そろそろロボアドの運用実績公開に振り回されるのやめませんか|評判のウェルスナビのメリット・デメリットを分析

近年は投資商品も増えてきていて一体どれを買ったらいいんだと感じられる方が多いと思います。一方で投資そのものに興味はないし、仕事が忙しくて投資を勉強する時間なんて無いという方も多いでしょう。僕もそうでした。投資に正解なんてありませんが、ウェルスナビはほったらかし投資の最適解に近い商品じゃないかと注目しています。

今日は僕も気になっているロボットアドバイザーについてお伝えしたいと思います。

一番有名なのは沢村一樹さんがCMに出演しているウェルスナビじゃないでしょうか。

かなり知名度が上がってきている印象で、例えば「ウェルスナビ、評判」などで検索すると、運用実績を公開している個人ブログを多く目にします。

一方で、実際にどういった運用をしているのかへの言及が少ない気がしていますので、今日はロボットアドバイザーの運用の実態を、リスクやデメリットなどにも触れつつお伝えしていきます。

ウェルスナビの特徴

ロボットアドバイザーの運用というとどういったものを想像されるでしょうか。

たくさんのパソコンやサーバーが並んだ部屋があって、AIを使った株の高速取引きをしているようなイメージを持っている方もいらっしゃるかもしれません。

実際はそんなことはしておらず、長期投資を前提とした投資理論に基づき、複数の資産クラスのETFへの投資をしています。

個人個人の許容するリスクに応じて資産の配分を変化させ、さらにはそれを自動的にリバランスしてくれるという機能付きです。

積立設定もできますので、投資について深く考えてる暇がない、ほったらかしにしたい人に適した商品といえるでしょう。

ウェルスナビの運用実績

ウェルスナビの運用実績は多数の方が報告していますし、今日の焦点としませんが、そうは言っても気になる話なので簡単に触れておきます。

下の図は公式HPにある設定来の運用実績です。

図の見方が分かりづらいと思いますが、2016年1月から2018年12月の期間において、ざっくり「200万の元本」が「220万相当」になっています。

200万投資して、丸3年かかって、20万のプラスです。

これをもしかすると「たったそれだけ?」と思う方も多いんじゃないでしょうか。

日本人は投資は嫌いなくせに宝くじやギャンブルは好きですので、この程度の実績では不満かもしれません。

最近は億り人なる投資で資産を何倍にもした人の情報や噂も耳にするようになったため余計にそのように感じるのかもしれません。

また、2018年は相場環境が悪かったですので、始めたタイミングによっては損をしたという方もいるかと思います。

ロボアドやってみた、損した、ダメだ、解約した、というような記事もよく目にします。

安易な損切りの判断をする前に一度どういった運用なのかをみてみましょう。

ウェルスナビの運用を分析

今日お伝えしたいのは、ロボットアドバイザーの運用の実態です。

ウェルスナビで、100万円をリスク許容度「3」で運用した場合のポートフォリオは以下のようになります。

それぞれの資産の割合や、実際に資産運用に組込むETFを公開しているのは信用できるポイントですね。

日本で人気のある毎月分配型投資信託の多くは運用の実態をあえて分かりづらくして悪意さえ感じますが、これらとは大違いです。

話が逸れますが、少なくともほとんどの毎月分配型の投資信託より間違いなくこちらの方が良い投資先だと考えます。

約30%を米国株(VTI)へ投資


一番多く組み込まれているのが米国株を対象としたETFである「VTI」です。

投資した金額の約30%がVTIに充てられます。

VTIとは簡単に言うと米国企業の株の集合体です。

アップルやグーグル、アマゾンといった世界的に有名な名だたる優良企業を含んだ4,000社以上の株式で構成されています。

VTIへ投資するということは、間接的にこれら米国企業の株主になる、ということです。少しわくわくしませんか?

米国の株式市場の指標であるダウは安定して成長しています。リーマンショックで半分になりましたが、数年で元に戻し最高値を更新しています。

・ダウの過去10の推移(マネックスより引用)

2018年は下げましたが、長期でみると基本右肩上がりです。

少なくとも過去を見る限り米国株はリターンの期待できる投資先であることが分かります。

それでも将来の保証はありませんし、株価の下落局面では損失を出すリスクが大きいですので、全体の30%となっています。

リスク許容度をあげれば米国株(VTI)の比率が上がります

だったら直接米国株を買ったほうが手数料も低くていい、という意見も多く、僕自身も米国株、ETFを保有していますが、多くの人にとってそれはかなりハードルが高いことだと思います。

そこに至るまでに相応の勉強が必要ですし、そもそもある程度まとまった軍資金が必要だからです。

約25%を日欧株(VEA)へ投資


次はVEAというETFです。

VTIが米国株なのに対して、VEAはドイツやイギリス、日本といった先進国の株式で構成されています。

米国株が一番強いのは間違いないですが、世界全体に分散するという考えです。

なお、VEAにおいて日本の株式の比率は全体の2割程度です。

個人投資家と呼ばれる人のほとんは日本株への投資をしていますが、ウェルスナビの場合、全体の25%のVEAのさらに2割ということで、全体からみると日本株は5%しか資産運用に組み込まれていないということです。

このことはいろいろな気付きを与えてくれます。

約25%を米国債券(AGG)へ投資


VTIに次いで組み込み比率が高いのがAGGというETFです。

これは主に米国債で構成されています。

株式に対して債券の値動きは非常にゆるやかで、リーマンショクで株価が半分になった時でさえ、それほど下落しませんでした。

米国という安定した国の優良債券ということで、リスク回避を重視した商品として人気があります。

あなたが投資した100万円のうち30万円弱がこういったものに形を変えるということです。

なお、同じ債券でも新興国のハイ・イールド債は国の信用を背景に値動きも荒いため、投資先としては全くの別物です。

残りの2割は新興国株(VWO)と金(GLD)、不動産(IYR)

残りの2割はまとめますが、VWOという新興国の株式と、GLDはその名のとおり、IYRは不動産を対象としたETFです。

成長性のある新興国の株式はもっと比率が高くてもいいんじゃないかと思う方もいると思いますが、新興国は法整備が不十分だったり、通貨危機などのリスクを伴いますので比率としては控えめになっています。

最近では、トルコリラの暴落などを耳にされたことがあるでしょう。トルコ株式オープンという投資信託は2018年の数ヶ月の間にピークの半分まで下がっています。

新興国は成長性の期待は高いですが、◯◯ショックというような時に暴落するリスクがあります。

GLDとIYRは現物ということで、インフレヘッジの投資商品です。比率も少ないですし説明は割愛します。

視点を変えると見えてくること

上でみたとおり、ウェルスナビに投資したお金は様々な資産クラスへと形を変えます。これが意味することを考えてみます。

世界経済と資産の連動

ウェルスナビのコンセプトは世界経済の成長と資産を連動させることだと僕は理解しています。

少子高齢化が深刻な日本にいると感じませんが、世界経済は拡大していくことが想定されます。人口が増え続けているからです。

上の図は同社HPからの引用ですが、3.1%の経済成長が見込まれています。

この経済成長をさまざまなETFを通じて広く取り込んで行くということを狙っているということです。

この図からも日本株の比率が低い理由が分かります。

リスクの分散

投資というと積極的にお金を増やしに行くというイメージが強いですが、僕は投資はリスク回避の意味もあると思っています。

これは資産クラスを分散させることで、相互に相対的な価値を与え合っているものを両方持つということです。

日本円という価値が将来にわたり絶対的なものではないということに気付けば、資産運用はリスク分散が大切であることが分かります。


リスクが怖いから投資をしないということは、日本円の価値にフルベットの一本足打法という選択をしているということです。

今は円が強いですが、国力が弱まれば通貨の価値は下落するでしょうし、インフレが進んで物価が上がれば貯金の価値は実質的に下がります。

さらに日本は国策としてインフレを誘導しようとしています(上手くいってませんが)。

その時の世界情勢等を踏まえ、こういった分散投資をロボットアドバイザーはやっています。

ウェルスナビのメリット

ウェルスナビのメリットは多くの記事でかかれていますので、僕の実感を交え簡単に説明します。

感情に左右されない取引ができる

上で書いたことを頭では理解しているのですが、欲深く愚かな僕は今年は投資(株)で大損しましたで書いたようにリスクを大きくとった投資でけっこうな損失を出しています。よほどロボアドに任せた方が良いリターンを得ています。

僕がいい例ですが、欲に目が眩んだり感情に任せた投資はたいがい失敗します

感情に支配されずたんたんと機械的に投資する、個人的にはこれがロボットアドバイザーの一番のメリットだと思います。

少額から積立できる


積立設定を少額からできることもメリットです。最初は少額でも少しづつ複利も効いてきます。

これに対し、もし自分でVTIやAGGといったETFを直接買い付けて運用しようとすると、

まず証券会社に海外口座を開き、為替の影響を回避するために月々一定額ドルに替えつつ(ドルコスト平均法)、ある程度たまったらETFを買う、という作業が必要です。

これは投資に興味が無い人や忙しいサラリーマンにはハードルが高いでしょう。

少なくとも僕の両親にはいくら説明しても無理だと思います。

ちなみに最近はS&P500連動の投資信託なども登場してますので、ロボアドで勉強し、知識がついてきたら卒業して自分でポートフォリオを考えて資産運用してみるというのもいいのではないでしょうか。

分散ポートフォリオと自動リバランス

個人で株式、債券への分散、しかも米国や新興国も交えた分散投資を行うのは相応の労力を要します。

また、半端な知識で投資信託を選ぶと思わぬリスクを取った商品を掴んでしまう危険性もあります。

これに対しウェルスナビは資金とリスク設定をすれば後は自動で冷静に資産配分、自動でリバランスをしてくれますので、ほったらかし投資に向いています。

自動税金最適化(DeTAX)

投資で利益が出た場合、譲渡益に対する税金がかかります。

簡単にいうと、ウェルスナビでは自動で利益と損を相殺して税負担を軽減するようなことをしてくれます。

自分で株やETFを売ったり買ったりする場合、自分で確定申告しないと損失の繰越しなどができません。これは相当な手間です。

ウェルスナビのデメリット

僕が考えるウェルスナビのデメリットは、1点だけです。

手数料1%は安い方ではない

多くの方が指摘するとおり、1%の手数料は決して安くはありません

同社のHPから手数料関連を抜粋します。
 

手数料
預かり資産3000万円まで 年率1.0%(税別)
3000万円を超える部分 年率0.5%(税別)
入金
クイック入金 無料
自動積立 無料
金融機関振込 お客様負担※
出金 出金手数料 無料
取引
売買手数料 無料
為替手数料 無料
為替スプレッド 無料
リバランス 無料
口座開設 無料

 
手数料で特に注目したいのは色をつけた部分です。

売買手数料と為替手数料が含まれています

自分で米国株を買う場合はネット証券でも5ドル〜20ドルくらい手数料がかかりますし、ドル転する際も若干手数料が必要です。

さらに自分でETFを買う場合、積立ということはできませんので、毎回購入手続きが必要です。

こういう部分も含めると投資初心者にとって1%というのは必ずしも高額とは言えないと僕は考えます。

もちろん自分で手間隙かければもっと安く済ませる手段はありますが、相応の知識と労力が必要で、そもそもそんなことに時間使いたくないよ、という普通の感性の方のとっかかりとしては安いくらいでしょう。

上で書いたETFの分配金を平均するとざっくり2%程度あるので、手数料は分配金と相殺されてちょっとおつりがくるくらい、という見方もできます。

ウェルスナビを使う時の注意点

ウェルスナビでは海外の様々な資産クラスをドル建てで持つことになります。

ですので、円換算の資産評価額はその時々の為替の影響を強く受けます

為替の影響を回避するには、ドルコスト平均法を用いた投資が有効です。時間軸にリスクを分散するという考え方です。

難しく書きましたが、毎月少しづつ積立で投資しましょう、というだけのことです。

3,000万以上の運用コストが0.5%となりますが、それでも退職金などをどかっと投入するのはやめた方がよいです。

いざ現金が必要になった時に、たまたま円高が進んでいたら為替差損を強く受けてしまうからです。

リスクを変えて運用した場合

今日はリスク「3」のケースを書きましたが、リスク許容度によって資産配分が下の図のように変わってきます。

リスク「1」とリスク「5」のケースについて関連記事のロボットアドバイザーの運用の実態に書いてますので興味があれば合わせて参照ください。

他のロボットアドバイザーとの比較

ウェルスナビとよく比較されるのが、Theo(テオ)でしょう。

多くの方が比較してますので細かい話は割愛しますが、運用成績という観点では大差がないでしょう。

Theoも同様に上で書いたような資産の分散投資を基本としているからです。

個人的な感想ですが、Theoの方がマイナーなETFなども組み込んで積極的にリターンを狙いにいってる印象はありますね。

僕はどちらに投資してもよいように思いますが、業界No.1のウェルスナビの方が運用額が大きいので、今後の手数料引き下げなどに期待したいと思っています。

まとめ

今日は最近評判のウェルスナビの運用の実態とメリット・デメリットなどをお伝えしました。

投資に造詣の深い方々は1%の手数料を許容できないと言いますが、僕はいい商品だと思っています。

特に投資初心者の20代の若い人におすすめします。

理由は、僕は20代は投資なんかは横目に見ながら、遊びや仕事に集中した方がよっぽど将来のためになると考えているからです。

投資を通じて経済を勉強するのは良いことですが、安易に株の取引などに手を出して、その日の値動きが気になる毎日を送るのはよくありません。

特に日本の個別株の値動きは荒く、収入も貯金も少ない若い人には笑って見ていられないと思います。

たまに会社の休憩時間に株価チェックやFXばかりしてる人がいますが、若いうちからこんなことしてたら何か大事なものを失うというか、得るチャンスを逃す気がします。

投資は余力資産で楽しみながら運用するのが健全です。

投資でセミリタイヤを実現した人や億り人にあこがれる気持ちは分かりますが、今は落ち着いた投資をしているイメージのある人でも、彼らは必ずそれ相応のリスクを取っていたはずです。

言うまでもなくリスクとリターンは表裏一体だからです。

話がそれてきました。

ロボットアドバイザーによる運用は数ヶ月、1年というスパンで増えた減ったという見方をするのではなく、もっと長期投資としてみて、毎月たんたんと積立ていくのが良いと思います。