割安株投資はなぜ失敗する?|PER、PBRの意味をもう一度よく考えて見よう

僕は株を買う際に割安性をわりと重視しています。そしてその投資は現在のところ成功しているとは言い難い、はっきり言って失敗しています。よく割安株は狙い目だと取り上げられますが、今日は改めてその定義や、PERやPBRといった割安性を計る指標の計算式などから、割安株の意味を考えてみたいと思います。

みなさんは割安株の「割安」という言葉にどういうイメージを持たれるでしょうか。

僕は、「コスパが良い」というイメージを持っていて、何事にもコスパ重視の僕は株式投資をはじめたころから特に割安株を好んで購入していました。

そしてこの投資手法がまぁ外れるというか、上手くいきません。

今日は僕が投資を始めて2年くらいたった今、改めて割安株の意味を考えてみた内容をお伝えします。

そもそも割安株ってどういうこと?


割安性を示す指標として代表的なものに、PERとPBRがあります。

ある会社の株価が割安かどうかを判断する際に必ずこの2つが用いられます。

両者とも数字が小さいほど割安であるとされています。

この言葉自体はみなさんも耳にしたことがあるんじゃないかと思います。

一方で、投資始めたての頃の僕と同じく、なんとなくは知ってるけど、どういう意味をもった数字なのかの説明はできない、くらいの理解の方が多いのではないでしょうか。

計算方法も複数あったりして、説明も難しいものが多いですよね。

僕自身もなんとなくで捉えてていたのですが、最近はこれらの指標を使っただけの銘柄選択は危険だなと感じています。

今日はPER、PBRの一番簡単な計算式をお伝えするとともに、僕の経験をもとに割安株を買う際の注意点などをお伝えしたいと思います。

なお、この手の話は厳密性を重視すると小難しくなってしまうので、この記事では概要をとらえることを目的に、細かい所は目をつむって話を進めます。

PER、PBR、割安株って何だろう、という疑問をお持ちの方の参考にもなれば幸いです。

PERの計算式

PERは株価収益率と呼ばれ、以下の公式で計算されます。

分子は株価ですので、株価が上がればPERは大きくなり、株価が下がればPERは低くなる方向で、日々変動します。

日本企業では一般的には15倍以下が割安な水準とされています(ここは後でもう少し補足します)。

また、分母は1株あたり利益(EPS)で、あまり耳馴染みないかもしれませんが、ようは利益です。

利益が大きいほど、PERは低くなるということです。

上のとおりPERは株価÷利益で求められますので、これが低いということは、すごくざっくりいうと、

「会社が出してる利益の割には今の株価は安いよね。」

というのがPERからみた割安性だということです。

PBRの計算式

もう一つの代表的な指標であるPBRは株価純資産倍率と呼ばれ、以下の式で計算されます。

PBRは1倍を切っていると割安だとされています。

こちらも分子は株価です。

分母は1株あたり純資産(BPS)で、これは企業の持つ資産を発行済株式数で割ったものです。

1株あたり純資産とは、企業は株主のものという考えに立つと、仮にその会社が消滅した時に、株主に戻ってくるお金もしくは資産価値であるという説明がよくされます。

たとえばPBRが1倍という状態は、1株あたりの株価と企業の純資産の額が同等だということです。

勘の良い方は気付いたかもしれませんが、PBRが1倍以下のタイミングで株を買えば、仮にその瞬間に企業が解散しても、損をしないということです。

ちょっと極端な表現ですけどね。まずは雰囲気ということで。

こういう数字ですので、1倍以下になることはほとんどありません。

低PBRであるということは、

「企業の持っている資産価値に対して株価が安い」

状態であるという見方ができます。

PERとPBRを活用する上での注意点

ここまででPER、PBRそれぞれの計算式と、ざっくりとそれが意味することをお伝えしました。

低PER=利益の割に株価が安い水準にある状態

低PBR=企業の資産価値に対して株価が安い水準にある状態

まずはこのくらいのイメージを持っておけば良いと思います。

次にこれらの指標を見る上での注意点をお伝えします。

PER活用の注意点

まずはPERについて、僕の経験をもとにこの数字を見る際の注意点をお伝えします。

純利益で計算される

PERの分母である1株あたり利益(EPS)ですが、この利益、企業の「純利益」を用いて計算されているという点に注意が必要です。

決算資料などに現れる利益がつくもので他に、営業利益や経常利益があります。

これらはご存知のとおり、いわゆる本業でどれだけ儲けることができたか、を示します。

これに対し純利益は、たとえば株や不動産の売却益などの一過性の利益である特別利益(特別損失)が上乗せされたものです。

純利益は最終的な会社の利益額を示すものなのは間違いありませんが、本業で利益が出ていない場合は危険です。

特別利益などで純利益をかさ上げした会社は翌年度赤字に転落する可能性があります。

僕は昔シャープのPERが低いと飛びついたことがあったのですが、ご存知のとおり本業は苦戦続きで株価はずるずる下がり、なくなく損切りしたことがあります。

PERの平均は業種で異なる

これはよく知られていますが、PERは業種ごとに平均値が異なります

例えば建設業の平均は10倍ちょっとだったり、サービス業の平均は20倍を超えていたりします。

PERが何倍だから割安という絶対値でみるのではなく、同じ業界の他の会社と比べてみてどうかという視点も必要です。

過去に業種ごとのPERを調べてみた関連記事です。

低PERの企業は成長性が疑問視されている

PERが低いということは株価が上がっていない、もしくは売られている状態にあるということで、そこには理由があるはずです。

株価は期待で動くものですから、PERが低いということは今は利益が出ているが、それが今後も続くかどうか疑問を持たれている、という見方もできます。

あとこれは個人的な感覚ですが、利益を出しづらい業種はPERが低い傾向にあるように思います。

代表的なのは建設業です。

五輪需要や再開発など、今まさにピークの業界だと思いますが、PERの低い会社が多いです。

建設業は売上げのほとんどを原価費が占めるというコスト構造のため、売上が拡大しても利益の伸びシロが少なく、投資家目線では将来性が高くないと見られているのかもしれません。

逆の例ですが、Amazonの株は数年前からPERが100倍を超えてずっと割高な状態でしたが、それでも株価は上がり続けました。

企業が成長し続けると市場が判断すれば割高でも買われるということです。

Amazonは米国株なので日本の株と比較するのはそもそもおかしいかもしれませんが、一例を示せばこういうことです。

PERが低くておすすめの業種は?


評論ばかりしててもなんですので、僕がおすすめする割安株を少し書きたいと思います。

日本の株式市場はギャンブル場ですので、僕は人に株を勧めることはありませんが、割安さで一番注目しているのは、商社株です。

商社株は配当利回りも高く、現在の株価水準であれば長期保有していいんじゃないかと考えています。

総合商社の株価について分析した関連記事です。

PBRの意味と注意点

次にPBRが意味するところを考えていきたいと思います。

PBRが低い=企業経営が安定している

PBRは株価を1株あたり純資産額で割った数字ですので、PBRが低いということは現在の株価水準に対し純資産が多い状態ということです。

純資産とは総資産から負債を除いたものです。

純資産が多いということは、相対的に負債が少ない会社が多く、企業経営が安定している、とみることができます。

倒産の心配が少ない企業の株価は下値が固いと言われますので、これらの銘柄選定は保守的な投資手法といえるでしょう。

PBRが低くても自己資本比率が低いと危険

PBRが低い会社は自己資本比率が高い傾向にありますが、必ずしもそうとは限りません。

低PBRの代表格といえば銀行ですが、資産のほとんどが皆さんの預金ですので、自己資本比率は低くなります。

銀行は少しイレギュラーなケースではありますが、PBRだけ見て企業が安全かどうかを判断するのは危険です。

PBRが低い業種は?

PBRは個々の企業の状況それぞれで違いますので、PERのように業界平均といった見方はあまり相応しくないように思います。

ただ、上のとおり銀行業のPBRは低いです。

割安株を探そうとPBRでスクリーニングすると銀行株ばかり出てくると思います。

銀行株はずっと低PBRですが、株価が上がる気配はありません。過去10年スパンで最安値を更新している会社が多々あります。

この超低金利時代に銀行が儲かるわけもなく、苦戦を強いられています。

ただ、株は下がってる時に買うのが鉄則だと言われますので、今こそ逆張りするのもありかもしれませんね。僕は銀行さんは嫌いなので買いませんが。

まとめ

今日は割安株の指標であるPERとPBRについて少し掘り下げて考えてみました。

割安株投資は比較的保守的な運用とされており、僕はこれを重視して株を買っていましたが、今のところ全くうまくいっていません。

まぁ割安だから株価が上がるのであればこんな簡単な話はありませんしね。

それでも今の株価水準がどういうところにあるか、ということを見るにはよい指標だと思いますので、株を買われる際には一応気にしておいた方がよい数値なのは間違いありません。

昨年の僕の投資成績についての関連記事です。ボロボロでした。