投資界隈、特にツイッターに生息する株クラの間で米国ETFが人気です。最近投資を始められた方でこれらに興味を持ち始めた方も多いのではないでしょうか。一方で種類はめちゃくちゃ多いし、ブログとかの説明では難しい言葉が並び、初心者の方は何を買ったらいいのか判断できないと思われていることでしょう。今日は人気の米国ETFの特徴や比較などを出来るだけ簡単に説明します。
最近とくに、米国株やVOO、VTIなどの米国ETFの認知度が急速に広まっている気がします。
ツイッターをはじめとするSNSなどで身近に情報が得られるようになった影響が大きいですね。
ただ、株や投資が一般に浸透しつつあるとはいえ、米国株やETFとなると世間的にはまだまだ認知度が高いとは言えません。
米国ETFは種類も多く、VOO、VTI、SPYD、VT、QQQなどが人気と言われても区別がつかないと思います。
僕も最初は全く分からず、株クラの人達すげーって感じでした。
今日は株クラ界隈で人気のETFを投資初心者向けにざっくり説明します。
自分が投資に触れてきて思うのは、米国ETFってすごくシンプルで、難しいことなんて何ひとつありません。
なんとなく理解してもらうことを目的にするので、このブログ記事の内容は多少、厳密さを犠牲にしています。
米国ETFとは
まず最初にETFって何ってことですが、簡単にはいろんな企業の株を細切れにして、あるテーマごとに集めた集合体、と捉えればよいです。
競馬で例えると、個別株が単勝一点買いなら、ETFはワイド馬券というイメージです。
このワイド馬券を、前走勝利で固める、とか、ディープ産駒縛りなど、テーマの絞り方がそれぞれのETFの特徴となります。
米国ETFは、主に、アメリカの企業の株が対象です。
ETFを、それそのものが独立した商品、と勘違いされる方もいますが、株を買う、ということに変わりありません。
米国ETFのメリット
ETFのメリットは分散によるリスク回避です。
個別株だとその銘柄の値動きが良くも悪くも自分の資産を直撃してしまいます。
ETFは多種多様な企業に分散投資しますので、個別株よりも安定した運用が可能となります。
投資信託との違い|配当が出る、経費率が安い
ETFと投資信託の違いが良くわからない、僕も昔はそんな悩みがありましたが、基本的には、同じようなものと理解していいと思います。
大きな違いの1つは、ETFは配当金が出ることですね。
投資信託にも分配金を出すものもありますが、複雑な仕組みが多く、毎月分配型なんかは、実は元本取り崩しだったりします。
配当金と分配金は別物です。
ETFの場合、企業の出す配当金を、保有する比率分だけ貰えます。
シンプルイズベストですので、僕は投資信託よりETFを好みます。
また、信託報酬(経費率)もETFの方が安いものが多く、米国ETFは0.1%以下のものも多くあります。
株クラに人気の米国ETF
ちょっと荒っぽい説明でしたが、前置きが長くなりすぎてもですので、本題の人気の米国ETFを紹介していきます。
以下の銘柄の特徴や株価推移、配当などを紹介していきます。
・VTI(全米国企業)
・VT(全世界の優良企業)
・SPYD(高配当米国企業)
・QQQ(ナスダック100 最先端企業)
VOO(バンガード・S&P500 ETF)
VOOは米国のS&P500と呼ばれる米国株価指数に連動するETFで、バンガード社が運営しています。
株クラ界隈では、間違いなく1番人気のETFです。
S&P500には、アップルやアマゾン、マイクロソフトなどのアメリカの大企業が含まれています。
アメリカの大企業TOP500みたいな感じですね。
VOOを1株持てば、これらのアメリカの大企業に同時に投資することができるということです。
こんな世界を代表する企業にまとめて投資できるって、すごいですよね。
迷ったらとりあえずこれ買っとけ、って感じのETFです。
ちなみに類似のETFでiシェアーズのIVVというETFがありますが、どっち買っても同じです。
VOOの配当、リターン、経費率
VOOの基本情報をまとめてみます。
なお、以降も含めこの記事の情報は、2020年10月現在のものですのでご注意ください。
基準価格 | 配当利回り | 経費率 | 5年リターン | |
VOO | 305ドル | 1.3% | 0.03% | 14.4% |
現在の基準価格は約300ドルなので3万円から投資できます。
配当利回りは1.3%ということで、100万円投資すれば年1万円の配当金が得られます。
利回りは高い方ではないですが、VOOはアップルやグーグルなどのハイテク最先端企業で構成されており、株価が順調に上昇しているのが特徴です。
過去5年のリターンは平均14%以上ということで、5年前に投資していれば元本は倍になっているということです。
また、経費率が0.03%と驚くほど安いです。
経費率は投資信託の信託報酬と同じく毎年かかる手数料ですが、投資信託でこれほど安いものは存在しません。
株価推移
続いてVOOの過去5年の株価推移です。
これはS&P500を構成する銘柄の株価の平均を取ったものだと理解すれば良いです。
上のとおり年平均10%を超える上昇です。
直近コロナで大きく下げましたが、米国株は基本右肩上がりなのが分かります。
ITバブル崩壊の2002年、リーマンショックの2008年に大きく下落していますが、数年で回復、最高値を更新し続けています。
日経平均がバブル最高値から未だ半分くらいの回復なのと対照的ですね。
未来は誰にも分かりませんが、少なくとも過去を見る限り、日本と米国、どちらが投資対象として魅力的かは言うまでもありません。
というのが、米国株へ投資する株クラの方々のざっくりした論理です。
VTI(バンガード・トータル・ストック・マーケット ETF)
続いてVTIですが、こちらもバンガードのETFです。
VTIはアメリカ全土の大、中、小型株に分散投資しています。
日本の株式市場で例えると、VOOが日経225なら、VTIはTOPIXという感じですね。
VOOよりも幅広くアメリカの成長を取り込む銘柄と言えるでしょう。
こちらも人気のETFで、バンガード社の運用するETFの中でもこれとVOOが他のETFより群を抜いて運用額が多いです。
VTIはVOOとよく比較されますが、どっち買っても一緒、というのが個人的な見解です。
両方持ってもいいですし、僕も持ってますが、少なくともこの2つを買っても分散投資にはなりません。
VTIの配当、リターン、経費率
VTIの基本情報です。
基準価格 | 配当利回り | 経費率 | 5年リターン | |
VTI | 169ドル | 2.04% | 0.03% | 13.8% |
VTIもVOOと同じく経費率が最低水準なのが特徴です。
VOOと比較して、リターンが若干低い代わりに配当が少し高く、トータルでみたらトントンです。
どっちかにバランスが傾いていた時にはじめてVOOとVTIの比較論争に終止符が打たれるでしょう。
株価推移
VTIの過去5年の株価推移です。
VOOとよく似ていますが、上のとおり株価推移という点では若干劣後します。
ダウやナスダックといった指数との連動性も高く、まさにアメリカ全体に投資する、という銘柄です。
VT(バンガード・トータル・ワールド・ストック ETF)
続いてVTです。
VOOとVTIがアメリカの企業の株で構成されるのに対し、VTは全世界の優良企業の株が対象のETFです。
VTに投資するということは、世界経済がこれからも発展し続けることに賭ける、ということです。
とはいえ、実はアメリカの株が半分以上だったりします。
続く日本が7.4%で、内訳をみるとトヨタが0.3%ほど含まれていました。
VTひとつで世界経済全体に投資でき、ETFはこれだけで積み立てればいいという考え方もありですね。
VTの配当、リターン、経費率
VTの基本情報です。
基準価格 | 配当利回り | 経費率 | 5年リターン | |
VT | 81ドル | 1.63% | 0.08% | 10.2% |
すべての項目でVTIに劣後しています。
ただし、これは過去から現在においてアメリカ経済が世界全体より成長率が高かったということで、リスクヘッジという観点ではVTの方が優れています。
経費率も0.1%を切っていて非常に優良なETFだと思います。
VTの株価推移
VTの過去5年の株価推移です。
VOO、VTIと比較してもよく似ているように見えますが、成長率は若干低いです。
コロナで一気に5年前の水準に戻り、一瞬で最高値近辺まで反発しています。
SPYD(SPDR®ポートフォリオS&P500®高配当株式ETF)
SPYDはスパイダー社が運用するETFで、最近とくにツイッター界隈で話題にあがることの多いETFですね。
S&P500を構成する企業の中から、高配当な銘柄を上から順に選んでるイメージです。
大企業かつ高配当ということで、キャピタルゲイン(株価の値上がり益)より配当によるインカムゲインを重視する投資家に好まれています。
SPYDについては類似のVYMやHDVと比較した記事を過去書きましたので詳しくはこちらを参考にしてみてください。
個人的には、SPYDを買うくらいならVYMやVIGを買った方が良いと思います(理由は割愛)。
SPYDの配当、リターン、経費率
SPYDの基本情報ですが、一点注意事項です。
SPYDは登場してからまだ5年経っていないので、1年のリターンで記載しています。
基準価格 | 配当利回り | 経費率 | 1年リターン | |
SPYD | 28ドル | 4.29% | 0.07% | -21.4% |
今年はコロナの影響もあり、大きなマイナスリターンとなっています。
当然このマイナスを補うほどの配当は出ていませんので、SPYDに長期投資をしていた人はほぼ全員、損をしているということになります。
SPYDの株価推移
SPYDの設定来の株価推移です。
過去数年は横ばいだったのですが、上のとおりコロナショックの影響をモロにうけて暴落しました。
他のETFより戻りが遅いのも気になります。
高配当の銘柄は、実は財務に不安をかかえる企業である場合も多く、株価が上がりにくいという特性があります。
株価の値上がりと配当の両方が優れているなんて美味しい話はない、ということです。
QQQ(インベスコQQQトラストETF)
QQQはインベスコ社が運用するETFで、ナスダック100に連動します。
ナスダック100とは、GAFAMをはじめとする米国の超最先端企業群を指します。
QQQの特徴として、グーグル、アマゾン、フェイスブック、アップル、マイクロソフトの5社で、保有比率の40%を超えています。
この他もテスラやエヌビディアなど、まさに世界を牽引する企業に一度に投資できるETFです。
そりゃあ人気も出ますよね。
ただ、QQQの値動きは他と比べて非常に荒いです。これだけハイテク株に構成銘柄が偏ってたら当然ですね。
個別株と投資信託の中間くらいにとらえて、それ相応のリスクを覚悟しましょう。
QQQの配当、リターン、経費率
QQQの基本情報です。
基準価格 | 配当利回り | 経費率 | 5年リターン | |
QQQ | 279ドル | 0.62% | 0.20% | 22.3% |
成長企業は配当を低く設定しているところが多く、配当金は期待できません。
経費率は0.2%と優良ですが、GAFAM買ってるだけでしょ、って思うと、個人的にはちょっと高い気がします。
VOOやVTIの0.03%が安すぎるのかもしれませんが。
QQQの株価推移
QQQの過去5年の株価推移です。
圧巻ですね。この5年で3倍近くになっています。
株価の上昇をもって株主の期待に応える、さすが世界を代表する企業群です。
アマゾンなんか凄まじいですもんね。
ただ、僕にはどうしても天井が近いように見えて仕方なく、そう思って数年ですが、まだ上がり続け、いつまでたっても購入に踏み切れません。
株クラに人気の米国ETFの比較まとめ
最後に今日ご紹介した株クラに人気のETFを一覧表にまとめます。
配当利回り | 経費率 | 5年リターン | 他社類似 | |
VOO | 1.3% | 0.03% | 14.4% | IVV |
VTI | 2.04% | 0.03% | 13.8% | |
VT | 1.63% | 0.08% | 10.2% | |
SPYD | 4.29% | 0.07% | -21.4%(1年) | VYM,HDV,VIG |
QQQ | 0.62% | 0.20% | 22.3% |
もちろんこれ以外にもいろいろありますが、まずはこの辺を押さえておけば大丈夫です。
どれも魅力的なETFですが、上のものはほとんどが米国株で構成されているため、アメリカ経済が傾いたら急落するリスクがある点は注意が必要です。
あまり人気はありませんが、優良債券で構成されるETFの「BND」や、インフレヘッジに有効な金ETFの「GLD」などに分散投資するのもおすすめです。
いずれにせよ、米国ETFを購入される際は、利回りやリターンだけでなく、それぞれのコンセプト、どんな銘柄で構成されているのかに目を向けてみましょう。
その上で、運用の考え方に同意できるものを購入するのが後悔の少ない選択法です。
なんか上がってるから買ってみよう、だと、下がった時に悔しすぎますもんね。