旭硝子(5201)がAGCに社名変更|世界大手ガラスメーカーの株価の今後を予想

 2018年7月に旭硝子はAGC(5201)へと社名変更しました。同社は世界大手のガラスメーカーです。あまり知らない会社でしたが、社名変更した頃からよくCMなどで見かけるようになりました。せっかくなので今日は同社の決算資料から業績を確認し、今後の株価の行方の予想など、投資対象として分析してみたいと思います。

 最近電車の広告やCMでよく見かけるAGCという企業について調べてみました。

 同社の歴史は古く、昨年で創業110周年を迎えたそうです。

 110年後にこんなマスコットが誕生するなんて想像もできなかったでしょうね。

出展:AGC社HPより

AGCってどんな会社

 AGCの事業内容を同社HPにあった歴史とともに紐解きます。

 AGCに社名変更する前の旭硝子は1907年創業で、創業者は三菱グループを創設した岩崎弥太郎の甥にあたる、岩崎俊彌が板ガラスの国産製造のため立ち上げた会社です。

 三菱グループの会社だったのは初めて知りました。ちなみに名前がにている旭化成とは無関係です。

 この国産板ガラスから、建築用のガラスや車用のガラスなどに発展し、現在では自動車用ガラスの世界シェアNo.1となりました。ガラス事業が同社の柱です。

 また同社はガラスの原材料となるソーダ灰を自社開発し、ソーダ事業を立ち上げます。これを起点に化学分野へと事業を拡張し、現在はフッ素樹脂を主力とした化学品事業が第2の柱となりました。

 2000年頃からはガラス事業をテレビやスマホの液晶へと発展させ、電子事業分野を第3の柱として確立しています。同社のTFT液晶用のガラス基板は世界シェアNo.2です。

AGCの事業構造

 上の歴史のとおり、同社の事業は板ガラスからはじまったガラス事業、ソーダ灰からはじまった化学品事業、液晶需要から立ち上がった電子事業が3本柱です。

 売上げの比率としては、ガラス50%と約半分、化学品事業が約30%、電子事業が約20%という構成です。

マネックスより引用

 AGCは33業種の分類では「ガラス・土石製品」に分類されますが、上記のとおり、化学系、素材系のメーカーであるともいえます。

そんなAGCのライバルは?

 まずガラス製品としては日本板硝子(5202)がライバルとしてあげられるでしょう。同社の主力も建築用と車用の硝子ということで、これはもうバッチバチの関係ですね。

 また化学品事業ではフッ素樹脂というキーワードから、ダイキン(6367)や、塩ビ事業では東ソー(4042)あたりも競合しそうですね。化学系は日本が世界に誇る技術であり個人的には有望だと思っています。

 電子事業としてはスマホの液晶用ガラスが主力なので、日本電気硝子(5214)とシェアを競っています。

 なお、液晶ガラスの世界1位はコーニング社(ティッカー:GLW)というアメリカの会社です。コーニング社はゴリラガラスが有名でアップルとも協業しており、液晶ガラスの世界シェアの50%を持っています。

 どの事業もライバルが強豪揃いで、なかなかハードな市場競争にさらされていることが想像されます。

AGCの業績確認

 続いてAGCの決算資料から業績を見ていきたいと思います。

今年度の通期見込み

 同社の決算資料より作成しました。一番左は比較のため昨年度の決算内容と、右は同業他社を比較するため日本板硝子の今年度通期予想を載せています。

AGC 日本板硝子
2017年実績 2018年予想 2018年予想
 売上高(百万) 1,463,532 1,520,000 630,000
 経常利益(百万) 114,424 115,000 24,000
 純利益(百万) 69,225 77,000 14,000
 ROE(%) 6.1
 配当利回り(%) 2.08 2.87 3.05
 PER(倍) 16.58 11.22 6.35
 自己資本比率(%) 53.10

 

 売上高が1兆5千億円クラスの大企業だったのですね。

 これは日本の全企業のTOP100くらいの売上高で大成建設など大手ゼネコンと同じくらいあります。

 グループ企業も210社と巨大ですが、その割には少し知名度が低い気がしますね。社名変更やマスコット、CMなんかも知名度上げるためなのかも。

 自己資本比率も高く、まさしく大企業です。

利益率はそこまで良くはない

 株主資本からどれくらい効率的に利益を生み出しているかの指標であるROEが6.1%と悪くはないが、良くもない数字です。

配当利回りは高め

 同社の配当利回りは今年は3%近く、日本企業にしては高いといっていいでしょう。

割安さはそこそこ

 僕が割と重視するのが割安性の指標であるPERですが、今の株価水準(3855円)のままであれば、11倍台になります(もちろん予想とおりの利益が出た場合ですよ)。

 日本企業の平均PERは15倍程度ですので、今は割安であると言えます。
 
 ただし、業績が停滞すると銀行株のように低いPERのまま放置されることもあり得ますので、業績の伸びが期待できるかどうかがポイントとなります。

過去の業績推移

 同社のIR資料から過去の業績推移を引用します。


 
 近年成長しているように見えますが、昨年度に比較すると売上が微増、利益は横ばいと、成長に陰りが見えています。

過去5年の株価推移

 マネックスより株価推移を引用します。

 2016年のトランプラリーに乗っていっとき株価は倍近く上がりましたが、2017年から停滞、2018年10月の日経平均の大きな下げとともに4,000円を割り込みました。

 株価も方向性が定まらない感じですね。

 まぁ日本の株式市場はギャンブル場なので、AGCに限ったことではないですが。

決算のポイント

 今後の業績を予想するために、各事業分野ごとに同社の決算資料を分析してみました。決算資料そのものの引用は割愛します。

ガラス事業は増収、減益

 同社の売上の50%を占めるガラス事業ですが、昨年度に比べ増収・減益を見込んでいます。

 上で比較した日本板硝子を見てもわかるとおりガラス事業の利益率はかなり苦戦しています。

 これは間違いなく中国製の安価な製品に押されているということです。

 僕は素人ですがガラスという製品は差別化が難しいように感じます。この分野はこれからも価格競争の激化が予想されるため、極端に収益が良くなる未来は予想しづらいですね。

化学品事業は増収増益

 化学品事業は増収増益です。

 利益の観点ではAGCの一番の稼ぎ頭になっています。

 苛性ソーダなどのクロールアルカリやウレタン事業の牽引に加え、半導体関連製品向けのフッ素樹脂関連製品が堅調とのことです。 

電子事業はほぼ横ばい

 液晶用ガラスをはじめとした電子事業は昨年度に比べ概ね横ばいです。

 最近はスマホ需要の減退予測などを受け半導体関連銘柄が軒並み大幅下落するなどがありました。この分野も少し先行きが心配です。

 半導体市場に関する関連記事です。
・株価急落中のSUMCO(3436)の今後を予想

AGCの今後の今後を予想

 ここまでいろいろ調べてみたとおり、僕はAGCを取り巻く事業環境はかなり厳しいため、いかに同社が優良企業でも簡単には売上、利益を伸ばし続けるのは難しいと感じました。

 PERは低めで割安ですので、短期的にはもう少し上がっても不思議でないですが、数年というスパンで考えるとちょっと自信をもってホールドできる銘柄ではないかなと感じています。

 上のとおり株価の変動が激しいですので、波乗り投資家にはおすすめです。

注目したいのは5G関連市場への期待

 最後になりますが、この記事を書くにあたり同社のIR資料などを読み漁っていたところ、5G向けのガラスアンテナ開発に成功との情報を見つけました。

「画像提供:AGC」

 同社の開発した合成石英ガラスは超低伝送損失が特徴ということで、5Gで使用される28GHz帯以上の利用に適しているそうです。

 難しくてよく分かりませんが、5Gは間違いなくこれから市場の注目を集めますので、もしもこのガラスアンテナが市場を独占するようなことになればすごい利益を生み出しそうです。

 ほんの数日前の情報ですので、もしかすると5G関連銘柄として株価が跳ねるかもしれませんね。

まとめ

 今日はCM等で最近目にすることが多くなったAGCについて調べてみたことをお伝えしました。

 投資という観点では、僕は今はちょっと株を買う気にはなりませんでした。

 AGCは間違いなく優良企業だと思うのですが、市場環境がかなり厳しいように感じます。

 ただ、最後に書いた5Gのガラスアンテナ、これがどう化けるか、同社の「易きになじまず難きにつく」の精神で差別化された技術開発に期待したいです。