世界で最も有名な炭酸飲料は?と聞かれたら多くの人がコーラとペプシと答えると思います。米国株であるコカコーラ(KO)とペプシコ(PEP)は高配当で有名な銘柄です。両社の決算や直近の株価推移等を比較しながら、今投資するならどちらが良いか考えてみました。
僕は米国株投資を始めた2016年からコカコーラ(KO)を保有していますが、コカコーラ、ペプシコともに2018年に入って大きく株価を下げています。
これを機にどちらかに追加投資しようと考えており、改めて事業の内容や利益率、配当利回りなどを確認しました。
結論からいうと、両社とも有良企業であることは間違いなく、株価の相関性も高いため、どちらが優位ということはないと僕は考えましたが、直近の株価の下落が大きいペプシコ(PEP)を追加購入します。
コカ・コーラとペプシコのビジネスと特徴
日本人から見ると両社とも飲料メーカーのイメージが強いですが、ペプシコはスナック菓子等も手がけており、飲料との売り上げ比率はちょうど1対1くらいです。一方のコカ・コーラは100%飲料メーカーです。
下図は両社のHPからの引用ですが、コカコーラにはファンタやいろはすといった日本人に馴染み深い商品が多い一方で、ペプシコの商品はいかにもザ・アメリカという感じがしますね。
両社とも世界的な健康指向の流れを受けてへ炭酸飲料から健康飲料へと事業の軸をシフトしつつあります。
ちなみにアメリカ国内の売り上げはコカコーラが20%、ペプシコは58%ということで、コカコーラの方が海外展開により積極的です。
・コカコーラ
・ペプシコ
両社とも確固とした高収益なビジネスモデルが特徴であり、さらに高配当が魅力なディフェンシブ銘柄の代表格として、米国株投資家に人気の銘柄となっいます。
コカコーラは50年以上の連続増配、ペプシコも40年以上連続増配と配当金にも期待できます。両社とも株主還元の姿勢が非常に強い会社です。
コカコーラ、ペプシコ、アサヒビールの2017年の業績を比較
両社の直近の決算を確認しました。いずれもモーニングスターで調べたものを1ドル100円換算でまとめたものです。
日本企業も比較したいなと思い、アサヒビールの2017年の業績を調べて一緒に載せてみました。
コカコーラ | ペプシコ | アサヒグループ | 単位 | |
売上高 | 3,541,000 | 6,353,000 | 2,084,877 | 百万円 |
営業利益 | 943,000 | 1,051,000 | 183,192 | 百万円 |
当期純利益 | 125,000 | 485,000 | 141,003 | 百万円 |
1株利益(EPS) | 29 | 338 | 307 | 円 |
ROE | 26.85 | 55.14 | 14.2 | % |
配当利回り | 3.23 | 2.64 | 1.27 | % |
まずやはり両社とも利益率が非常に高いことが分かります。
日本の企業では一般的に10%を超えるとかなり優良とされているROE(株主資本利益率)ですが、コカコーラ、ペプシコともすばらしい数値です。アサヒビールも良いですね。
配当利回りはコカコーラの方がペプシコより高いですが、ペプシコも一般の日本企業に比べればかなり高い部類になります。
日本でこれほどの配当金を出すのは商社系株くらいなものです。
比較して1つ気になったのがコカコーラの1株利益(EPS)の低さです。
同社の決算資料を確認していくと、アメリカの税制改革に伴う一時費用を計上したとあり、これによって純利益が圧迫されています。2018年度のEPSは2ドル程度を見込んでいるとのことです。
両社とも身の丈に合わない買収や投資はしておらず財務状況は極めて健全で、倒産なんかあり得ないという感じです。
ちなみアサヒビールは結構大きな買い物をしていて数年前と財務状況が一変しています。
また、潤沢なキャッシュフローが確保されており、配当金が減配される懸念も低いです。
コカコーラとペプシコの売上高とPERの推移
両社の過去5年の売上高と割安性の指標であるPERを比較します。ソースは上と同じくモーニングスターです。
指標 | 2013 | 2014 | 2015 | 2016 | 2017 | |
コカ・
コーラ
|
売上げ(億ドル) | 46.9 | 46.0 | 44.3 | 41.9 | 35.4 |
PER(倍) | 21.4 | 23.5 | 27.4 | 25.1 | 44.1 | |
ペプシコ
|
売上げ(億ドル) | 66.4 | 66.7 | 63.1 | 62.8 | 63.5 |
PER(倍) | 19.5 | 20.9 | 29.7 | 23.0 | 24.8 |
両社とも売上高はほぼ横ばいか微減傾向、PERは20〜30倍あたりを行ったり来たりという感じです。
なお、コカコーラの2017年の売上げ減は事業再編によるものなので、市場を取られているということではありません。
過去に遡ることで見えたことは、両社とも大幅な売上げ増加は見込めないだろうということです。新興国市場は今後も拡大するでしょうが、大きくは市場は成熟しているとみえます。
そう考えると短期で株価が大きく上がる銘柄ではないでしょう。
このように考える理由をPERという指標とともに少し掘り下げてみたいと思います。
PERは割安性を示す指標の1つです。米国株の平均PERが20倍程度といわれており、現在の両社の株価は割安ではありません。
PERは株価を一株利益(EPS)で割って求められる指標ですので、PERが下がるにはEPSが上がる必要があります。
そしてEPSは当期純利益を発行済み株式数で割ったものです。
ようは純利益が増えない限り、株価が上がる正当性がないということです。すみません、当たり前のことを偉そうに言いました。
企業の成長性が認められれば高いPERも市場に許容されるといわれます(例えばアマゾンのPERは100倍超え)が、コカコーラ、ペプシコともに成長企業というよりは成熟企業です。
両社とも超優良企業なのは間違いありませんが、大幅な利益拡大が望めないことと割安でもない株価、という2点から、基本的には値上がりによるキャピタルゲイン狙いには不向きな銘柄です。
ただし、アメリカの税制改革による法人税の引き下げ効果による利益の積み増しが期待できますし、アメリカ経済が成長を続ける限りは両社の株価もじわじわと上がっていくと思っています。
このような成熟した企業の株は下落時に買うのがよさそうです。
上で株価が上がらなさそうと書きましたが、両社とも事業は安定しており、逆に大きく下げる理由もないからです。
そして今(2018年6月現在)がそのタイミングだと思います。
僕の成熟企業に対する投資の基本スタンスは、配当を狙いつつ、下落時は戻りによるキャピタルゲインも狙うというものです。
ちなみに成長企業は目利きが難しい、というかできないので、今のところS&P500指数インデックスETFのVOOや米国株全体への分散投資がきくVTI、Russell2000指数ETFのVTWOなどに投資しています。
コカコーラとペプシコの株価推移
両社の株価推移です。直近約2年のものと10年スパンのものです。下図を見てわかるとおり、本当にそっくりな株価推移をしています。
リーマンショック後からみると両社ともそろって約2倍の株価になっています。
トランプラリーに全く乗れていないところ、年明けの株価下落の影響を強く受け急落しているところも一緒です。
短期的にみると揃って押し目買いにいいポイントのようにも見えます。
特にペプシコの10年推移はギャンブル好きな僕好みのチャートですね。たまたまはまった設定6のジャグラー、そんな印象を受けます。
・コカ・コーラ2年
・ペプシコ2年
・コカ・コーラ10年
・ペプシコ10年
まとめ
今日はコカ・コーラ(KO)とペプシコ(PEP)のどちらに投資するかを検討するために調べた結果をまとめてみました。
事業性、株価推移ともにあまりに似過ぎていて、正直優位な差を僕には見出すことができませんでしたが、僕はチャートがより好みなペプシコ(PEP)を買いました。
せっかくなので決算や株価推移を調べてみて感じた両社の共通点をまとめます。
・安定した利益を出し続けることが期待でき、安全な投資先といえそう。
・潤沢なキャッシュフローに支えられた配当金は確実にキープされそう。
・成長産業とは言いがたく、株価の大幅な上昇(キャピタルゲイン)は期待できなさそう。
個人的には2018年の年明けからディフェンシブ銘柄が売られ過ぎている感じがしていて、コカ・コーラもペプシコもそろそろ見直されも良い時期じゃないかなと思っています。
これらのディフェンシブ銘柄は、焦らず長期で見て安くなった時期に少しづつ買い足していくのが良さそう、そんな印象を持っています。
・同じくディフェンシブ銘柄のP&Gについての関連記事です。こちらも2018年初頭に株価を大きく下げています。
・高配当といえば石油関連です。RDS.bについての関連記事です。こちらは売り時を考えています。