僕はSUMCO(3436)の株を数年前から保有しているのですが、そろそろ売り時を考えようと思い、今日は同社の最新決算の内容を確認しつつ、現在の株価水準などをまとめた内容をお伝えします。結論として僕は保有数を減らしますが、ホールドしたいと思います。
僕は国内の個別株や米国株・ETFなどに投資しているのですが、ポートフォリオに半導体関連銘柄を組み込みたいと考え、SUMCO株を数年前から保有しています。
購入に至った考え方を過去記事に書いています。
2018年に同社の株価は急落し、そこからナンピン買いを繰り返しているうちに現在の保有数は1,000株になりました。
含み損をかかえ続けること2年、ようやく幸いなことに現在の株価が僕の平均取得単価を上回ってくれたのですが、逆にそれだけ上がってきたということは売り時を考えなければならない時期になったということです。
ちょうど2月13日に同社の2019年12月期決算が発表されましたので、決算の内容を確認しつつ、現在の株価水準などについてまとめてみた内容をお伝えします。
冒頭のとおり僕は半分は売りますが、残り半分はホールドしたいと思います。
半導体関連銘柄には期待できると思う一方で、普通のサラリーマンに1銘柄200万は大きすぎるのでリバランスするということで、買い足す場面ではないと判断しています。
目次
SUMCOの事業内容
株価や決算の確認の前に簡単にSUMCOの事業内容をご紹介します。
詳しくは上の関連記事に書いているので、ここはさくっといきます。
SUMCOは由来は、Silicon United Manufacturing COrporationらしく、その名のとおりシリコンウェーハ専業メーカーです。
シリコンウウェーハは半導体製造に欠かせない素材で、これをインテルやサムスンといった半導体メーカーへ販売することを事業としています。
このシリコンウェーハ製造販売で世界シェア2位、全体の3割を占めており、海外売上比率が8割というグローバルな会社で、日経平均を構成する225社にも選ばれています。
よくyahooの経済欄でも同社の株価が持ち出されますよね。
ちなみに世界シェア1位は信越化学工業(4063)で、日本企業で世界の半導体需要の5割以上を支えています。
SUMCO(3436)の現在の株価水準は
まずはSUMCOの株価推移から見ていきましょう。
2020年2月末現在から見てのトレンドをまとめました。
・長期的には回復途上
・株価は世界経済状況に敏感に反応
短期的には上昇傾向
ここ半年の株価推移です。
半年前の1200円台から現在1900円台後半と、ここ半年で1.7倍くらいになっています。
2月21日の終値で1967円と、52週最高値を更新しています。
後述しますが、2月13日に発表された決算は昨年度より大幅に悪いのですが、反応していないどころか株価が上がっています。
長期的には回復途上
株価推移を2年まで拡大すると以下のとおり、回復途上とも見えます。
2018年には3000円台から1000円台と、1年で1/3くらいに急落し、僕も大きな含み損をかかえました。
僕と同じくそのころから塩漬けにしていた投資家からすると、まだまだこんなもんで止まってもらっては困る、というのが本音かもしれませんね。
株価は世界経済状況に敏感に反応
さらに株価を10年まで伸ばすとこのようになります。
すごいアップダウンが激しいですね。同社の業績がこんな出入りが激しいわけではありません。
半導体関連銘柄はとくに、景気や世界情勢の影響を強く受けることが知られています。
上でいえば2016〜2017年のトランプラリーで急騰、米中貿易摩擦懸念の2018年は急落と、業績以上に外部環境に株価が左右されます。
同社の株の購入を検討されている方は、こういう特性を持った銘柄であるということを覚えておいてください。
業績よりも未来の世界情勢を予想した方がいいのですが、そんなこと誰にも分からないので、僕は地道に企業の業績を確認して投資していきます。
SUMCOの決算内容の確認
2020年の2月13日に同社の通期業績に対する決算発表がありました。
細かい内容は置いておいて、僕がポイントだと思った以下の3点をお伝えします。
・シリコンウェーハ需要は底打ちの見通し
・30億円規模の自社株買い
それぞれ整理してみました。
2019年12月期は減収減益
過去5年の売上高と営業利益の推移をまとめてみました。
ここ数年の増収増益傾向から一転、今期は減収減益です。
特に営業利益は前期に対して40%近く落ち込んでいます。
こんな決算でしたが、翌日の株価は上がったので不思議ですね。
参考までですが、市場にはコンセンサス予想というものがあり、これは上回りました。
今年の業績が悪いのは前から分かってたことで、思ったより悪く無いじゃん、ということなのかもしれません。
シリコンウェーハ需要は底打ちの見通し
同社の決算説明資料では、シリコンウェーハの販売は徐々に回復する、この第4四半期が底だという見解が示されています。
顧客の在庫調整で一部の販売価格が下落したが、5Gやデータセンター向けが伸びているとのことです。
半導体の市場環境は世界情勢や景気などの影響でめまぐるしく変化するため、同社は来期通年の予想を出さない方針ですが、業績は改善していくだろう、と強気な姿勢と受け取れる内容でした。
この姿勢も株価を支えた面もありそうですので、逆に回復しなければ倍返しで下がるかもですね。
まさに信じるか信じ無いかはあなた次第、ということで、ここを信じれなければ株は買わない方が良いでしょう。
波乗り投資家を自覚してればいいですが、そうでなければ信じられない株を買って下がったら後悔しますからね。
30億円規模の自社株買い
SUMCOは決算からおよそ一週間後の2月18日に期末配当の発表と同時に自己株式の取得を発表しました。
規模は発行済株式総数の0.74%、上限33億円という大規模なものです。
僕の知る限り、少なくともここ数年で同社が自社株買いしたのは初めてですね。
これも好感されて株価が最高値(52週)というのが2月末の状況です。
ただし、業績悪化に伴い配当金は昨年の半分くらいになっています。同社は配当性向を30%程度に設定しているようですね。
利益の留保を確保するため配当還元を抑え、自社株買いによる株主還元の姿勢を見せました。
ちなみに株主優待はありませんし、今の配当利回りは2%を切っていますので、配当狙いの投資家にとって今買うべき銘柄ではないですね。
SUMCOの財務状況、ファンダメンタル指標
続いてSUMCOの財務状況やファンダメンタル指標です。
ここも3つにポイントを絞ってお伝えします。
・高い営業利益率
・割安性は低下
それぞれ簡単に見ていきます。
財務は健全
同社の自己資本比率は52.2%と一般的に健全の目安とされる40%を上回っています。
PBR(株価純資産倍率)も1.5倍程度と安全といってよい数値です。
同社は300mmウェハの増産のための設備投資をしていますが、しっかりフリーキャッシュフローも確保しています。
ソフトバンクのようにレバレッジをかけた企業経営も戦略の1つですが、同社はしっかり地に足のついたビジネスを展開しているということです。
高い営業利益率
上のとおりSUMCOは今年度は減収減益となりましたが、それでも営業利益率は17%近くあります。
製造業でこれだけの利益率が出せるのはすごいですね。
物の価格は需給のバランスで決まりますので、やはり需要が強く、買い叩かれていないということだと思います。
ROE(自己資本利益率)も11.3%と、優秀の目安である10%を超えています。
同じメーカー勤めの僕からするといずれもすごく羨ましい数値です。
割安性は低下
僕は何事にもコスパ重視の人間なので、割安性を比較的重要視します。
代表的な指標であるPER(株価収益率)は16倍程度と、日本企業の平均値くらいになっています。
昨年度は一桁だったPERですが、業績悪化に伴い修正されました。
ただ、現在でも割高だという程ではなく、業績が底であると考えれば、ここはそれほど心配材料ではないかな、という水準ですね。
SUMCOの株価の今後は
株価の未来なんてものは誰にも分かりませんが、SUMCOの今後の株価に影響が大きそうなことを2つだけお伝えします。
5G、クラウド関連の成長に期待
皆さん予感されているとおり、これから5G時代が到来します。
モバイル機器の高性能化には微細な半導体が必要で、同社のIR資料にもありましたが、高性能なシリコンウェーハ需要も伸長することが見込まれます。
世界半導体市場統計(WSTS)も市場の成長を見込んでいますし、成長産業にあるということはプラス材料です。
コロナによる世界経済停滞の懸念
ご存知のとおりコロナウィルスの大流行による世界経済への損失は計り知れないと言われています。
半導体関連銘柄、特に日本の株は、実際に半導体が売れるか売れないかよりも、世界経済の情勢の影響を強く受けます。
日経225銘柄である同社の株価は業績と関係無いところで売り買いされたりもしますので、コロナウィルスの影響で世界経済が本当に停滞してしまうようなことになれば、たたき売られるかもしれません。
上がるにせよ下がるにせよこういった外部要因で荒い値動きをするのが半導体関連銘柄の宿命です。
まとめ
今日は僕も保有しているSUMCO(3436)の株価の水準や最新の決算情報などを整理した内容をお伝えしました。
僕はリバランスのため半分ほど売りますが、各種指標も悪くないと思いましたので、残り半分はホールドしたいと思います。
スマホが普及しはじめたころの勢いは無いまでも、5Gなどのモバイル機器やクラウドを支えるデータサーバーなどの市場が拡大するのは間違いなく、半導体の供給を支えるシリコンウェーハの需要も引き続き堅調であることが予想されます。
また冒頭のとおりSUMCOは世界シェア2位のグローバル企業なのもポイントですね。ビジネスにおいて強者の戦い方ができるからです。
簡単に言うと、成長市場で優位性を確保できる、と考えたので投資は継続します。
ただし、過去記事を書いた一昨年とは状況が変わっていて、今から積極的に買い増す場面でもないように感じましたので、新たに買う銘柄としてはおすすめできないかな、という感じです。