日東電工(6988)の株価が急落|決算の失望売りが濃厚

日東電工(6988)の株価が急落しています。一時は12,000円に届こうとしていた同社の株価は2018年に入り、じりじり下げていたのですが、11/1に前日比-14%の大暴落を演じ、6,080円となりました。とうとうピークの半値近くまで下げました。この大暴落はタイミング的に決算の失望売りが濃厚です。

下図は11/1の日東電工の株価をマネックスのチャートから引用したものです。

前日から大きく窓を開けて1,000円以上下落しています。たった1日で一口あたり10万円の含み損が出たということです。

時価総額1兆円を超える大企業でも1日でこれだけの株価下落をするのが日本の株式市場です。

10/31に同社の第2四半期決算が発表されましたので、タイミング的に決算の失望売り以外には考えられない状況です。

僕は日東電工は優良企業だと期待をしていて、同社の株を数ヶ月来保有しています。

これは原因を確認しなければならないと、同社の決算資料を確認しましたので、今日はその内容についてお伝えします。

なお、結論を先に書きますと、株価下落の原因はスマホ需要減退にともなう同社の業績低下への懸念と、通年業績の下方修正による失望売りだと考えます。

日東電工の事業概要

創業は1918年、電気絶縁材料の国産化を目的に日東電気工業株式会社として設立され、今年はちょうど創業100周年にあたります。

主軸事業はインダストリアルテープオプトロニクスです。

身近にあるところでは掃除に使うコロコロだったり、スマホのフィルムなどがあります。

基本的にこの2つの事業が同社の収益源ですので、これらにインパクトのある決算内容であったことは容易に想像がつきます。

日東電工の詳細については過去記事に書いていますので、こちらをご参照ください。

・日東電工(6988)は買い時か?|決算の確認と今後の株価の行方を予想

日東電工の第2四半期決算の概要

下表は同社の決算資料より作成したものです。

一番左の欄は昨年度の実績、中央の欄の当初の通年の業績見込みです。

これに対し右の欄は今回の四半期決算でその値が修正されたものです。

2018年3月期実績 当初予測 今回修正
売上高(百万) 856,262 860,000 83,000
経常利益(百万) 126,168 135,000 114,000
純利益(百万) 87,377 100,000 84,000
1株当たり純利益 538.99 636.37 533
PER 15.87倍 13.86倍 13.27倍

 

当初は昨年度の業績を上回り過去最高益を見込んでいましたが、年の半分の業績が出揃った節目となる今回の四半期決算で通期業績を下方修正、前年度割れを見込むとしました。

日東電工の株価急落の原因

上の表が示すとおり、低調な経常利益の進捗率と、通期業績の下方修正、これが投資家心理を冷やしたとみるのが妥当でしょう。

なお、自己資本比率70%を超える同社の財務状態は健全そのもので、倒産などという懸念はあり得ませんし、下方修正はされたものの、同社の利益率は依然業界トップクラスであるのは間違いありません。

日東電工の四半期決算概要

同社のIR資料より決算のハイライトを引用します。

表が細かいのでポイントを述べますと、前年同期比で約5%の減収、25%の減益を見込むということです。

減収減益の原因は

日東電工の株価急落の要因は上に書いたとおり四半期決算発表時の低調な業績推移と通期業績の下方修正がきっかけなのは間違いないとは思いますが、これの要因について同社の決算資料で触れられていましたので引用します。

①インダストリアルテープ
基盤機能材料は、スマートフォン組立用途では低調でした。一方、半導体や電子部品のプロセス材料や工業用のフィルター材料は好調に推移しました。

②オプトロニクス
スマートフォンで使用される光学フィルムの需要は、前年同四半に比べて市場の盛り上がりが欠けたため、情報機能材料は低調でした。プリント回路は、ハードディスクドライブ(HDD)の高容量のデータセンター向けが引き続き堅調でした。

とありました。

キーワードは「スマートフォン」需要の減退

冒頭に書いたとおり、同社の主力はインダルトリアルテープとオプトロニクスです。

減収減益の原因として「スマートフォン」という共通のキーワードが出ています。

これまでアップル、サムスンなどを代表にスマホの販売が好調でしたが、その状況に陰りが出ているということは日々のニュースでも耳にすることが多いです。

スマホの売れ行きが停滞すると当然ながらその部品の需要も低下します

これは半導体市場にも影響を与えています。関連記事です。
・株価急落中のSUMCO(3436)の今後を予想

同社にとってスマホ需要への依存がこれほど大きかったのは誤算でした。

日東電工の今後の株価を予測

株価が上がるか下がるか分かれば苦労はないのですが、自分なりに予想することは無意味ではないと考えています。

依然低いPER

PERは株価をEPS(1株あたり利益)で割って算出される数字で、低いほど割安とされるものです。

同社のPERは現在の株価水準であれば約12倍となり、日本企業の平均とされる15倍を下回っています。

PERだけを基準とした投資は危険だと思いますが、同社は海外売り上げ比率も高く成長が期待できると考えていますので、現在の株価は業績下方修正してもなお割安な状態だと思います。

さらなる下方修正への懸念

一方の懸念は、上で示したとおり今回の業績への悪影響の要因がスマホの需要低下によるものということです。

これをどう捉えるのかは難しいところですが、僕はさらなる下方修正はありえると考えています。

これは単純に僕がスマホの端末代金が高すぎると考えているためです。

まとめ

今日は僕も保有する日東電工の株価急落について、その原因を分析した内容をお伝えしました。

原因が一過性のものではないと思われる内容のため、すぐに株価が回復するとは思えないというのが正直なところです。

それでも僕は引き続き同社の株を保有し続けるつもりです。

グローバルな優良企業であることを踏まえると今の株価は売られ過ぎだと考えるからです。

ただ、一口が60万を超えるためナンピン買いするのは困難ですし、今回分析した株価下落の理由にも納得するところがあるので、押し目買いのタイミングとおすすめすることもできないかなという感じです。

そう思うなら売るべきだというのは分かっているのですが、僕のようなへっぽこ投資家の思いはとことん裏をかかれるというのもここ最近の反省ですので、少なくとも本決算まではホールドしたいと考えます。