太陽光発電の発電量が急に減った!故障かな?と思った時にまず確認して欲しいこと

太陽光発電を導入しているご家庭や、投資用の太陽光発電所を保有されている方は毎月の売電額を確認していると思います。実績が少ない月なんかは「なんか今月は発電量が少ない気がするなぁ」、「太陽光パネルが故障したのかなぁ」、と不安になることがあると思います。単に天気のせいなのか、器材の故障なのか切り分けたいですよね。

今日は太陽光発電の発電量の低下が異常かどうかを確認する簡単な方法をお伝えしたいと思います。

家庭用の太陽光発電でも投資用の野立ての太陽光発電でも共通して使える手法です。

電力会社から送られてくる売電実績を見て、売電額が急に減った!これはパネルの故障だ!と決めつける前に一度下記を試してみてください。

この方法は気象庁の提供する過去の気象データを見ながら確認を進めていくことになります。

スマホでは見辛いと思いますので、ご家庭のパソコンを使って確認されることをおすすめします。
 
まずは、お手元に電力会社から送付された売電購入実績など発電量が分かるものを複数準備してください。

先月と先々月とか、先月と去年の同じ月の実績とかでよいです。

この方法は簡易手順ですので、1回分の実績では判別ができません

気象庁の過去の気象データを活用して確認する方法

さっそくですがまずは気象庁のHPにアクセスし、過去の気象データを開きます。

以下の画面になったでしょうか。

上の画面には下記リンクから直接とべます。
・過去の気象データへのリンク(気象庁公式HP)

観測地点の設定

次に観測地点の設定です。以下の赤枠のところから都道府県設定、観測地点を設定します。

ここで最初の注意点です。

太陽光発電の発電量の比較には、「全天日射量」のデータが必要となります。

そしてこの日射量ですが、全ての観測地点で測定されてはいませんので注意してください。

お住まいの最寄りで日射量データが開示されているポイントを探して選択することになります。

例えば、東京都であれば、下図の東京がそれに該当します。僕が調べた限り他の地点は日射量データがありませんでした。

赤の二重丸地点がデータが豊富です。ただし、二重丸地点全てが日射量データがある訳ではありません。

ためしに関東近辺を調べてみましたが、千葉であれば銚子、茨城はつくば、栃木は宇都宮に日射量データがあります。

なお、神奈川、埼玉にはポイントがありませんでした

なので、お住まいの県の二重丸地点を選び、下の手順に進んで日照量データがなければ近隣の県の観測地点で代用するということが必要です。

精度は落ちますがざっくり確認手法ですので十分です。

ただし、秋田と岩手など、日本海側と太平洋側は天気が全く違いますのででそこは注意して選んでください。

「観測開始から月ごとの値を表示」を選択

観測地点を設定したら次に「観測開始から月ごとの値を表示」を選択します。

これ以外にも日ごとや月ごとのデータも開示されていますので、もっと深くみてみようと興味があれば参照してみてください。

一番てっとり早いのがこの方法です。

「全天日射量」を選択

「観測開始から月ごとの値を表示」を選択すると以下の画面になりますので、赤枠の「全天日射量」を選択します。

日射量と似たような言葉で日照時間というものがありますが、太陽光発電の実績を確認するためには日射量でみる必要があります。

日照時間はその名のとおりですが、太陽光発電は時間帯(太陽の角度)によって発電量が異なるため参考にはなりません。

例えば朝と夕方はすごく晴れていても、太陽光が最も発電する昼だけ曇っていた、などの場合、日照時間と発電量の相関関係は低くなってしまいます

一方で日射量は、その地点で太陽光パネルそのものを使って測定されているため、これはお手持ちの太陽光発電施設との比較が可能です。

売電実績と全天日射量を比率で比較

各年の全天日射量の月別平均値が下のように一覧表として表示されます。

これを、お手持ちの売電実績と見比べて、表の数値の比率と売電額(発電量)の比率が概ねあっていれば、発電量の低下は器材の故障ではなく天候によるものであることが分かります。

補足しますが、比べるのは比率です。

例えばお手持ちの1つの売電実績が1万円だとして、その月の表のデータが10だとします。

もう1つの売電実績が9千円だとして、その時の表のデータが9であれば、だいたい合ってる(この期間は故障はない)、ということが分かります。

サンプルは多ければ多いほど精度があがるでしょうし、年平均でみれればなおよいでしょう。

逆にこれで発電量の低下が明らかに異常だと感じられた場合、太陽光パネルになんらかの故障があるかもしれません。

発電量は季節や月でこんなに変わるもの、実例で紹介


上の方法による確認の一例を示したいと思います。

夏と冬で発電量は倍半分くらいは違う

下の図は千葉県(銚子)の2018年の全天日射量のデータです。

少し見にくいですが、赤枠が8月の日射量、青枠が10月の日射量を示しています。

実に半分です。2018年の10月は台風などの影響で特に天気が悪かったこともありますが、夏と秋でこれだけ違います

当然ご自宅の太陽光の発電量も半分になっていても不思議ではありません。というか半分くらいになっているはずです。

去年の同じ月と比べても発電量は結構違うことがある

一方下の図は大阪府の2017年と2018年のデータです。

赤枠が9月、青枠が10月を示しています。

みてのとおり、9月は2017年が2018年の1.5倍、10月は逆に2018年が2017年の1.5倍となっています。ご自宅の太陽光発電の発電量もこれと同じくらいの差が出ているはずです。

太陽光発電は毎年の変動が少ないように見えますし、年を通じてみると実際そのとおりなのですが、ひと月レベルでみるとこれくらいの差はでるものなのです。

なので、去年より大分発電量が減ってる!と大騒ぎする前に、これらのデータを使って確認してみることをおすすめします。

この手法を使う際の注意点

最後に注意点です。

お手元の電力会社から送付される売電実績は必ずしも毎月1日から月末までの発電量ではないことに注意が必要です。

一方で気象庁のデータはその月の計測データですので、たとえば電力会社の検針日が月の中日などであれば、前後の月も加味して判断する必要があります。

太陽光発電の曇りや雨の日の発電量をはどのくらい?でも書いたとおり、その日の天気次第で発電量は大きく違いますので、月の前半と後半で天気が大きく違えばデータとのずれも大きくなります。

この点は注意してください。とはいっても5個くらいサンプルをとれば傾向はつかめるでしょう。

まとめ

今日は気象庁が開示している過去の気象データを使って太陽光発電に異常がないかを簡易的に確認する方法についてお伝えしました。

上で示したとおり、月ごとによって結構な変動がありますので、発電量が急に減った!太陽光パネルの故障か!?と不安になった方はまずこの方法で確認してみることをおすすめします。

なお、過去の売電額と日射量の関係を絶対値として算出したい!という方は、上記の方法に加えてNEDOが提供するデータを活用すればより厳密に見ていくこともできます。

ただしこれにはそこそこ手間がかかります。気が向いたらこのやり方についても記事にしたいと思います。