はてな(3930)の株価と業績を分析|収益性の高い広告収入が魅力、今後の成長はBtoBサービスの拡大が鍵

はてな(3930)は「人力検索はてな」や「はてなブログ」などのサービスを手掛けるマザーズ上場の会社です。最近よく株価の上昇率トップランキングに顔を出し、yahooの掲示板などにも度々登場しています。どんな会社か気になったので株価や業績について分析してみたいと思います。

つい先日は任天堂の人気コンテンツ「大乱闘スマッシュブラザーズ」と連動した「スマプラス」を共同開発したというニュースをきっかけに株価が急騰し、ストップ高になりました。

気になって同社について少し調べてみたところ、マザーズ上場以来業績も右肩上がりでとても魅力的な会社に思えましたので、投資対象として分析してみたいと思います。

はてなの事業

©Hatena Co., Ltd.

はてなといえば「はてなブックマーク」が有名ですね。

皆さんもシェアしたいブログやHPで「B!」マークを使ったことがあると思います。

関連サービスの登録ユーザーは700万人を突破しているということで、メジャーなメディアに成長しています。

事業は3本柱

マネックスより同社のセグメント構成を引用します。

「コンテンツマーケティングサービス」「コンテンツプラットフォームサービス」「テクノロジーソリューションサービス」の3本柱です。だいたい同じくらいの売上げ比率です。

前者の2つは主に企業からの広告収入が収益源です。これにブログの有料ユーザからのサービス使用料があります。

広告事業は収益性が非常に良いことが想像できます。グーグルやYahooなんかもこれが主要な収入です。

最後のテクノロジーソリューションは法人を対象としたBtoB事業で、同社が培った技術を生かしてウェブシステム等の受託開発を行っています。

冒頭の任天堂との共同開発なんかがこれに該当します。

株価推移

気になる同社の株価推移です。

2016年にマザーズへ上場し、その時の初値は3,025円でした。

その後急落していますが、IPO直後はだいたいこんな感じになることが多いです。

2016〜2017年のトランプラリーにもほとんど反応せず、2018年の日本株総崩れにも反応していません。

マザーズやJASDAQに上場している中小型株の株価は景気の良し悪しとあまり相関関係が無いのが特徴です。

そんなはてなの株価ですが、2019年に入って上昇傾向で、4,000円を突破しています。

決算のタイミングとは合っていないので、個別のニュースなどの影響だと思われますが、上昇傾向ということは良い意味でのサプライズが続いたのでしょう。

業績

同社の決算資料をもとに業績を確認していきます。

株価は思惑で動くものですが、やはり具体的な数字が無いと投資判断はできません。

売上高、利益率

昨年度の売上げ、利益と今年度の見込みを併記します。

2018/7期 2019/7期 単位
 売上高 2,092 2,522 百万円
 経常利益 335 353 百万円
 純利益 234 243 百万円

売上げ利益とも伸びています

この表からは分かりませんが、上場以来ずっと10%近い伸び率で成長が続いています。

売上高は20億規模と大企業と比べると少ないのは当然ですが、利益率が10%以上と収益性の高いビジネスを展開しています。

ファンダメンタルズ

続いて株価指標等をまとめます。

2018/7期 単位
 ROE 16.6
 1株当り利益 82
 配当利回り 0.0
 株主優待 なし
 自己資本比率 84.0

ROEは良いが割安さはない

ROE(株主資本利益率)は10%が優良の目安とされている中、かなり良い数字です。

一方で割安性を示すPERを計算してみます。

株価を1株当り利益で割って求められるこの数字は低いほど割安とされ、日本企業の平均は約15倍です。

2019年4月現在の株価がだいたい4,000円ですので、PERは40倍を越えています。今年度も利益は増える見込みですが、割高さを吸収するほどではありません。

割安だから株価が上がる、割高だから上がらないというものではありませんが、こういう水準にあるということは覚えておいた方がよいでしょう。

一方で売上げ高がまだ大きくないので、先の任天堂のニュースのような大きな開発によるサプライズ決算に期待が持てる銘柄だと思います。

配当、株主優待はない

配当、株主優待ともに設定されていません。

株価の値上がり、キャピタルゲインをもって株主の期待に応える会社ということです。

新興企業にこういう方針の会社が多いのは当然だと思います。

なお、自己資本比率が高く、すぐに経営が行き詰まるというような心配はないですね。

はてなの今後の株価はどうなる

最後にぼくなりにはてなの今後について予想してみたいと思います。

ブログ広告収入のビジネスモデルがすごい

©Hatena Co., Ltd.

同社の収益の柱のひとつがブログを通じた広告収入です。

多くのブログ記事の合間に広告が入っていると思います。僕はグーグルさんにお任せしてますが、この記事のどこかにも配置されているでしょう。

ブロガーはより良い記事を書こうと努力します。

その結果、広告がより多くの人の目に止まり、はてなの収入に繋がります。

極端に言えば、はてなブロガーが、はてなの社員のような構造になっています。

ブロガーの成長がはてなの成長の糧となる、両者win-winのこのビジネスモデルはとてつもなく有望です。

ネット市場は既に飽和状態

一方で同社の決算説明資料から気になったのが、月間ユニークブラウザ数が頭打ちになってきていることです。

この状況は想像にかたくありません。既にスマホやPCなどは1人1台となり、ネットの接続環境も充実しています。

仮に1人が1時間ネットを見ると仮定すると、日本人全体としてのネット滞在時間は1億時間となります。

この1億時間という総量がもう増えないということです。

これを皆で奪い合うというのが現在のネット広告事業の構造になったのだと僕は理解しました。

同社のブランド力強化でシェア拡大は見込めますし、非常に収益性の高い事業ですが、この分野での更なる爆発的な成長は見込めないでしょう。

もちろんブログを書く側もそういう競争の中に身を置くことになります。

新興国からの留学生が日本のことを母国語で書いたブログとか作ったらすごくヒットする気がします。

BtoBビジネスが成長の鍵

直近のストップ高のきっかけとなった任天堂との共同開発ですが、今後このような案件をどれだけ増やすことができるかが同社の成長の鍵となります。

特に同社の売上げは20億規模ですので、大きな契約が1つ入れば大きく計画を上振れすることもあるでしょう。

例えば任天堂の売上げは約1兆ありますので、開発費のほんの一部をはてなに発注するだけでも、はてなにとってはとんでもないインパクトとなります。

まとめ

今日は最近株価の掲示板などで良く目にするはてな(3930)について業績などを分析してみました。

ぼくは基本中小型株は怖くて手を出さないのですが、同社は非常に魅力的に思えました。

収益性の高いビジネスモデルで経営の基盤を築き、BtoBによる事業拡大で一気に飛躍するかもしれない期待感もあります。

今は割高な株価水準もすぐに是正される可能性がある有望銘柄だと思います。

ただ、あまりに直近上げすぎているので、低調な決算だったりしたら、市場の期待を裏切ったなどと急落する可能性もあり、ちょっと購入は止めとこうかなと思います。

こんなこと言ってたらいつまでたっても波に乗れませんけどね。。

おまけ

ちなみに僕のこのブログはワードプレスを使っています。

ブログを書こうと思った時になんとなく選んだだけで、当時はてなの存在を知りませんでした。

はてなで書いた記事ははてな内のサイトで共有され、そこから一定のアクセスがあると思いますので、軽い気持ちでブログ始めて見ようかなと考えられている方にははてなブログがおすすめです。

特に開設初期は心の支えになるんじゃないかと思います。

僕は最初の1年間ずっと毎日のアクセスが一桁とか二桁でネットの世界から隔離された牢獄で文章を書いている気分でした。これはワードプレスのせいではなく僕の文章力が無いせいですけどね。

まぁこのブログは半分は自己満足なので気にせずに続けてます。