東京オリンピックを控え、警備関連銘柄に注目が集まっています。今日は「セコム、してますか?」でお馴染みのセコム(9375)の株価や業績などを確認し、今から株を買うべき銘柄か分析してみたいと思います。
セコム(9375)は日本で最大の民間警備会社で、家庭用セキュリティシステムでは国内シェアの8割を占めています。
2位はALSOK(綜合警備保障)ですが、売上高ベースでは2倍以上の差を付けての圧倒的No.1です。
警備関連銘柄の筆頭といえるでしょう。
そんなセコムですが、一人世帯の増加、安心・安全ニーズを背景に成長を続け、とうとう売上高は1兆円を超えました。
来年には東京オリンピックを控え、さらなる事業拡大が期待されます。
株価も同じく上昇が期待できるのか、買い時なのかどうかを分析してみた内容をお伝えします。
目次
セコムの過去10年の株価推移
さっそくですが、まずは過去10年の株価推移です。
10年で約2.5倍
株価は過去10年でみると約2.5倍になっています。
2013年から2015年にかけてはアベノミクス相場で日本企業の株価が全体的に上がった時期でした。
株価上昇中の2013年の9月に東京オリンピックが決まりましたので、これによる後押しもあったでしょう。
2015年以降停滞しているように見えますが、緩やかながらもきれいな右肩上がりに見えますね。
このまま1万円の壁を越えられれば、一段の伸びが期待されます。
セコムの業績
同社のIR資料より過去の業績をまとめてみました。
売上高は1兆円超え
売上高は9期連続の増収を達成し、初の1兆円台を達成しました。
1兆円というのは日本企業全体のトップ150くらいに位置し、日本を代表する企業のひとつと言ってよいでしょう。
もちろん警備関連銘柄ではダントツです。
利益は横ばい
売上高がきれいな右肩上がりなのに対し、営業利益は横ばいですね。
少子高齢化に伴う人手不足で、警備員の人件費が上がっている影響が大きいでしょう。
株式市場ではとくに、いかに売上が伸びようとも利益が伸びなければ成長していないととられる傾向にありますので、株を買うという点では懸念材料ですね。
売上構成比率
続いて同社の売上構成比率をまとめました。
セキュリティ事業が全体の半分以上を占めますが、それ以外も結構多いことに気がつきます。
セキュリティ事業拡大、多角化の推進
同社は積極的に事業の拡大、多角化を進めています。
セキュリティ事業では、業界4位のアサヒセキュリティを子会社化しました。
防災分野では能美防災(6744)をグループ会社化していますし、地理情報サービスに強みのあるパスコ(9232)と資本提携しています。
ちなみに見慣れないBPOとは、Business Process Outsourcing、業務プロセスアウトソーシング事業で、クラウドサービスやデータセンター事業も手がけています。
このようにグループ全体としての強みを生かした事業拡大を狙っています。
ファンダメンタルズ分析
続いて株価指標の観点から分析してみます。
株価は2019年10月時点の9,735円で計算しています。
1株当たり純利益(EPS) | 421.56円 |
株価収益率(PER) | 24.04倍 |
株価純資産倍率(PBR) | 1.96倍 |
自己資本利益率(ROE) | 9.40% |
割安さはない
割安性を示すPERは24倍と、日本企業の平均からすると高いですね。
PERが高いということは企業の成長性に期待されているともいえますが、割安株を好む僕にはちょっと躊躇してしまう水準です。
配当、株主優待
セコムの配当と株主優待をまとめます。株を長期保有するならこれらも大切です。
配当額合計 | 170円 |
配当利回り | 1.76% |
配当性向 | 44.70% |
配当
配当金は1株あたり170円で、配当利回りは1.7%と高くありません。
約100万の投資金額に対し1年で1万7千円の配当は物足りないというのが正直な感想ですね。
配当性向も高めですので、簡単には増配できないでしょう。
株主優待
株主優待は自社グループ商品の優待券です。
優待内容 | 優待獲得株数 | 備考 | |
自社グループ優待券 | 100株以上 | ※健康食品セット(「ウコン&レバー」・「有機八彩の青汁」)1,000円割引または健康食品「五種神讃茸」10,000円割引または防災用品セット「セコム・スーパーレスキュー プラス」10,000円割引に利用可 |
僕はいらないですね。
財務分析
続いてセコムの財務状況です。
総資産(百万円) | 1,733,895 |
自己資本比率 | 57.40% |
利益剰余金(百万円) | 910,707 |
有利子負債(百万円) | 51,833 |
自己資本比率が高く財務は健全
自己資本比率は57%と一般的に優良とされる40%を大きく上回っています。
有利子負債も500億円と絶対値としては大きく見えますが、潤沢な利益剰余金に比べれば微々たるものです。
財務状態は非常に健全で、倒産なんてありえないという状況ですね。
コスト構造分析
同社の今年度の損益計算書からまとめました。
営業利益率は10%を確保していますし、純利益もしっかり出しています。
高い原価比率
気がかりなのは原価比率が70%と高いことです。ほとんどがセキュリティの人件費です。
働き方改革や人手不足もあり、ここはなかなか圧縮できないでしょう。
このコスト構造では大幅な利益の伸びは期待できず、その意味で株価も上がりづらいと見ることができるでしょう。
業界分析
2020年に東京五輪を控え、警備業界の風向きは非常に良いと言えると思います。
そんな中、業界の再編が進んでいます。
上で書いたとおり業界No.1のセコムは子会社化や資本提携による業務拡大を進めていますし、No.2のALSOKはホーチキ(6745)などと資本提携しています。
人件費も高騰を続けますし、警備員の派遣を主体としたセキュリティ事業だけでは今後10年、20年と生き抜けないのは明らかですので、各社シナジーによる事業拡大、収益性の向上を図っています。
セコムはウェアラブルカメラや画像のAI識別など、IT技術の活用などにもいち早く取り組んでいますね。
こういった設備投資をこなしつつ利益を出しているセコムはさすが業界のリーダーといえるでしょう。
今日調べてみて改めて、これからもNo.1の座は揺るぎないだろうと感じました。
セコムの今後の株価を予想
セコムは間違いなく優良企業で、今後も成長が期待できると思います。
右肩上がりの売上と安定した利益を出していますので、株価が急落するようなこともそうそう無いと思います。
ただ、株価が短期間に倍になったりするような銘柄ではないですね。
売上は伸びるでしょうが、利益を出しづらいコスト構造であることが一番のネックです。
まとめ
今日は警備関連銘柄筆頭のセコム(9735)の株価や業績を整理、投資対象として分析してみた結果をお伝えしました。
もう少し配当利回りが高ければ長期保有してみるのもありだと思いますが、割高な今の水準で買うにはもっと強い材料がいりますね。
業界No.2のALSOKについても分析しました。状況は似ていますね。