいかに利益に結びつくかを特に注目する必要があると考えます。

事業の多角化|ロボット事業へも進出

同社は事業の多角化に積極的で、床下点検ロボット「モーグル」の開発・販売でCYBERDYNE(7779)と提携しています。

出典:同社HP

これによりリフォームなどの住宅ストック事業の付加価値を高める狙いでしょう。

ロボット事業以外にもゴルフ場やスポーツジムなどにも参入しています。

僕はゴルフ場などの本業とあまり関係のない事業拡大は好きじゃないのですが、これらは同社の事業規模からすれば微々たるものですので問題ないでしょう。

次のビジネスチャンスを探すための試金石ということだと思います。

決算資料の確認

ここまででかなり魅力的な企業に思えますが、次に定量的な数字で見て行きたいと思います。

下の表は昨年度の決算資料から作成しました。右は比較のため同業ライバルの積水ハウスのものです。

2017年度 大和ハウス工業 積水ハウス 単位
 売上高 3,795,992 2,159,363 百万円
 経常利益 344,593 203,678 百万円
 ROE 17.0 11.6
 1株利益 356 193
 配当利回り 2.6 3.9
 PER 11.6 10.4
 自己資本比率 36.5 49.4

 

売上規模は積水ハウスの倍あるのですね。今日は深く調べてませんが積水ハウスの各数字も悪くなさそうですね。

利益率(ROE)は優秀

まず目に付いたのは利益率(ROE)の高さです。

日本企業は一般的にROEが10%もあれば優秀とされるなか同社は17%です。株主資本を効率的に利益に結び付けていることが分かります。

株価は割安

割安性を示すとされるPERは現在の株価3,500円くらいからすると10倍程度です。

日本企業の平均値は15倍程度とされていますので、これは割安であることが分かります。

ただし建設業は全体的にPERが低めですので、割安性だけを見た投資は危険です。

配当利回りは良い

配当金は今年度は110円ということで、配当利回りは3%弱と、日本企業にしては高いですね。

株主優待が1,000円分の優待券ということなので、現在の株価であれば35万の投資に対して毎年1万2千円バックされることになります。

設備投資に積極的だが財務は健全

同社はこれだけ売上げを伸ばしているだけあって、かなり設備投資をしています。中期経営計画では総額1兆円とありました。

【ライザップ(2928)】が連日のストップ安でも書いたように身の丈に合わない投資は経営を悪化させますが、同社に関しては営業キャッシュフローが投資キャッシュフローより多いですので問題はないでしょう。

自己資本比率も高く、急に経営が立ち行かなくなるような心配はありません。

株価の今後を予想


大和ハウス工業の業績は非常に良いですし、事業を取り巻く環境も悪くないと思っています。

東京オリンピックなどに向けた潤沢な工事受注もあるでしょうし、今後も売上、利益の上乗せが期待できるんじゃないかと思います。

ただ、以下の理由で僕は株を買うのは見送りたいと思います。

気になる原価比率

これは同社に限ったことではありませんが、建設業種は原価比率が高めです。

特にゼネコン系は売上高の9割が原価だったりします。

同社はここまでいきませんが、それでも8割を原価が占めています。上でも少し触れましたが、材料費は高騰していますし、働き方改革の影響もあり人件費も上がっています。

これらがさらに悪化すれば利益に直撃する懸念があります。

五輪後が心配

やはり東京オリンピック後の新規受注の減少が心配です。

株価は将来を先取りしますので、どこまで今の株価に織り込まれているかは分かりませんが、投資家にとって不安材料であることは間違いありません

不動産はバブル状態だと思う

少子高齢化が進む日本でこれだけマンション価格が高騰し続ける理由が僕にはどうしても理解ができません。

価格は需要と供給のバランスで決まるものなので、その価格は正しいのだとは思います。

それでもいつかは天井を打つ時がきます。同社はマンション事業の比率は低いのですが、これも僕が株を買うのをためらう理由の1つです。

まとめ

今日は大和ハウス工業の過去の業績や決算資料などを調べた内容をお伝えしました。

同社のIR資料も読み漁りましたが、実績が示すとおり事業は堅調に拡大していますし、将来ビジョンも明確で非常に魅力的な会社だと思います。

創業者のマインドが受け継がれていて、攻めの姿勢をビンビン感じます。

僕はこういう会社が好きですが、上で書いた懸念が怖いので株を買うのはもう少しタイミングをみたいと思います。

第三四半期決算も近いですので、決算が悪ければ株価急落のリスクがあります。

ただ、もしも業績が良いのにもかかわらずコンセンサス予想を下回ったとかいう理由で売り込まれるようなことがあれば押し目買いしてみようかなと考えています。