宇宙開発関連銘柄をちょっと真面目に考えてみた|40兆円市場の宇宙ビジネスで伸びる株を探せ!

 宇宙開発はこれから一番成長が期待できる分野だと思っています。ソフトバンクが1000億円強を米国のOnewebに出資したり、googleなどが10億ドルを宇宙開発ベンチャーのSpaceXに出資するなど、今時代を牽引するIT企業達が宇宙開発ビジネスへと食指を伸ばしていることからもその期待の大きさがうかがえます。

 今日は宇宙開発に関連する銘柄を考えてみたいと思います。
 宇宙開発に関わる事業を展開する企業の株価は大化けする可能性があると思うからです。

 記事が長くなってしまったので、結論の宇宙開発関連銘柄だけ知りたい方は下のまとめのところだけ見てください。

宇宙産業全体の動向

 まずは宇宙産業全体の動向を確認したいと思います。
 遠回りのようですが、僕は銘柄を探す前に可能な限り市場全体の動向を調査するようにしています。どれほど優れた企業でも事業環境が逆風だと利益を伸ばすのは困難だからです。
 こういう分析には官僚が作った資料が役に立ちます。下図は経産省HPからの引用です。

 少しソースが古いですが、宇宙産業全体で2013年で33兆円規模とのことです。別のソースに2017年は約38兆円とありましたので、市場は年3〜4%くらいで成長しおり、現在約40兆円産業ということです。

 話がそれますが40兆円という数字を少し調べてみたところ、ほぼ日本の税収と同じで、また、日本の医療費ともほぼ同じ金額です。税収と医療費が同じということに疑問が生じますが、話がそれるので置いておきます。

 半導体市場もこのくらいの規模です。また、昨今流行りの仮想通貨市場も40兆円程度らしいです。

 市場の伸び率は思ったほどではないという印象を受けましたが、市場が成長を続けているのは間違いなく、宇宙ビジネスではこれだけのマネーが動いているということです。

売り上げの中心は商業利用の「衛星サービス」

 次に売り上げの比率を見ていきます。同じ経産省の資料によると、宇宙産業の売り上げの75%が商業サービス、25%が軍事も含めた政府系のサービスです。

 さらに宇宙産業の大半を占める商業サービスの内訳を見ていきます。

 上の図からわかることは、「衛星サービス」が売上げの半分以上を占めていることになります。その他半分は衛星の製造や打ち上げ、地上機器産業です。

市場の大部分は通信サービス事業

 さらに「衛星サービス」の内訳を見ていくと、下図のようになっています。同じくソースは経産省です。


 
 衛星サービスの売上げのほとんどは一般放送やブロードバンドサービスの「衛星通信サービス」となっています(上の図のConsumerという部分)。

米国中心で動く宇宙ビジネス

 同資料より宇宙産業の各国の市場比較です。下図のとおり全体のおよそ半分弱が米国市場となっています。宇宙開発も米国主導で進むのは間違いなく、宇宙開発関連銘柄を探すにあたっても米国株は外せません

 一方このデータからは分かりませんが日本が占める割合は数%です。日本でも宇宙開発に力を入れているように見えますが、実態としては中国にさえ大きく溝をあけられているというのが現状です。

市場動向のまとめ

 頭の中がぐちゃぐちゃになりそうなのでざっくりまとめると、以下のようになります。
 ・宇宙産業全体は現在40兆円規模の市場で、年々拡大している。
 ・市場の大半は商業の「衛星サービス」であり、「衛星サービス」の大半は「衛星通信サービス」である。
 ・宇宙ビジネス全体に占める米国の比率が約半分近くある。

 くらいを概観としておさえておけば良いでしょう。

衛星サービス関連銘柄

 衛星サービスの売り上げの大半を占めているのは衛星通信サービスです。宇宙ビジネスの本命銘柄を探すのであればまずはここから調べていくのが王道でしょう。

 衛星通信ニーズは拡大を続けており、関連企業は現在こぞっては5Gとの連携やICTの活用といったテーマに取り組んでいます。クラウド化によりデータを端末に保有しない使い方が一般化するなか、通信の高速化が一つの鍵となります。

衛星通信事業者

 衛星通信サービスを提供している企業として代表的なのはイギリスのインマルサット(Inmarsat:ティッカーISAT)、米のインテルサット(Intersat:I)やバイアサット(viasat:VSAT)、フランスのユーテルサット(Eutelsat)などが挙げられます。日本だとスカパーJSAT(9412)です。

 マイナーですが、ルクセンブルクのSESやオランダのO3b、オーストラリアのNBN社などが衛星事業者としてサービスを展開していますが、僕ら個人が株を買うことはできません。

 これら独自で衛星を保有、運用している会社は少なく、一見独占企業に見えるためこれらが宇宙ビジネスの本命銘柄に見えますが、上のほとんどが衛星を持つという多額の投資に見合った収益を上げれず苦戦しているのが現状で、2018年現在株価はかなり下がっています。
 各社が競って開発を進めるHTS衛星(High-Througput-Satellite)サービスが成功するかどうかが鍵となるでしょう。

 また、独自衛星は保有していませんが、KDDI(9433)はインマルサットやイリジウムと協業したサービスを提供していますし、NTTドコモ(9437)はワイドスターというスカパーの衛星を使ったサービスを展開しています。間接的にはこれらも衛星サービス関連銘柄と言えなくもないでしょう。
 冒頭のとおりソフトバンク(9984)は米国のOneweb社に出資しています。

 大手通信キャリアと衛星事業者の関係性、構図が透けて見えますね。

 もし今僕が株を買うなら米国系のINTELSAT、日本ならソフトバンクですね。ソフトバンクは高いので買えません。

衛星開発銘柄

 衛星開発といえば米国のNASA、日本ならJAXAでしょう。残念ながらこれらは株式会社ではないので株は買えません。
 衛星サービスの根幹となる衛星開発関連銘柄をみていきましょう。

日本の衛星開発関連銘柄

 日本では三菱重工(7011)、IHI(7013)のロケットが有名です。衛星本体の「きずな」を開発したNEC(6701)、「みちびき」を開発した三菱電機(6503)などが衛星製造で有名です。

 これらの衛星の製造には強硬度な炭素繊維を供給するメーカである東レ(3402)帝人(3401)といった化学素材メーカーの存在も重要です。

 ただ、いずれも宇宙開発以外のビジネスが大きいですので、宇宙ビジネスの本命銘柄とは言えないかもしれません。

 最近はホリエモンが民間宇宙開発企業のインターステラテクノロジズと共同で安価な衛星の打ち上げに取り組んでいるニュースをよく見かけます。今の衛星開発の問題点をよく理解しており、目の付け所はさすがだなぁと思います。

米国の衛星開発銘柄

 宇宙開発の中心は米国です。下の図は経産省より宇宙開発関連企業の売上げランキングです。上位はほぼ米国企業が独占しています。宇宙ビジネスの本命銘柄はやはり米国株から探すべきでしょう。

 ロッキードマーチン(LMT)、ボーイング(BO)、ノースロップグラマン(NOC)、レイセオン(RTN)など、上位陣は防衛関連銘柄として有名な企業です。宇宙、防衛とも機材に非常に高い信頼性が求めらます。そういえば三菱重工、IHI、NEC、三菱電機も防衛関連銘柄です。

 ボーイング始めこれら米国企業の株価はずっと好調をキープしています。米国株強し!はここでも健在です。

その他衛星関連銘柄

 衛星通信サービス、衛星製造関連が宇宙開発ビジネスの本丸であることは言うまでもないですが、宇宙ビジネスはそれだけではありません。今回調べて分かりましたが宇宙ビジネスの裾野はものすごく広いです。

センササービス関連ビジネス

 衛星を使ったサービスというと何を思い浮かべるでしょうか。google(GOOG)はNASAと連携し、ランドサットという衛星を使ってgoogleアースを実現しています。さらにgoogleは現在SpaceXに出資し次の一手を狙っています。

 日本では気象情報最大手のウェザーニューズ(4825)、3Dセンシングのアジア航測(9233)などが衛星データを使ったサービスを展開しています。

衛星関連機器銘柄

 衛星に搭載する機材も重要です。キヤノン電子(7739)はレンズ技術を衛星搭載センサに活用しています。IHIの子会社で人工衛星用計測機器を製造する明星電気(6709)なんかは低位株で個人投資家の物色が向かうかもしれません。

 衛星通信には地上側にもアンテナが必要です。古野電気(6814)日本無線(6751)は船舶に搭載する衛星通信用アンテナを製造しています。実はパナソニック(6752)も衛星通信用アンテナを作っています。

 米国株で言えばハニウェル(Honeywell:HON)は航空機向けの高性能アンテナを製造しており、株価も堅調です。確かJALやANAの機体についているアンテナもハニウェル製だったと思います。

衛星ビジネスの将来を考える

 唐突ですが、衛星はざっくり、静止軌道衛星と周回軌道衛星の2種類のタイプに分かれます。

 静止軌道衛星は高高度(36,000km)を生かした広いカバーエリアを売りとし、周回軌道は地上との距離が近く高精細な画像等を取得できます。どちらにもメリットデメリットあり、両者とも無くなることはありませんが、おそらく数年以内に宇宙ビジネスとしての勝敗の大勢が決すると思います。

 InmarsatやEutelsatは静止軌道、SpaceXやOnewebは周回軌道の衛星を使った事業に力を入れています。これら企業の合弁や提携などの話題がよく取りざたされており、業界の再構築の動向にも注視したいと思います。
 

まとめ

 今日は宇宙開発ビジネスに関連する銘柄を調べてみました。上にあげた銘柄で僕らがネット口座等で購入できるものを下の表にまとめましたので、宇宙産業関連銘柄に興味のある方は参考にしてみてください。
 ただし、下記はほんの一例です。宇宙開発は技術の裾野がものすごく広く、テーマ株として一括りに取り扱うには無理があるなとこの記事を書きながら感じました。

日本株 米国株
衛星事業者
スカパーJSAT(9412) インマルサット(ISAT)
インテルサット(I)
バイアサット(VSAT)
通信キャリア
KDDI(9433) AT&T(T)
NTTドコモ(9437)
ソフトバンク(9984)
衛星製造関連
IHI(7013) ロッキードマーチン(LMT)
MHI(7011) ボーイング(BO)
NEC(6701)
ノースロップグラマン(NOC)
三菱電機(6503) レイセオン(RTN)
東レ(3402)
帝人(3401)
衛星関連機器
キヤノン電子(7739) ハニウェル(HON)
明星電気(6709)
古野電気(6814)
日本無線(6751)
パナソニック(6752)
サービス関連
ウェザーニューズ(4825) google(GOOG)
アジア航測(9233)

2018年に入ってINTELSATの株価がすごく上がってます。

おわりに

 今年は投資成績もぼろぼろで、ここしばらく投資関連の記事を書くことを無意識に避けていたのですが、宇宙開発関連は久々に書く投資テーマとしてはあまりに重く、情報収集とその内容の理解にものすごく疲れました。

 今日記事に書いた内容は宇宙ビジネスに関わる銘柄のほんの一部です。

 調べてみて一番感じたのは、宇宙産業は間違いなく伸び続け、そしてその恩恵を一番教授するのは米国です。国としてそれだけの投資をしています。

 宇宙開発は先行投資が重要で、産官学の連携、初期段階は特に官の投資が必須ですが、日本は米国どころかロシア、中国にさえ大いに遅れをとっており、宇宙開発に携わる人は1990年代より減っているそうです。

 日本の株式市場はギャンブル場ですので何かのニュースを拍子に株価が飛んだりする企業があるでしょうが、国が口先だけでなくしっかり後押しをする(=予算を増やす)ことがない限り、日本で宇宙関連銘柄を探す意味はないというのが僕の出した結論です。

・関連記事です。僕はviasatを保有中です。