2015年〜2018年における日米企業の時価総額ランキングの変化から見えたこと|日本の大型割安株への長期投資はおすすめ出来ない

 時価総額とは企業の大きさを示す一つの指標です。今日は2015年と2018年の日米それぞれの時価総額ランキングの変化を整理し、その変化を分析することで何か今後の投資へのヒントが得られないか考えてみました。

 投資初心者の僕は個別の銘柄の動向に目が行きがちです。

 そこで一度市場の動向全体を見ることで何か今後の投資への手がかりが得られないかと思い、2015年の時価総額ランキングと2018年6月現在の時価総額ランキングをまとめ、割安性の指標であるPERと一緒に整理して分析してみました。

時価総額とPER


 時価総額とは上の図のとおり、株価と発行済み株式数を掛け合わせて算出されたもので、企業価値を評価する際のひとつの指標となります。

 式のとおり、その企業を買収するのに必要な金額の参考にもなります。発行済み株式数が大きく変化しなければ、時価総額の増加は株価の上昇を意味するため、その会社の将来の成長性を図る意味も持ちます。

 一方のPERは株価をEPS(一株あたり利益)で割ったものですので、PERが低いほど割安であり、業種により目安も変わるため一概にくくることはできませんが、日本企業で15倍、米国企業で20倍くらいが平均的と言われています。

 まずは無心でデータ整理します。以降に示すデータのソースは2015年のものはWikipedia、2018年のものはYahoo!ファイナンスから引用しました。なお、一部PER等が載っていない会社については別のソースも使いましたので、多少集計時期のずれがあるため、あくまで参考値とみてください。

日本の時価総額TOP20|2015年12月と2018年6月の比較

 まずは日本企業です。正確な数字よりも全体の雰囲気を直感的に分るよう時価総額は兆円で丸めています。

2015年12月 2018年6月
順位 企業名 時価総額
(兆円)
企業名 時価総額
(兆円)
PER
1 トヨタ自動車 26.1 トヨタ自動車 23.5 9.9
2 三菱UFJ FG 11.5 日本電信電話(NTT) 10.8 11.5
3 NTTドコモ 9.9 NTTドコモ 10.7 14.6
4 日本電信電話(NTT) 9.9 ソフトバンクグループ 9.2 9.2
5 日本たばこ産業(JT) 8.9 三菱UFJ FG 8.7 8.4
6 日本郵政 8.6 キーエンス 8.1 38.3
7 KDDI 8.3 KDDI 7.7 11.8
8 ソフトバンクグループ 7.9 ソニー 7.0 14.5
9 ゆうちょ銀行 7.9 アフラック 6.7
10 ホンダ 7.4 日本たばこ産業(JT) 6.4 14.6
11 三井住友 FG 6.8 ホンダ 6.1 10.4
12 みずほ FG 6.3 三井住友 FG 6.1 8.6
13 日産自動車 5.8 ゆうちょ銀行 5.8 18.5
14 デンソー 5.3 ファーストリテイリング 5.5 40.9
15 ファーストリテイリング 5.2 日本郵政 5.4 14.8
16 キヤノン 5.0 リクルートHD 5.4 34.8
17 セブン&アイ・HD 4.9 任天堂 5.2 26.6
18 武田薬品工業 4.8 日本電産 5.0 34.6
19 東日本旅客鉄道 4.6 東海旅客鉄道 5.0 11.8
20 ファナック 4.6 キヤノン 4.9 14.2
20位まで合計 160 20位まで合計 153
日本市場全体 590 日本市場全体 676

3年前と顔ぶれがほとんど変わってない

 この表をまず見て思うことは、トヨタだけケタ違いということ、上位陣の顔ぶれは3年前とほとんど変わっていないということです(変わった会社を色つけ表示しています)。

 実に20社中14社が同じで、TOP10に関して言えば8社同じです。この3年で見るとキーエンスが一番の成長株と見えます。

 下の方が入れ替わっていますが、時価総額が5兆円近辺の僅差であるため、ちょっとした市場のトレンドでここはころころ入れ替わるでしょう。

 また、古い会社が多いというイメージですね。創業でいえばソフトバンクの1986年が一番新しく、次がキーエンス(1974年)、日本電産(1973年)となります(ゆうちょ銀行とアフラックは除外)。平均年齢60歳オーバーくらいでしょうか。

日本全体の時価総額は上がっているが、上位20社の合計は減っている

 表の最後の日本全体の時価総額は東京取引証券所からデータを引用しています。日本の企業全体としてみると2015年から10%くらい増えていますが、TOP20の総額は少し減っています

 時価総額の大きい会社は日々の取引での注目も大きく、円高・円安、世界情勢の変化等を受けて株価が毎日数万円くらい簡単に動きますが、3年というスパンでみると大して変わってないということが分かります。

 2016年のチャイナショックの影響はあるものの、その後のトランプラリーにより全体の時価総額が増える中、これら日本を代表する大企業の多くはその牽引役になれていないというのが実態です。

 このデータからも個人投資家に中小型株が人気なのも納得できます。

PERが低いまま放置されている

 時価総額TOP20の企業の割にはPERで見ると割安とされるものが多いです。

 ただし、3年前から時価総額が変わっていない≒株価が上がっていないという事実を鑑みると、今の状況は割安だと捉えるよりも、その企業もしくは日本そのものの成長性が疑問視されていると捉える方が妥当でしょう。

 こう考えるとPERは割安さの判断基準であるとともに、成長性の指標であることが分かります。PERだけを見た安易な割安株投資は怪我をします。

日本株投資へのヒント

 僕は大企業かつ割安株が好きなのですが、その価値観を否定する結果となってしまいました。

 一応言い訳しますと、僕はこれら超巨大企業ではなく、そこそこ大企業かつ利益が伸びている会社を買っているつもりなので、上の銘柄は買ったことはありません。

 日本の時価総額が大きすぎる会社の株は買うべきではない、というのが今日僕が調べて思った結論の一つです。そう考えるとこれらの影響を強く受ける日経インデックス系の投資信託もおすすめはできません。

米国の時価総額TOP10|2015年12月と2018年6月の比較

 米国の時価総額TOP10を見ていきます。こちらも直感的に掴むため、一ドル100円とした兆円表示としています。

2015年12月 2018年6月
順位 企業名 時価総額
(兆円)
企業名 時価総額
(兆円)
PER
1 アップル 72.5 アップル 90.9 19.9
2 エクソンモービル 35.7 アマゾン 83.2 271.4
3 バークシャー・ハサウェイ 35.7 アルファベット(グーグル) 75.2 54.7
4 アルファベット(グーグル) 34.6 マイクロソフト 77.3 36.6
5 マイクロソフト 33.4 アリババ・グループ 51.8 35.6
6 ペトロチャイナ 33.0 フェイスブック 48.4 36.7
7 ウェルズ・ファーゴ 28.0 JPモルガン 36.0 19.8
8 ジョンソン&ジョンソン 28.0 エクソン・モービル 34.5 17.6
9 中国工商銀行 27.5 ジョンソン&ジョンソン 32.9 255.9
10 ノバルティス 26.8 ロイヤル・ダッチ・シェル 30.4 30.9

アマゾン半端ない!

 まず一番に思うことはアマゾンの凄さです。

 3年前は圏外でしたが、2018年の6月にはグーグルを抜き2位になり、王者アップルにも迫る勢いです。間違いなく、今世界で一番勢いのある会社です。

 アマゾンには投資を始めた2016年から注目してましたが既に株価が上がりすぎじゃないかという感じで手が出せませんでしたが、そこから1年足らずでさらに倍近くなってます。どこまで行くんでしょうこの会社。。

若い会社が多い、古い企業は高配当企業

 一位から順にアップル(1976年)、アマゾン(1994)、グーグル(1998)、マイクロソフト(1975)、アリババ(1999)、フェイスブック(2004)と上位6社すべて若く、時代の流れを的確に捉えた起業家が次々と生まれ成功するという、チャレンジ精神を美徳とする米国らしさを象徴しています。

 PERを見ると割高に見えますが、その成長性から許容されているということだと思います。

 エクソンモービル、ロイヤルダッチシェルは石油メジャーで高配当銘柄として知られています。僕も配当利回り5%以上のロイヤルダッチシェルを保有しています。

 ・ロイヤルダッチシェル(RDS.B)を買った理由を書いた関連記事です。

 成長著しい企業はその株価の値上がり(キャピタルゲイン)により株主へ貢献し、安定期を迎えた企業は配当で株主へ貢献する、企業は株主のものという米国らしさを感じるランキングです。

時価総額が3年前より増えている

 日本のTOP20の企業が3年前とほぼ変わらないのに対し、アマゾンやフェイスブックという新興勢力だけでなく、約20年くらい前にパソコンを僕ら個人にまで普及させた立役者であるアップル、マイクロソフトも順調に株価が伸びています。

 ランキング2位から6位は全てこの3年で時価総額が倍以上になっています。

米国株投資へのヒント

 ダウやナスダックの推移を見て分る通り米国株はほぼ右肩上がりです。

 2018年6月現在も米国の景気は堅調だと言われており、米中貿易摩擦等がくすぶっている現在、多少の調整はあるでしょうが、第二のリーマンショックの予兆を感じさせる状況ではありません。

 仮に起きたとしても、立ち直るのが米国です。

 株を長期で持つのであれば日本株より米国株、ということになります。
 「成長」が何より重視される米国ですので、このランキングもまた数年後には変化するのでしょう。

 今日はTOP10を整理しましたが、もう少し下にいる企業を探していくのが面白そうです。

 ただ、これらの企業を探すには相当な目利きがいりますので、米国の成長の恩恵を広く浅く受けるにはETFが一番簡単かつ効果的だと思います。

 ・おすすめの米国ETFについての関連記事です。

まとめ

 今日は日米の時価総額ランキングを分析してみました。時価総額はあくまで一つの尺度ですが、日米それぞれを3年前と比べてみることでいろいろな気付きがありました。まとめると以下のとおりです。

 ・割安であっても時価総額の大きすぎる日本株は買うのはおすすめできない。
 ・PERのみに頼った割安株投資は危険。
 ・米国企業の時価総額は上昇傾向が継続(=株価が上がっている)。

 結局株を買うなら米国株がおすすめという、いろんなところで言われている結論にたどり着いてしまいましたね。

 ・株は面白いですがやはり難しいです。リスクを抑えて投資信託で運用する場合の関連記事です。

 ・米国株購入までの流れの関連記事です。