僕は大企業に勤める30代の中堅サラリーマンですが、最近とくに20代の若手や新人が「うつ」になったり、会社に来なくなったりするケースを目の当たりにしています。今日はこれら大企業に入社した、いわゆるエリートといってもいい優秀な若手がどうして会社に来れなくなるほどに追い詰められるかを、僕の実体験も交えつつお伝えします。
僕は関西で就職したのち、2年ほど前に東京にある本社へ転勤し、今年から元の職場に戻ってきました。
赴任してすぐに、優秀だと思っていた後輩が職場にいないことに気付きました。
周囲に聞くと1年前から休職中とのことです。
その彼は信頼できる仕事仲間ではありましたが、いわゆる友達関係という訳ではなかったので、職場が離れて疎遠になり、戻ってくるまでそのことを知りませんでした。
この彼以外にも優秀な子が休職したり転職しいてくケースをいくつも見てきた結果、これらの人に共通する特徴が見えてきました。
今日は優秀な若手がどうしてこのような状況になるのか、実際に僕が目にした人達の特徴をお伝えします。
大別すると以下の3つです。
・上司や同僚と考え方が合わない
・与えられた仕事と個人の適性がミスマッチ
それぞれについて具体的なケースと理由を示すとともに、僕自身10年以上続けているサラリーマンとしての経験をもとにうつにならないための対処法もお伝えします。
対処法といっても、僕が具体的に何かできる訳ではないので、こう考えて欲しいという内容です。
目次
仕事に対する責任感が強い
優秀な若手が鬱になったり会社に来なくなったりする一番の理由はこれですね。
ある瞬間に張り詰めていた心の糸が切れるのです。
ミスを自分で挽回しようとして誰にも相談できなくなる
責任感が強く優秀な若手は、その責任感の強さがゆえに、目の前の仕事を自分の力でやり遂げようとします。
そしてその優秀さで、ある程度難しい仕事もこなしてしまいます。
そんな人材でも人間ですのでミスをすることもあれば外部環境の問題で窮地に追い込まれることは必ずあります。
こんな時も彼らは、自分の蒔いた種は自分の責任、1人で挽回しようとし、周囲に「大丈夫です」と言ってしまいがちです。
僕が20代のころの話ですが、自分のミスがきっかけとなった問題が次第にハレーションし、最終的には顧客の上層部に謝罪する事態になったことがあります。
日々深夜までトラブルに対応し、夜眠れず朝はつらい、日々問題は大きくなる一方、もう自分では何ともできない、というか、責任問題として僕では対応できないレベルになってはじめて上司に相談しました。
幸い僕は当時の上司に恵まれ、怒られはしたものの顧客も僕の対応自体は評価してくれ、最終的には事なきを得ましたが、「自分のミスは自分で解決して当然。」と考えるバカな上司や、理解のない顧客だったらと思うとゾッとします。
もしそんな環境にあなたがいるのであれば、まず考えて欲しいのは、「逃げる」という選択です。
とはいえ、いきなり会社を辞めろということではないですし、そんな選択を簡単に取れる人はこのような状況にはならないでしょう。
「逃げたいけど逃げられない」というのが普通です。
じゃあどうすればいいかというと、こまめに「報・連・相」することです。
報連相して、堂々と助けを求めましょう。助けを求めるのはかっこ悪いことではありません。
直接話すと怒りだす人もいるでしょうから、文書にしてメールするなどでもいいでしょう。写しに信頼できる人を入れておくのもおすすめです。
会社は組織なので、上司が部下のアウトプットに責任を持つのは当たり前で、「知らなかったなんて言わせない」という形を作っておくことが重要です。
これを責任転嫁と見るような組織の風土であれば、その時は転職を考えた方が良いです。
期待に答えようと頑張りすぎる
仕事はできる人に集まるものです。これは間違いありません。
とくに優秀な若手には、会社は期待もこめて難しい案件を託したりするものです。
誰しも期待されるのは気持ちがいいもので、もちろんあなたも期待に応えようと一心不乱に仕事に取り組むでしょう。
「君には期待しているぞ」という言葉にモチベーションもあがります。
そして成果を上げるたびに、より難易度の高い仕事がふってくる、優秀な人はこの連鎖から逃れることはできません。
皮肉なことに優秀であるがゆえにあなたは追い詰められていくのです。
僕の同期で一番優秀だった友人は、大企業としては異例の若さで本社に抜擢されたのですが、あまりの激務に体調を崩し、2年前に転職していきました。
働き方改革があと数年早くはじまっていれば、結果は変わったのかもしれません(ちなみにその彼は今は元気です)。
残念で仕方がないと思うとともに、僕の仕事へのスタンスを見直すきっかけを与えてくれました。
昔はできませんでしたが、僕は今、「それは僕の仕事じゃありません」、「分かりました、ただし、この仕事は後回しにします」ということを上司にも言うようになりました。
受けられない仕事は受けられないと宣言することはとても大事です。
会社で偉くなるような人達は、(みかけは)バランスのとれた人格者ですので、相手が断れないように仕事を依頼するのが上手いです。
あなたも、「この人に頼られたら断るわけにはいかない」と思うでしょう。
はい、ストップ。これが一番危ないパターンです。
感情ではなく冷静に、時間的に、能力的に、自分のキャパをオーバーしていないか、と考えてください。
働き方改革が進み、時間外労働の上限規則まで施行されている現代は、もはや根性や気合いで働く時代ではありませんし、安請け合いすると返って組織に迷惑をかけることにもなりかねません。
無責任とか期待外れとか言われたっていいじゃないですか。
会社はそれであなたが潰れた場合の人生を保証してくれません。
信頼していた上司も会社に来なくなったあなたのことを親身になってフォローしてくれることはないでしょう。
なぜなら彼らはしょせん会社の傀儡であり、極端にはあなたを利用しているだけなのですから。
「潰れてしまったか。残念だな。」くらいにそのうち忘れられるでしょう。
また、無理を承知で受けた仕事がうまくいかなくても、気にすることはありません。
ムリゲーなものは誰がやってもムリゲーです。あなたのせいではありません。
新しい仕事にチャレンジできてラッキー。会社は損失被ったけど、それは僕のせいじゃないよね、くらいの気持ちでOKです。
仕事を優先するあまり家庭が崩壊
責任感が強い人が仕事を第一に考えるあまり家庭が疎かになる、よく聞く話で、実際にこのケースは結構見てきました。
仕事はうまくいかず、家でも居場所がなく、心が崩壊する最悪のパターンです。
特に若いうちは仕事との距離感が近すぎて、家に帰ってもずっと仕事のことを考えていたりするものです。
上のようにトラブルの渦中にあれば尚更で、奥さんに仕事の愚痴を言ってないでしょうか。
最初のころはうんうんと聞いてくれるかもしれませんが、きっとストレスになっているでしょう。
そんな話が面白いわけないですもんね。
僕自身が家庭を持ったことがないのでこれに対してはアドバイスできないのですが、家の扉を開ける前に両頬をパチっとして、無理やりでも笑顔を作ってから家に入るのはどうでしょう。
上司や同僚と考え方や性格が合わない
優秀な若手がうつになったり会社に来なくなる2つめの理由としては上司や同僚と合わないことがあげられます。
上司とうまくいかない、そりが合わない
もしかしたら若手がうつになったり会社にこなくなる直接的な原因で一番多いのがこれかもしれません。
会社の上司はあなたを直接評価する一番身近な存在です。
自分の考え方や仕事のやり方を上司に否定されると誰でもかなり堪えます。
特に今課長や部長をしている人達はバブル世代が多く、近頃の若者はメンタルが弱いとか、すぐにゆとりださとりだ持ち出す人もいるでしょう。
分かり合えるはずもないですよね。
僕もいろんな上司のもとで働きましたが、一度徹底的に自分の仕事のやり方を否定される人にあたったことがありました。
初めて話した時からどうも合わないな、と直感はしていました。
人間なので相性があって当然です。今でも僕は自分が悪かったとは思ってません。
課長クラスは数年でローテーションするものですので、一度は耐えるという選択肢をおすすめします。異動願いを出すのも良いでしょう。
たまたまあたった上司のせいで辞めてしまうのはもったいないです。
もちろんパワハラやモラハラの類はこの限りではありません。潰される前に総務にチクってやりましょう。
このような状況にある人に僕の好きなマンガである課長島耕作にあった名言を送ります。
逆らわず いつもニコニコ 従わず
クソみたいな上司にあたった時はこの精神で乗り切りましょう。
僕も割と自分のやり方を曲げないタイプだった(今でもだけど)ので、面と向かっての喧嘩は1度しかしたことないですが、指示をしれっと無視したりとかはしょっちゅうでした。
一方で、立て続けに上司とソリが合わなければ、それは会社そのものとの相性が悪いと考えるべきでしょう。
上司、すなわち出世する人は、会社の体質や風土を一番分かりやすいく表す鏡だからです。
自分と合わない会社にしがみついても評価はされず、給料も上がりませんので、この場合は転職を視野に入れるべきです。
社内に友人と呼べる人がいない
最近は個人主義の若者が多いと言われます。
昔は飲み会も仕事の一部、みたいな感じでしたが、最近はだいぶ減りましたし断りやすくなり、実際来ない若手も増えました。
それは全然かまわないのですが、社内に親しい人自体がいない、という人も増えている印象です。
会社を去る若手にこういうタイプが多いのも事実です。
人生の大半を過ごす職場に気のおけない仲間というか、友達と呼べる存在がいるといないのでは大分違います。
僕自身会社の飲み会はあまり好きではありませんが、月に一度くらい飲みに行く同僚の存在に何度救われたかわかりません。
社外にたくさん友人がいたり、一人でも平気、という人はいいですが、そうでなければ一見生産性のない社内コミュニケーションにも少しは目を向けてみるべきかな、と、思ったりします。
求められる仕事と本人の適性がマッチしていない
上司と合わないのが直接の原因だとしたら、仕事と本人の適正が合っていないのが根本の原因と言えるでしょう。
誰にも得手不得手があり、全方位的に優秀な人材というのは存在しません。
自分のやりたい仕事は、だいたいは、その人の適正がある仕事です。
逆にやりたくない職場にあたると、だいたいは、向いてない仕事なので、成果も出づらいです。
なぜ自分は周りのようにできないんだ、と、日々メンタルが消耗し、うつになる可能性が高まります。
やばい上司にあたるとかよりも、少しづつ蓄積していくのでこちらの方が根が深いです。
僕は今、プロマネという仕事をしていて、それなりに会社にも評価されています。
ただ、これは僕が優秀だということではなく、仕事の適正がたまたま僕に合っていた、という風に考えています。
例えば僕が経理に配属されていたら数字が合わなくて怒られまくってたでしょうし、プログラマーならばバグだらけの無能社員と評されていたかもしれません。
僕よりも全体的に優秀だったはずの同期は、希望ではない部署に配属され異動もかなわず、10年後の今、ただ左から右へと仕事をこなす平凡なサラリーマンになっています。
こういう状態の人は、迷わず転職を選ぶべきです。
上のとおりやりたくない仕事をしてもスキルは身につかず、評価(給料)も上がらない可能性が高いですし、長い人生の大半を過ごす会社生活を、ただ耐えるというのはもったいないです。
転職するなら休職してからが良い
もしあなたが「うつ」になりそうだったり会社に行けないレベルまで追い詰められ、転職を決意しているなら、まず休職しましょう。
今の会社がいやで逃げるようにする転職活動は、きっとうまくいかないからです。
まずは休職という権利を行使し、今の仕事、人間関係を完全にリセットし、前向きな気持ちになってから活動しましょう。
まとめ
今日は優秀な若手、エリートともいっていい人達がうつになったり、会社に来なくなる理由について、僕の経験をもとにお伝えしました。
・責任感が強い
・上司や同僚とそりが合わない
・仕事と自分の適正が合っていない
このような人は要注意です。自覚症状がない場合も多いですので、うつといわないまでもちょっとメンタルにきてると思う人は、一度自分自身を見つめ直してみてください。
将来うつになったり急に会社に行けなくなったりする危険性があります。
「死ぬこと以外かすり傷」という言葉がありますが、本当にそのとおりで、気を楽に持って欲しいなと思います。