セントラル警備保障(CSP)(9740)の株価分析|セコム、ALSOKとの比較

セントラル警備保障(CSP)はあまり有名じゃないかもしれませんが、実は警備業界No.3の民間警備会社です。安全・安心ニーズを背景に業績は好調で、株価も上がっています。来年には東京オリンピックもありますし、ますます売上拡大が期待できる同社の株に興味を持ったので、今日はCSPを投資対象として分析した内容をお伝えします。

CSPの設立は1966年です。業界No.2のALSOKもほぼ同時期に設立されました。

50年以上の歴史ある会社だったのですね。最近はV6の岡田君が出演するCMをたまに見かけます。

1997年からJR東日本が筆頭株主となっていて、JR系の仕事を多く持っているのが特徴です。

また、業界No.1のセコムやALSOKがホームセキュリティや遠隔監視などを手掛けるのに対し、CSPは常駐警備が主力というのが違いのひとつです。

そんなCSPですが、企業のセキュリティ強化を背景に警備需要は拡大しており、同社の株価も数年前からかなり上がっています。

警備関連銘柄はだいぶ前から注目されている分野ですが、今から株を買ってもよいかどうか考えてみました。

警備業界全体を見るために、業界No.1のセコム(9735)とNo.2のALSOK(2331)との比較を交えつつお伝えします。

CSPの過去10年の株価推移

さっそくですが過去10年の株価推移を示します。

2018年の1年間で約3倍に成長

CSPの株価は2018年の1年間だけで約3倍になっています。

日本の株式市場全体で見ると、2018年は日経平均は下落していますので、そんな外部環境をものともせず上昇したのはすごいですね。後で示しますが、昨年度は特に業績が良かったためです。

保守的な僕は正直この時点でもう株を買う気は失せてしまいました。

とはいえ、まだまだ上値を追うかもしれませんので分析は続けます。

セコム、ALSOKの株価

同業他社であるセコムとALSOKの株価推移を示します。

・セコム
・ALSOK

両社とも好調です。

CSP含め上昇の波の時期は微妙に違いますが、警備関連銘柄全体として好調であることが分かります。

その中でもCSPの上がり方はすごいですね。これは中小型株であることも一因です。

CSPの業績

同社のIR資料、決算資料をもとに業績推移をまとめました。

売上はきれいな右肩上がりですね。

利益を見ると、2018年から2019年で倍になっています。上で示した株価の急上昇の要因はここですね。

一方で、2010年度の利益に対する会社予想は10%程度を見込んでいます。

10%成長は十分すごいことですが、今から株価が2倍3倍になるようなことはないでしょう。

同業他社との比較

株価と同じくセコムとALSOKと比較してみます。

昨年度の本決算から売上と営業利益をまとめてみました。

CSPは業界No.3ですが、上位2社との差はすごく大きいです。

大手2社は多角化も進めていることもありますが、それでも売上高で見るとセコムの1/10規模というのは衝撃です。

警備業界は信頼が必要ですので、後から他社が参入しづらく、これら企業による寡占状態であるといえます。

逆に言うと利益率の良い仕事を選べる立場であり、安定した収益が期待できますね。

働き方改革や賃金改正などもあり、実際各社値上げもしています。

普通の企業はなかなかサービスの値上げに踏み切れないですが、代替がきかない会社は強いです。

売上構成比率

続いて同社の売上構成比率をまとめてみました。

大手2社が多角化を進めているのに対し、ザ・セキュリティ企業という事業形態です。

警備事業が拡大

CSPの強みである警備事業はこれからも大型案件が目白押しです。

延べ16,767人を出動させた伊勢志摩サミットでの実績を生かし、東京オリンピックでは延べ56,000人という大規模な警備を計画しているそうです。

また、沖縄の辺野古周辺の海上警備も担当するとのことで、施設常駐だけでなく、海洋監視までも手掛けるようになっています。

都市部の再開発で建設中の新しいオフィスビルの警備も担当するでしょう。

警備に特化したCSPにとって事業環境は追い風以外のなにものでもないといった感じですね。

サイバー分野へ進出


同社はCEC(9692)と連携してサイバー分野のセキュリティ事業へ進出を試みています。

CECはアプリケーション開発から、ICTインフラ構築・運用・セキュリティまでを手掛ける企業です。

サイバー脅威はますます高まっていますので、両社の強みを生かしセキュリティソリューション需要を取り込む狙いです。

出典:CSP IR資料

このような新規展開の成否が今後の株価の行方を左右するでしょう。

ファンダメンタルズ分析

続いて株価指標の観点から分析してみます。

株価は2019年10月時点の5,750円で計算しています。

1株当たり純利益(EPS) 152.36円
株価収益率(PER) 28.51倍
株価純資産倍率(PBR) 2.59倍
自己資本利益率(ROE) 9.70%

割安さはない

割安性を示すPERは28倍と、日本企業の平均からすると結構高いですね。

同業のセコムやALSOKより高いです。

PERの高さは企業の成長性への期待という見方もあるので低けりゃよいというものではありませんが、同社の決算予想の数値からすると今は少し買われ過ぎな水準かもしれません。

低調な決算を発表すると一気に株価が急落するリスクがありそうです。

配当、株主優待

CSPの配当と株主優待をまとめます。

配当金、利回り

配当利回りは1%きっていますので、明らかに配当狙いの銘柄ではないですね。

配当額合計 40円
配当利回り 0.70%
配当性向 22.89%

株主優待

100株あたり、1,000円分ということで、こちらも魅力的ではないですね。

優待内容 優待獲得株数
(2月のみ)
オリジナル図書カード(500円)
1枚 100株以上
2枚 1,000株以上
10枚 10,000株以上
(8月のみ)
オリジナル・クオカード(500円)
1枚 100株以上
2枚 1,000株以上
10枚 10,000株以上

CSPの財務分析

続いてCSPの財務状況です。

総資産(百万円) 52,637
自己資本比率 45.70%
利益剰余金(百万円) 15,167
有利子負債(百万円) 5,638

自己資本比率が高く財務は健全

自己資本比率は企業の安定性を示し、優良の基準とされる40%以上ありますので、財務は健全です。

有利子負債も少ないので、少なくとも倒産の心配はなく、長期で持っても安心できる銘柄といえるでしょう。

コスト構造分析

同社の今年度の損益計算書からコスト構造を整理してみました。

高い原価比率

同業他社を分析した時にも気付いたのですが、やはり原価比率が高いですね。

働き方改革や少子高齢化による人件費の高騰の影響が大きいでしょう。

特にCSPは常駐警備など、人を派遣しての業務が主力ですので、なかなかこのコスト構造は変えられないことが想像されます。

さらなる利益を出していくには自動化などを推進していく必要があります。もちろん同社はすでに取り組んでいます。

CSPの今後の株価を予想

警備需要は潤沢で、同社の事業環境は追い風そのものだと思いますが、僕は上で書いたとおり、将来の期待値を込みでみても、買われ過ぎの水準にあると思います。

もちろん売上高は伸びるでしょうし、利益もしっかり出していくと思います。

それでも株を買うかという観点ではすでにタイミングを逃してしまった感が否めないですね。

まとめ

今日は警備業界No.3のCSP(9740)の株価、業績を確認し、投資対象として分析してみた内容をお伝えしました。

警備関連銘柄に興味を持ち、先日セコムとALSOKも分析した時も思いましたが、やはり僕なんかが興味を持つころには既に遅いという感じですね。

ALSOK分析の時にも書きましたが、警備業界は間違いなく追い風で、今後数年の成長が期待できますので、もしかするとまだまだ株価は上がるかもしれません。

特にCSPは規模が比較的小さい中小型株ですので、良いニュースなどがあれば一気に株価が動意付くことがあると思います。

ただ、当然下がる側に傾くリスクもあり、今の水準だとリスクの方が大きいかなという印象です。

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業界No.1のセコムとNo.2のALSOKについて同様に分析しました。状況はみんなそっくりですね。