【ライザップ(2928)】が連日のストップ安|決算の確認と株価が戻るのかを予想

 RIZAP(ライザップ)グループ(2928)の株価が2日連続のストップ安となりました。タイミング的に決算の失望売りであることは間違いなさそうです。今日はRIZAPの決算内容を紐解き株価急落の原因を分析するとともに、今後の株価の行方を僕なりに予想してみます。

 やっぱりか、正直な感想はこのひとことにつきます。僕はRIZAP株は危険な匂いがすると注目していました。

 かの有名なCMで人気に火がつき、2017年は飛ぶ鳥落とす勢いで株価が急騰していましたが、2018年に入り株価はピークの1/5以下に下がっています。ここにきてさらに2日連続のストップ安です。

 僕は同社にネガティブな印象を持っているのでこれを押し目だと同社の株を買う気は毛頭ありませんが、株価急落の要因と今後の見通しについて考えてみたいと思います。

同社HPより引用

株価急落の要因

 多くの報道で概ね以下のようなことが指摘されていました。

 RIZAPの四半期決算発表において赤字に転落するとの業績見通しが公表され、拡大路線に急ブレーキがかかり「結果にコミット」できないとみた投資家から失望売りが出た。

 このとおりだと思いますが、僕は問題はもっと根深いと思っています。

 定量的な数字を決算資料で確認していきましょう。

RIZAPの決算を確認

 直近の決算資料だけを確認したのでは分析に足りませんので、昨年度の本決算資料、今年度の第一四半期の決算資料も合わせて紐解き、ポイントとなりそうな部分を整理しました。数字は過去と比較することで違った景色が見えてきます。

通期業績の下方修正

 まずは通期業績に対する会社実績と予想です。

 前の決算では当初の計画とおりとしていましたが、今回の決算で通期の業績を下方修正しています。直接的にはこれが要因で投資家が嫌気し、ストップ安まで売りこまれたということでしょう。

 

前期実績
今期会社予想
1/4Q時 2/4Q時
売上高(百万) 136,201 250,000 230,900
経常利益(百万) 12,047 21,100 △4,900
純利益(百万) 9,250 15,940 △7,000
1株当たり利益 36.3円 29.2円 △12.8円

 

 通期として70億の赤字を見込むとしました。

 前回の見通しでは160億の黒字でしたので、たったこの3ヶ月で230億下振れしたということになります。ちょっとどういう経営してるんですかという感じですね。

 なお、売上高が昨年度を大幅に上回るのは当たり前です。同社は企業買収(M&A)によりグループを拡大していますので、その企業の売上げも上乗せされるからです。見るべきは利益です。

 ちなみに同社は売上高といわずに売上収益という表現を使っています。僕が今までみた決算資料ではみない表現でした。このあたりにも作為的なものを感じずにはいられません。

財務状態の確認

 続いて同社のバランスシートから財務状況をみていきます。決算資料からまとめました。

 バランスシート(B/S)とはその名のとおり資産と負債、純資産のバランスをみて企業の健全性を図る指標です。

 

(百万)
バランスシート(第2四半期)
資産 負債及び資本
流動資産 141,167 85,780 流動負債
固定資産 61,117 49,644 非流動負債
66,860 純資産
合計 202,285 202,285 合計

 

 これだけをぱっと見ると、純資産が固定資産以上あり、健全な財務状態に見えます

 バランスシートは特に過去との比較が大切だと考えています。前回決算は割愛しますが、今回の決算では純資産が増加するとともに、内訳が大きく変化しています。

 純資産の増加の要因はおそらく6月頃の新株発行によるものです。一方で本業のもうけからくる利益剰余金は前回決算から比べて半分になっています。

 この状態を健全とはいえないでしょう。財務体質の急速な悪化が懸念されます。

 同社はM&Aの原則凍結を公表しましたので、これからは増資も厳しいでしょう。新株発行の発表と同時にCOOとして迎えられた敏腕経営者の松本氏も成長拡大路線との決別を公表しています。

 ここでも同社は他社が純資産というところを資本と表現しています。決算書を読みづらいので統一してほしいです。

キャッシュフロー

 決算資料の確認の最後にキャッシュフロー(CF)を見ていきます。

(百万)
2018本決算時
今期
1/4Q実績 2/4Q実績
営業活動によるCF 87 △4,714 △7,616
投資活動によるCF △3,495 △3,075 △8,764
財務活動によるCF 22,725 24,023 29,945

 

 営業CFは本業のもうけを示します。赤字が拡大していることが分かります。

 また、投資CFは企業買収などによりマイナスでも構わないのですが、RIZAPはちょっと大きすぎますね。後で触れますが相当数の会社を買収(M&A)したからです。

 健全な企業であればフリーCF(営業CFと投資CFの和)がプラスになります。

 財務CFは事業拡大のための銀行からの借金やその返済などを示しますが、同社の財務CFはほぼ新株発行による収入です。

 新株発行がなければ財務CFもマイナスでした。

 えっ、この状態かなりまずくないですか。

 新株発行して取得したお金は事業拡大、成長投資に使うと普通は思いますが、上の方で示した財務バランスやキャッシュフローを良くみせるための苦肉の策だったんじゃないかと疑いたくなります。

 しかも同社はM&Aを原則凍結すると発表しています。新株で取得したお金は何に使うのでしょうか。

 やばい予感しかしません。

RIZAPの経営不振の要因は?積極的な買収(M&A)が裏目に

 僕はRIZAPの今の状況は楽観視できるものではないと考えています。

 経営不振の要因はやはり事業の多角化が上手くいっていないことです。

買収したグループ企業の業績不振

 RIZAPグループは積極的な企業買収、M&Aにより事業を急拡大してきました。

 同社の展開する「美容、ヘルスケア」「ライフスタイル」「プラットフォーム」の3つの事業セグメントで主要なグループ企業の一部をまとめてみました。

事業分野 会社名 備考
美容・ヘルスケア
RIZAP
RIZAPイノベーションズ
湘南ベルマーレ
MRKホールディングス 補正下着等
SDエンターテイメント アミューズメント
ジーンズメイト
ライフスタイル
夢展望 ファッション通販
堀田丸正 婦人用品等
イデアインターナショナル インテリア
タツミプランニング 注文住宅・メガソーラー
プラットフォーム
ワンダーコーポレーション 複合エンターテイメント
ぱど フリーペーパー
サンケイリビング新聞社
日本文芸社 雑誌

 

 

 はっきり言ってもはや何を事業の主軸としている会社なのか分かりません

 これら買収した企業はいずれも、お世辞にも業績が良かった企業とは言えず、これらの事業の立て直しが遅れており赤字を垂れ流しているのが上記の経営悪化につながっています。

 とうとう2018年にはサッカーチームまで買ってしまいました。僕はこういう発想が嫌いで、ZOZOの前澤社長がプロ野球球団を持ちたいというニュースを聞いた瞬間持っていたZOZO株を売りました。

 ソフトバンクや楽天のように成功例もあるのでダメだとは思いませんが、RIZAPもZOZOもそれに相応しい企業にまだなってないというか、格不足、という印象を持っています。

 話がそれました。

 本来の買収(M&A)は相互の事業シナジーを目的とするのが一般的です。

 例えばA社のサービスをB社の販路を活かして販売したり、A社の製品に必要な部品を製造するB社から安定供給を受けるなど、相互の利害が一致してシナジー効果を生むという感じです。

 上の企業群をみると、ただの無謀な多角化戦略にみえてなりません。

 細部は触れませんが今年度も「負ののれん」による特別利益が計上されるでしょうが、本質的にこれら企業の業績が改善しないことには立ち行かなくなっていきます。

 ただ、それが簡単に成功するなら企業買収を本業とする投資会社の立つ瀬はありません

これからの事業展開はどうなる

 M&A凍結からも分かるように事業の選択と集中を進めることになるだろうと思います。

 ただし、不採算事業を切り離すといっても簡単ではありません。

 結婚と同じで別れる時の方が高くつきますので、事業を切り離すにしても今まで本業で稼いで蓄えた利益をかなり吐き出さざるを得ないと思います。

今後のRIZAPの株価を予想

 株価推移を確認し、今後を予想したいと思います。

RIZAPの株価推移

 ここ2年の株価推移をマネックスより引用します。下図のとおり2017年に大相場を演じ、2018年に入り急落しています。

 今回の決算でストップ安ですが、すでに市場は大分前から手を引き始めていたのが分かります。

今後の株価を予想

 ここまでいろいろ調べてみましたが、同社の株価が急落した原因は根深く、短期的に解決できるような問題ではないと考えています。

 突発的な特損などによるものであれば、戻ってきてもおかしくないと思いますが、この状況では株価が戻ることを期待するのは難しい、押し目というのとは違うかな、というのが僕の予想です。

 株価は上がったら下がるもの、下がったら上がるものですので、もちろん上がっても不思議ではないですが、長期投資を基本とする僕には怖くて手が出せない銘柄です。

まとめ

 今日はRIZAPの株価急落の原因を決算資料から分析するとともに今後の見通しについて考えてみました。

 僕は今もこれからも買うべき銘柄ではないと考えています。

 ながながと書きましたが、理由はシンプルです。僕は投資歴も浅いただのエンジニアですので難しくは考えられません。

 RIZAPはもうスポーツジムの会社ではなくなっていて、買収した事業分野でも利益を出していかないといけないわけですが、ノウハウも何もない事業を切り盛りしていく手腕がRIZAPにあるはずがないと思うからです。

 これができたらそれぞれの分野を生業としている他の事業者は何をしてたんだ、ということになります。

 最初はRIZAPゴルフやRIZAP英会話というように、RIZAPブランドの威光で瞬間的に会員数は増加したでしょうが、消費者はそんなに甘くはありません。これからも更にメッキが剥げ落ちてくるでしょう。

 東証1部上場の噂もありましたが、しばらくは叶わないのではないかと思います。そんな程度で話が済めば良いですが。

おまけ

 僕自身は瀬戸社長もある意味被害者ではないかと思っています。

 業績の悪い会社を買うのはまわりが言うように「負ののれん」による特別利益の目的もあったとは思いますが、その企業の救済の意味もあります。

 ただ、そこを周りにつけ込まれたんじゃないかと思えて仕方ありません。

 今回のRIZAPの株価急落をみて、昔読んだ小説「アキラとあきら」に登場するバブルに踊らされたアキラの叔父達を彷彿としました。彼らも周りにおどらされ身の丈に合わない事業拡大で痛い目をみました。

 「こんなはずじゃなかった。」

 といっても後戻りはできないので、僕は株を買うことはできませんが、是非瀬戸社長には踏ん張ってRIZAP再建を果たしてほしいと願っています。