【XOM/RDS.B/BP/CVX】高配当の石油メジャーの株は買い時か|株価や業績を比較

米国株のエクソンモービル(XOM)、シェブロン(CVX)や、ホタテのマークで有名なオランダのシェル(RDS.B)、イギリスの(BP)など、いわゆる「スーパーメジャー」とよばれる石油関連銘柄は高配当を理由に米国株投資家に人気が高いのですが、いずれも直近の株価が急落しています。原油価格の下落がきっかけです。もしかして買い時かと思いこの4社を比較してみました。

今日は石油関連銘柄として有名なエクソンモービル(XOM)、シェブロン(CVX)、ロイヤルダッチシェル(RDS.B)、ブリティッシュ・ペトロリアム(BP)の直近の株価や配当利回り、業績を整理、比較した内容をお伝えします。

2020年4月現在、エクソンモービル(XOM)はじめ、スーパーメジャーとも呼ばれる世界に名だたる石油関連企業の株価が軒並み下落しています。

理由は言うまでもなく、原油価格の急落、というか暴落です。

WTI原油先物価格は20ドルを切る水準となっており、これは実に18年振りのことです。

原油価格が下がると、それを販売する石油会社の株価が下落します。

エクソンモービル(XOM)の株価を例にとると、ほんの数ヶ月前から半値という水準になっています。

xom,エクソンモービル

僕も株では結構やらかしてますが、これらに最近投資した方々の心中お察しします。

と言いつつ、ここまで下がったら反動もあるんじゃないかと期待するのが僕のいやしいところで、今日は石油関連銘柄として代表的な上記4社の株価推移や配当利回りなどの比較をまとめてみました。

結論として、いくらなんでも売られ過ぎだと考え、下にツイートしたとおり僕はRDS.Bに追加投資しました。


石油関連銘柄の特徴

XOMやシェブロンなどそれぞれの個別銘柄の分析はすでに多数の米国株投資ブロガーの方々がされていますので、ここでは要点だけまとめます。

石油関連銘柄の特徴
圧倒的な高配当
・業績は低迷傾向でキャピタルゲインは期待できない
・株価は原油価格に連動

 

安定した配当を期待する、長期投資向きの銘柄群といえます。

圧倒的な高配当銘柄

配当
エクソンモービル(XOM)をはじめ、石油メジャーの株は圧倒的に高配当であることが人気の理由です。

高配当銘柄が多い米国株の中でも群を抜いています。

一般的には3%もあれば高配当と言われるところ、石油メジャーは平均5%くらいの水準です。

株主還元姿勢も強く、たとえばXOMは36年連続増配という記録を持っています。

後述しますが、昨今の株価急落を受け、この配当利回りがとんでもない水準になっていることが、僕が追加投資を決めた主な理由です。

業績は低迷傾向


昨今は電気自動車の普及や、太陽光、風力などのクリーンエネルギーへの転換に加え、シェールガスの登場など、全般的に石油業界には逆風の事業環境といえるでしょう。

短期的には浮き沈みありますが、長期的に見ると各社とも業績は苦しくなってきている傾向です。

いつか尽きるであろう石油資源を根っこにしたビジネスの将来が明るくないことは誰にも簡単に想像がつきますね。

株価は将来への期待を取り込むため、これらの銘柄は株価の上昇によるキャピタルゲインを狙うには不向きな銘柄といえるでしょう。

ただ、僕は上のとおり株価は下げすぎだと判断しているので、急落の反動を狙えるのでは、と考えています。

株価は原油価格に連動


すごくざっくりですが、石油メジャーは文字通り、原油やガスなどの天然資源を石油など僕たち市民がエネルギーとして使える形に精製し販売するのがビジネスです。

原油価格が下落すると各社の株価も下落する傾向があります。

原油が安くなれば利幅が増えるんじゃない?と、なんとなく逆な気がするかもしれませんが、ここは相関の関係です。

原油価格の指標である、WTI原油先物の5年推移は以下のとおりです。

過去5年でみても最安値であり、最近のニュースでは史上初のマイナス価格をつけたとありました。

WTI原油先物

石油メジャーの中でもロイヤルダッチ・シェル(RDS.B)がもっとも原油価格との連動性が高い印象です。

RDS.B

同じ5年スパンで比較するとよく似た動きに見えるでしょう。

石油関連銘柄の株価推移

石油関連銘柄の特徴を概観したところで各社の株価推移を見ていきましょう。

上のとおり各社とも直近の下げはかなりきつく、底を探しているようにも見えます。

まさに「もうはまだなり、まだはもうなり」という投資の格言がぴったりな状況ですね。

各社の簡単な紹介も添えつつ、直近の株価を整理しました。

エクソンモービル【ティッカー:XOM】

エクソンモービル(XOM)は米国株投資家に人気の銘柄ですね。

今日ご紹介する銘柄の中では圧倒的に知名度が高いです。

XOMはロックフェラー系譜を引く世界最大級の石油会社で、石油メジャー「セブンシスターズ」の中でも最も古い歴史を持ちます。

歴史も面白いですが、長くなるのでこの辺は割愛していきましょう。

XOMの特徴について米国株ブロガーの方々の意見を集約すると、高配当なことに加えて他社と比較して業績がよい、ということです。

ざっくりしすぎですが、株価にいきましょう。

・XOMの株価(1年)
XOM株価

・XOMの株価(最長)
XOM推移

直近1年で見ると、80ドル近辺から40ドルと、半値近くまで下がっています

また、最長スパンでみると、2000年頃、実に20年前の水準まで急落しているということです。

シェブロン【ティッカー:CVX】

シェブロンはXOMと同じく米国に拠点を置く同じくスーパーメジャーの一角です。

XOMと同じくダウ30種に選定されています。

ダウのエネルギーセクターはXOMとCVXと、天然ガス系のコノコフィリップス(COP)があり、よくニュースで原油反発でダウ上昇、などとあった時は、これらの銘柄の株価が上がった、というケースが多いです。

・CVXの株価(1年)
シェブロン株価

・CVXの株価(最長)
シェブロン推移

同じ米国株の同じ石油銘柄ならXOMでいいじゃん、と、正直シェブロンには注目していなかったのですが、株価推移で見るとシェブロンの方が僕好みですね。

この記事を書いているのは4月後半ですが、3月末の54ドル台から80ドル台後半と、急速に折り返しています。

1ヶ月に買ってたら、50%もキャピタルゲインが得られたということです。

石油関連銘柄の値動きではありません。やはりちょっと異常な相場だと言ってよいでしょう。

ロイヤルダッチ・シェル【ティッカー:RDS.B】

ロイヤルダッチ・シェル(RDS.B)のシンボルであるほたてのマークは日本でもみなさんみたことがあるでしょう。

昭和シェルはRDS.Bの傘下でした。その昭和シェルは現在出光興産と経営統合しています。

RDS.Bの特徴はADR(米国預託証券)で、ネット証券の米国株口座などで米国株のように売買できますが、実際はオランダの会社です。

似たもの、というか同じ銘柄なんですが、RDS.Aも買えますが、現地課税がないRDS.Bを選ばない手はありません

・RDS.Bの株価(1年)
RDS.B株価

・RDS.Bの株価(最長)
RDS.B推移

僕が投資を始めた2016年も今ほどではないにしろ、原油価格がかなり下がっていました。

僕の初めて買った銘柄の1つでとても思い出深い銘柄ですが、今回の下落で含み損となりました。

それでもあえて追加投資という判断をしています。

ブリティッシュ・ペトロリアム【ティッカー:BP】

BPはイギリスの石油会社で、同じく現在もスーパーメジャーの一角です。

BPといえば約10年前のメキシコ湾での原油流出事故が世界中で大きく報じられました。

こちらもADR銘柄で、配当の二重課税がないのが特徴です。

・BPの株価(1年)
BP株価

・BPの株価(最長)
BP推移

BPも例に漏れず直近の株価は半値コースとなっています。

最大スパンで見るとRDS.Bと同じく1990年代の水準まで逆戻りしています。

株価比較のまとめ

ここまでXOM、CVX、RDS.B、BPの株価推移をまとめましたが、概ね以下のことが見えてきました。

石油関連銘柄の株価比較
・各社直近は半値くらいまで下げている
・長期スパンでは米国株(XOM,CVX)が優位

 

特に長期スパンで見た時にRDS.BとBPの下げの方がきついというのは比較してみて初めて気がつきました。

僕はRDS.Bに追加投資しましたが、今買うならXOMの方がいいかもしれませんね

各社の配当利回りの比較

株価推移の次に、配当利回りを見ていきます。

石油関連銘柄は高配当が魅力で、成長産業でないことが明らかな業種に投資する理由はこれしかありません。

4/24の終値で計算しています。

4/24現在 XOM CVX RDS.B BP
株価 43.7$ 87.0$ 33.8$ 23.9$
利回り 8.0% 5.6% 11.1% 10.6%
配当月 3,6,9,12 3,6,9,12 3,6,9,12 3,6,9,12
増配記録 37年 33年 0年(減配なし) 2年

やはり圧倒的な配当利回りですね。

今回の原油価格暴落で減配せずに耐えられるかが、株価の行方を左右するのは間違いないでしょう。

権利日などの正確な情報はこの記事のソースとして使っているmorningstarなどを参考にされるのが良いでしょう。

・モーニングスターへのリンク

米国2社(XOM,CVX)は連続増配

原油安は過去にもあり、かなり苦しい時期もあったのですが米国系2社は30年以上の連続増配です。

やはり米国株は強い、というのは原油銘柄でも同じですね。とくにXOMは買い時に見えます。

欧州系(RDS.B,BP)は高利回り

RDS.Bも連続増配とはいかないまでも70年以上の減配なし記録はすごいです。

BPは原油流出事故の時に大きく減配しましたが、近年はキープしています。

僕がRDS.Bに追加投資した理由

僕がRDS.Bに追加投資した理由はこの配当利回り水準が魅力的だったからです。

上のとおり配当利回りが10%を超えています。僕が追加投資した一ヶ月前は15%オーバーでした。

史上ない原油価格の暴落による減配のリスクは多分にありますし倒産したらもとも子もないですが、もしこの水準がキープされれば、配当だけで10年後には投資元本が回収できるということです

どう考えてもバグってる、という判断をしました。

ただ、追加投資により僕の保有株の中での比率をかなりあげましたが、適正水準に戻れば売却し、資産の10%くらいまで比率を落としたいと考えています。

投資は成長産業にするべきだと考えるからです。

株価がこのままずるずる下がるようであれば、またその時に判断します。

業績の比較

各社の売上高と営業利益をまとめてみました。ソースはモーニングスターで2019年の決算です。

(十億ドル) XOM CVX RDS.B BP
売上高 255.58 139.89 344.88 278.40
営業利益 12.77 0.10 22.95 16.19
純利益 14.34 2.92 15.84 4.03
PER 20.3倍 17.3倍 11.9倍 26.9倍

売上高はすごい数字ですね。

ロイヤルダッチシェルの売上高は実に35兆円くらいあるということです。

ただ、これは原油価格暴落の起こる前の業績ですので、今年度はもっと厳しくなるでしょう

シェブロンの利益率が低い

シェブロンの利益がほとんど無いのが気になりますね。

こういう数字は、なんとか赤字を避けるために、財務テクニックを駆使してひねり出した数値に僕には見えます。

やはり米国株のエネルギーセクターならXOM一択でしょう。

各社前年度より業績は悪化している

上の表にはのせてませんが、各社前の年より業績は悪化しています。

そこに今回の原油価格の暴落ということで、今年の決算はかなり危ない気がします。

特にBPの業績は苦しそうで、欧州株ならBPよりRDS.Bかな、と考えます。

割安性はRDS.B

表の最後に割安性を示すPERを載せています。

RDS.Bがもっとも割安であることがわかります。

僕は割安株が好きなので、この観点でもRDS.Bに惹かれますね。

ただ、PERは純利益から計算されるため、一過性の利益や損失が含まれるので、これだけを判断材料とするのは危険ですし、今年はかなり数字が動くでしょう。

今はこういう水準にある、という参考程度の情報ととらえた方がよいでしょう。

原油銘柄の今後を占う重要な要素

最後に今後これらの銘柄の株価や業績に影響が大きそうなことをお伝えします。

OPECプラスによる協調減産の影響

直近の原油価格急落を受け、2020年4月にOPECプラスによるサウジとロシアの過去最大規模の協調減産が合意されました。

これは歴史的な合意と言われ、今後の原油価格の上昇が期待されます。

このニュースの直後は様々な思惑により相変わらずの乱降下の様相ですが、長期的に見れば原油価格の上昇圧力となるはずです。

コロナによる原油需要の低下

原油価格を決めるのは需要と供給のバランスなのは言うまでもなく、コロナの影響による経済停滞の影響は計り知れません

わかりやすいところで言うと、航空機がこれだけ減便されていれば石油の需要が激減するのは当たり前です。

これらプラスの要素とマイナスの要素がせめぎ合い、今後も石油関連銘柄の株価は大きく動くでしょう。

まとめ

今日は石油メジャー4社(エクソンモービル、シェブロン、ロイヤルダッチシェル、ブリティッシュペトロリアム)の株価推移や業績を比較分析してみた内容をお伝えしました。

冒頭のとおり僕はRDS.Bに追加投資しました。

史上最低価格を更新し続ける原油価格という大きなリスクを孕んだ銘柄群ですが、いつか株価に底はくるはずで、今は買い時だと判断しました。

同じくタバコ関連銘柄を比較した関連記事です。
【MO/PM/BTI】高配当のタバコ銘柄は買い時か

そういえば昔RDS.Bを買った時に書いた記事も参考まで。これはブログを始めた初期のもので、今読んだら酷い文章です(笑)。
僕が選んだのは高配当で有名なロイヤルダッチシェル(RDS.B)