日本株33業種それぞれの銘柄数とPERの中央値を調べてみた|割安性指標は業種でこんなに違う

日本株の銘柄は33の業種に分類されています。例えばトヨタやホンダは「輸送用機器」、ソニーは「電気機器」に含まれます。今日は33業種毎の銘柄の数と割安性を示す指標であるPERの中央値を調べてみました。

33業種とは

株式市場に上場する会社は証券コード協議会が定める33の業種に分類されています。

皆さんも株価のニュースで全33業種のうち20業種が値上がりした、とか、円安進行により機械系の株が買われた、などの表現を目にしたことがあるのではないでしょうか。

市場のトレンドを表現する際によくこの33業種のくくりでの説明が用いられます。

僕ら個人投資家は保有銘柄個別の値動きにのみ目がいきがちですが、相場全体の動きを概観するためにも業種としての動向にも意識を向けておくことは大切です。

PERは株価の割安性を示す指標の1つ


PERとは現在の株価を1株あたり利益(EPS)で割って算出される数字で、これが低いほど割安だとされており、日本の株式市場全体の平均は15倍程度といわれています。

じゃあ15倍以下の銘柄は全て割安かというとそうではありません。PERは業種毎に平均値が違うからです。よくPERは同業他社と比較する必要があると言われるのはこのためです。

PERの平均値と中央値

PERは平均値と比較されるのが一般的ですが、今回はあえて各業種の中央値を調べました。

平均値はすごく業績が良かったり悪かったりする会社も含められて算出されるのに対し、中央値は単純に真ん中の会社ですので、上半分にあるか下半分にあるかが明確に分かるからです。

PERの平均値は日本取引所グループのHPにも掲載されています。
日本取引所グループへのリンク

33業種のPER中央値一覧と中央値近辺の有名な会社|2018年7月現在

33業種それぞれの中央値は僕の使っているマネックス証券のサイトで業種毎でスクリーニングして調べました。

また、どのような会社が含まれるのかの参考に、中央値近辺にあった有名な会社も記載します(その会社が中央値とは限りません)。

企業数 PER中央値 中央値近辺の有名企業
1 水産・農林業 11 11.1 マルハニチロ
2 鉱業 8 10.3 日鉄鉱
3 建設業 199 10.3 積水ハウス
4 食料品 142 21.6 宝ホールディング
5 繊維製品 59 17.1 東レ
6 パルプ・紙 26 15.0 レンゴー
7 化学 221 14.6 積水化学
8 医薬品 71 18.5 ツムラ
9 石油・石炭製品 13 8.3 JTXG
10 ゴム製品 23 13.3 ブリジストン
11 ガラス・土石製品 70 13.6 日本ガイシ
12 鉄鋼 53 10.7 日新製鋼
13 非鉄金属 39 11.6 フジクラ
14 金属製品 95 13.5 LIXILグループ
15 機械 256 16.0 コマツ
16 電気機器 281 16.2 パナソニック
17 輸送用機器 113 11.1 SUBARU
18 精密機器 55 20.3 ニコン
19 その他製品 116 16.4 パイロット
20 電気・ガス業 30 14.6 四国電力
21 陸運業 76 15.1 阪急阪神
22 海運業 17 9.0 共栄タンカー
23 空運業 5 11.2 JAL
24 倉庫・運輸関連業 42 14.9 安田倉庫
25 情報・通信業 437 22.9 スクエニHD
26 卸売業 359 13.0 丸文
27 小売業 389 20.8 ドンキホーテ
28 銀行業 98 10.9 三住トラストHD
29 証券、商品先物取引業 46 11.1 SBI
30 保険業 15 12.7 SOMPO
31 その他金融業 37 10.8 アコム
32 不動産業 141 12.2 東急不動産
33 サービス業 455 21.6 セコム

PERは業種毎でこんなに違う

上の表のとおり、一番低い石油・石炭が8倍台なのに対し、食料品や情報通信、サービス業は20倍以上と、大きな違いがあります。

このことからもPERの数字だけ見た割安株探しは誤りであることが分かります。

また、鉱業や空運業、保険業はそもそも企業の数が少ないですので、1つの会社の業績が大きく変わるとその業種全体の平均値等への影響が大きいです。このことにも注意しておく必要があると思います。

まとめ

今日は33業種毎のPERの中央値を調べてみました。日本株式市場の平均PERの平均は15倍程度と言われていますが、業種でこんなにも違うということが改めて分かりました。

僕は基本的には割安株を好むため、銘柄選びの際はPERを結構重視しています。

ただし、PERは株価の割安性を示すひとつの指標であると同時に企業の成長性を示す指標でもあり、この場合はPERが高いほど成長性が高いとされています。

銘柄選びにネット証券の条件検索等を活用される方も多いと思いますが、PERだけでスクリーニングすると成長企業を見落とすことになるため、他の指標も合わせて活用することをおすすめします。

ちなみに僕は、最近は収益性を示すROE(株主資本利益率)と、EPS(一株あたり利益)が伸びている会社を選ぶようにしています。

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