太陽光投資は失敗か?1年分の売電実績データを公開|甘くないことだけは間違いない

僕が太陽光投資をはじめて1年が経過しました。結果として初年度は赤字という事実から、正直僕の太陽光投資は失敗だったのかもしれません。とりあえずようやく1年分のデータがたまったので、今日はその売電実績と収支を公開するとともに、太陽光投資というものの実態を実体験を通してお伝えします。

投資の中でもマイナーな部類ということもあってか、太陽光発電の投資者側の視点で整理された情報はあまり多くはありません。

利回り10%案件がどうこうという業者の広告ばかりが目に入り、しっかり調べないと表面的な情報しか得られないが実態です。

今日は僕の1年間の太陽光投資による収支などをお伝えします。

今回計算して分かりましたが、はっきりいって太陽光投資は甘くありません

僕は納得して購入していますが、中には悪質な業者が存在するのも事実ですし、表面利回りばかりを気にした太陽光投資は間違いなく失敗します。

太陽光投資や家庭用の太陽光発電の導入はやめた方がいい、と言いたいわけではありませんが、実際に太陽光投資を始めた僕のケースをサンプルに示しますので、参考にしてみてください。

太陽光投資は失敗か?まずは僕の1年分の売電実績を公開

さっそくですが、1年分の売電実績を公開します。

昨年9月から売電を開始して、ようやく1年分のデータを蓄積することができました。

僕が購入した太陽光発電所は低圧のもので、約3千万弱の物件を、FIT法が売電単価を保証する20年の信販ローンで購入しました。

ご承知とは思いますが、太陽光発電が投資商品として成り立っているのは、FIT法により20年間の売電金額が固定されているからです。

毎月の売電額と、参考にローンの返済額を合わせて整理したものが下の表となります。

単位(万円) 売電額 ローン返済
1月 21.4 16.2
2月 16.5 16.2
3月 24.3 16.2
4月 29.1 16.2
5月 32.6 16.2
6月 20.1 16.2
7月 19.1 16.2
8月 26.4 16.2
9月 16.7 16.2
10月 18.5 16.2
11月 16.9 16.2
12月 14.9 16.2
合計 256.5万円 194万円

1年間の売電収入は約256万円、ローンの返済は194万円、ここまでの差し引きは約62万円のプラスとなります。

利回りを計算

僕の太陽光発電の投資金額は約3千万ですので、売電金額256万円から利回りを計算すると約8.5%ですね。

業者が提示したシミュレーションでは10%弱の見込みでした。

今年は季節外れの雪や超大型台風など、異常気象が多かったので、見込みより低めに出たのは仕方のないことだと、残念ではありますが納得はしています。

売電収入をグラフ化してみる

上の表だと感覚的に分からないと思いますので、月毎の棒グラフにしてみました。

ここからいくつかの気付きを得られます。

発電量が月ごとで結構違う

発電量が季節でこんなに違うのか、ということに気付かれると思います。

実は真夏よりも春、特に5月が最も太陽光が発電する季節です。

そして冬にはピークの半分くらいまで落ち込みます。

7月の記録的日照不足、台風の影響をもろに直撃

上の図は昨年から今年にかけてのデータですが、目につくのは6、7月と9月の落ち込みです。

2019年はニュースのとおり7月は記録的な日照不足でした。

また、僕の発電所は千葉にありますので、9月には台風15号が直撃しました。

出典:ANN News

みなさんもニュースで上の映像をご覧になったのではないでしょうか。

僕の設備は幸い上の写真のような惨劇は回避されましたが、3日間は停電により売電がストップしました。

この間の損失は金額にすると約2万円です。

売電収支はプラスだが、事業としては実は赤字!

僕の今年の太陽光投資の実績は実はマイナス、赤字です。

キャッシュフローがマイナスという表現の方が正確ではありますが、細かいことなので置いておきます。

売電収入 ー ローン返済が62万のプラスと言ってたじゃないか、と思われるかもしれませんが、それがそのまま手元に残るわけではありません

この辺を勘違い、というか、ちゃんと考えずに、話が違うと後悔する投資家が多いです。

太陽光投資の固定費を計算

太陽光発電所を保有するには毎年必要な固定費があり、僕のケースを以下に整理しました。

これらは実際にお金を払う必要があるもの、僕の財布からリアルに出て行くものです。

太陽光投資は、投資といってもお金を出すだして終わり、というわけではありません。

費目 金額
償却資産税 ¥185,000
メンテナンス費用 ¥160,000
税理士費用 ¥100,000
パワコン費用 ¥30,000
消費税 ¥210,000
所得税 0

 

少し数字を丸めていますが、合計で68万5千円の固定費がかかるという計算になりました。

62万の収入に対し、68万5千の支出ですので、今年は6万5千円の赤字となります。

それぞれの項目について、注意事項がありますので、1つずつ解説します。

一番大きいのは税金(償却資産税)


償却資産税はあまり耳馴染みがない言葉かもしれません。

簡単に言うと、車を持っていると自動車税を払わないといけないのと同じように、太陽光発電所を持っていると、この償却資産税という税金を毎年支払う義務があります。

自動車税の例えは性質的に言えば間違っているのですが、イメージとしては伝わりやすいかと思います。

これは地方税で、僕の場合は発電所がある千葉県に納付する必要があります。

たまに償却資産税を申告せずに納めない発電家がいるそうですが、地方自治体も目を光らせていますし、バレたら過去5年に遡って請求されることになります。

節税と脱税は違います。正々堂々と行きましょう。

非常に大きく痛い出費ですが、これはどうしようもありません。

僕は個人事業主化し、経営力強化法を適用しているので、最初の3年間はこの費用が半額となっています。

3年後はこれが倍になるということが見えています。

一番大きい支出となりますので、17年の償却期間に渡る総額などもシミュレーションしておく必要があります。

メンテナンス・保険費用


僕はメンテナンスと保険がセットになった契約に加入しています。

これが年16万ほどします。

メンテナンスや保険の加入は任意ですが、個人的にはリスク回避として必須だと考えています。

メンテナンスとは主に草刈りです。草が伸びると発電効率が物凄く落ちます。

僕は今、発電所から遠く離れた場所に住んでいるため、草刈りはお願いするしかありません。

また、保険は津波、隕石、噴火、地震といった天変地異以外による損害を保証してくれます。

もちろん石を投げられるなどのいたずらや、台風による損害は保証の適用範囲内のものを選んでいます

上のように台風で施設が壊滅的な被害を受けたとき、保険に入ってなければ借金だけが残ることになります。

現実的に一番のリスクである台風が来るたびにビクビクしたくないですしね。

保険適用外の災害の場合は、自分の太陽光がどうこう言ってる場合じゃないような事態です。

税理士費用


僕は太陽光投資を行うにあたり、個人事業主となりました(もちろん本業はサラリーマンです)。

個人事業主として確定申告が必要ですので、その対応を税理士さんにお願いしています。

個人事業主としたのは、青色申告による特別控除などの税制面のメリットを得るためです。

税理士費用は通常もっと高額ですが、太陽光発電の確定申告に特化したところを探せば10万円くらいでやってくれるところがあります。

確定申告書自体は僕でも作れるのですが、65万円の青色申告特別控除を受けるためには、複式簿記で記帳する「仕訳帳」の作成義務があり、これが素人にはかなりハードルが高いです。

これの作成のために税理士さんを雇っています。

・太陽光発電の確定申告の書き方についての関連記事です。

パワコンの電気代


太陽光を電気に変換するために、パワーコンディショナーの電気代がかかります。

規模によりますが、僕の場合は毎月2千5百円くらいです。上のとおり1年で約3万円の支出です。

これ自体は大したことないのですが、パワコンは10年で交換が必要と言われており、約50万するそうです。

パワコンのためだけでも毎年5万くらいは利益を出してもらわないと困るので、今年の収支の実態は数字以上にマイナスであるということが分かります。

所得税

売電収入による得られた所得に対する所得税が発生します。

今日は詳しくは書きませんが、個人事業主として青色申告で正しく確定申告すれば、ほとんどのケースで、ここはゼロに持っていけます

ちなみに所得税は売電収入そのものにかかります。ローン返済を差し引いた金額ではありません。

サラリーマン収入に合算すれば、約20%の所得税となりますので、何の処置もしなければ50万くらい課税されてしまいます

こうなったらもう投資として成立しません。

詳しくは割愛しますが、太陽光発電を雑所得とした場合にこのケースになってしまいます。

太陽光発電投資家は個人事業主化が必須です。

複数基の発電所を保有し、売電収入が1千万を超える場合は、法人化した方がよいでしょうが、それ以下であれば法人化は不要です。

消費税

僕は課税事業者ですので、消費税を支払う必要があります。

これが今年の場合は約20万ですね。

1年の売り上げが1千万を超えない場合は非課税事業者で良いのですが、設備投資に対する消費税還付という制度を受けるため、課税事業者になりました。

課税事業者を選択した場合、3年間は非課税事業者には戻れません

詳しくは割愛しますが、消費税還付が約200万ありましたので、3年間の消費税よりメリットがあります。

3年後には非課税事業者に戻るつもりなので、ここの数字は将来は無くなる見込みです。

今年は約7万円の赤字、来年以降も微妙


今年は天候不順が多かったこともあり、残念ながらマイナスの収支となってしまいました。

上で書いたように、台風でストップした期間だけでも2万とかの影響がでます。

ただ、1年通した日射量で見れば5%も平年に下振れしているわけではなさそうですので、来年以降が仮に平年並みに戻ったとして、今年にせいぜいプラス10から20万といったところしょう。

来年以降もぎりぎりな感じであることが想定されます。

僕が投資を決心した時の見込みから20万くらいずれていますが、まぁこれは僕の読みが甘かった、ということですね。

少しでも収益を改善していきたいのですが、太陽光発電投資は発電して売電する、これだけのビジネスモデルですので、個人でできる努力シロが限られています

僕の場合は税理士を切らざるを得ないことが分かりました。

10万円を浮かすために来年からは仕訳帳も自分で作ります。

あとは毎日てるてる坊主作るくらいしかできることがありません。

太陽光投資で失敗しないためにはどうしたらいい?大事なのは信頼出来る業者選び

僕は太陽光投資を失敗したとは思っていませんし、今年は赤字という残念な結果ですが、納得はしています。

それでも少し甘かったなと思うところはあります。

今振り返って一番大切だと思うのは、投資にしろ、家庭用にしろ、信頼できる業者に出会えるかどうかだと思います。

上で書いたことも自分でやってみないと分からないことがほとんどで、かといって始めてから気づいたのでは遅いですので、下記のような比較サイトを使うのも一案です。

ソーラーパートナーズ

太陽光投資の今後について


FIT法による売電単価も年々下落しており、もうすぐ無くなってしまうでしょう。

上でも述べたとおり、FIT法による20年間の固定価格買取の存在が太陽光投資を成り立たせているため、これからはかなり厳しい時代と言わざるを得ません。

今市場で出回っているFIT単価18円の物件で、物によってはぎりぎりペイするかどうかのライン、といったところでしょう。

個人的には2019年度以降の14円では投資として成立しないように思います。

表面利回りに振り回されたらいけません

太陽光投資を検討されている方にお伝えしたいのが、表面利回りに振り回されないで欲しい、ということです。

例えば2,000万の物件で利回り10%といった商品があるとします。

これを毎年200万の不労所得で、元手を10年で回収して、残り10年濡れ手に粟だ、なんて甘いものでは無いということは、ここまでこの記事を読んでくださった方ならご理解頂けるでしょう。

しっかり固定支出、経費まで、20年スパンで見据える必要があります。

太陽光投資はスタート時点で勝負が決まる

太陽光発電は投資にしろ、家庭用にしろ、スタートした時点で勝ちは確定しないですが、負けのケースは確定します

発電量は日射量で決まるので、異常気象が進まなければ、毎年の収入と支出はほぼ計算できます。

不動産投資のように個人の努力で入居者を増やすなどのあがきもできないので、本当に最初が肝心です。

まとめ

今日は僕の太陽光発電投資による1年間の売電実績や収支をお伝えしました。

改めて計算して分かったのですが、僕の見立ては少し甘かったですね。

この実績を見る限り、あと2百万は安く購入しなければなりませんでした。

少し難しい内容になってしまいましたが、太陽光投資の実態が少しは伝わったでしょうか。

初年度赤字という残念な結果ですが、この経験を生かして、個人的には適正な価格であればもう1基購入もありだと考えています。

上で書いたような内容はやはり実体験がないと分からないですし、実体験してからでは遅いということもあるので、家庭用にしろ、投資用にしろ、一番大切なことは信頼出来る業者を探すということだと思います。

ソーラーパートナーズ