日本の株式市場はなんでこんなに値動きが荒いの?|投資を始める前に最低限しっておきたい日経平均を動かす5つの要因

 日本株市場は世界敏感市場と言われるだけあって、日々の株価の値動きは非常に荒いです。そして日経平均の値動きに特に影響を与えるのが、為替、前日のダウ、日銀のETF買い入れ、ダウ先物、世界情勢の5つです。今日はこれらと株価の相関関係について整理します。

 僕は投資をはじめたころ、自分の持っている銘柄の株価しか見ていませんでした。次第に気づいたのが、日本の個別株の値動きは日経平均の影響を強く受けるということです。個々の株価から日経平均が算出されるためこの表現は逆説的ですが、自分が保有する個別の銘柄の値動きばかり追っていては市場全体の雰囲気を掴めないため、このような見方を持つことも大切です。

日経平均の値動きの荒さ

 僕は日本の株式市場はギャンブル場だと思っています。それくらい値動きが荒いです。これは個々の株価の平均を取ったものといってもよい日経平均の値動きの荒さに顕著に表れています。下図は印象的だったのでキャプチャしておいた2017年11月9日の株価推移です。1日の始まりと終わりではそんなに値動きしてないように見えますが、取引き時間中の午後1時間だけで800円以上下げるといった極端な値動きを見せています。

為替との関係(円安に向かえば株価は上がる)


 日経平均は為替の影響を強く受けます。これはつまり円安に動けば株価が上がり、円高に動けば株価が下がるということです。

 資源に乏しく自給率も低い日本の経済は輸出によって支えられているといっても過言ではなく、円安になると企業の利益が増えるため、株価が上がるという理屈です。逆もしかりです。
 輸出に全く頼っていない企業も多く存在しますが、そんなこと関係なしに円高になればほとんどの企業の株価が下がります。もちろん外需系企業の方が影響は大きいですが、内需企業ごともろともに売られます。
 為替の動きは全く読めませんが、このような関係性があることは最低限頭に入れておいた方がよいです。

前日のダウが上がったか、下がったか

 僕は毎朝の日課として、yahooの経済欄のダウの推移を見てから出勤しています。その日の寄り付きの日経平均の値、ひいては僕が保有する銘柄の株価の変動に対して心の準備をするためです。
 日本の株価は前日のダウの終値の影響を非常に強く受けます。アメリカの市場は日本時間の夜10時半から朝方にかけて稼働していますので、僕らが出勤する頃にはその日のダウの終値がわかります。ダウが上がっていれば日経平均は上がり、下がっていれば日経平均も下がります。この傾向はずっと変わりません。悲しいほどにアメリカに従属的です。
 ダウが下がれば日本の証券取引所が開く午前9時の時点で日本の株価は下がってスタートすることが多いです。そしてそれが分かったところで前の日の終値で保有銘柄を売ることは叶いません。僕らが取引きできるのはこの影響を受けた後の株価だからです。心の準備といったのはそういうことです。
・関連記事です。株価は夜のうちに動くのです。


 

日銀のETF買い入れへの思惑

 日銀は異次元緩和政策の一環として日本株式のETFを買い入れています。その額は年々増加しており、2017年は6兆円を超え、今年も同程度が見込まれています。この6兆円分を小分けにして発動する訳ですが、1回あたり600億前後と言われています。発動条件は明らかになっていませんが、日経平均の昼時点の値が前日の終値よりも下回っている場合、その日の午後に買い入れが入るという見方がされています。
 これにより、日銀がETFを買うことによる株価の上昇はもちろんですが、日銀のETF買い入れに乗とうとする個人や機関投資家の買いが入りやすくなり、特に午後の相場が下支えされている、とされています。実際に日銀がETFを買い入れたかどうかは市場が閉まったその日の夕方にならないと分からないというのもポイントで、その額以上に市場を牽制する役割の方が大きいように感じています。
 このように現在の日本の株式市場は日銀、ひいては政府が株価の上昇を誘導しようとしています。
 ただし、上の2つの要因(為替、ダウの値)に比べると影響の度合いとしては小さいです。

 ちなみに、これまでの日銀ETF買い入れ額は時価にして23兆円と言われており、JPX日本取引所グループのデータによると2018年6月末現在の日本企業の時価総額合計は643兆円ですので、実に3%に相当します。この資金は国民の資産が原資なので、もし今後株価が暴落したらどんな影響が出るだろうと考えると、少しゾッとします。

日中のダウ先物の値動き

 ダウ先物とはオプション取引きの一種です。日経225にも先物はあります。先物とは極論すれば、これからダウなり日経なりが上がるのか下がるのかに賭ける丁半博打みたいなものです。僕も詳しくないですが、FXの株指数版くらいに理解しています。統計学などを取り入れて負けない手法を確立し、これを生業としている方からすると博打ではないと言われるのでしょうが、我々素人からすると、裏表どちらにベットするか、というものでしかありません。

 先物取引きはほぼ24時間動いていますので、ダウ先物の値は日本の昼間も動き続けています。ダウ先物の値に日経平均はリアルタイムに反応します。特に午後に格段の材料なく日経平均がずるずる下がるような時はだいたいダウ先物の値が下がっています。

 日本の株式市場は、上のとおり前日のダウの値の後取りもする上に、先物で前取りもします。どんだけダウ様に従順なんだとイライラさせられることが多いです。

世界情勢

 日本の株式市場は世界情勢敏感市場です。世界のどこかに緊迫感が走ればどこよりも先に大きく値を崩します。もちろんアメリカ市場や他の市場も影響を受けますが、特に影響を強く受けます。この理由の一つとして世界情勢が悪化すると安全資産とされる円が買われるため、円高になるからです。上に書いた通り、円高は日本の株式市場にはマイナス要因ですので、ダブルパンチを食らう形となります。

 2016年、2017年は北朝鮮のミサイル発射をきっかけによく日経平均は下がりました。日本の上空を飛んでるのになんで円が買われるの?という疑問もありますが、そんなことは関係ありません。

まとめ

 今日は日経平均に特に影響を与える5つの要因について書きました。まとめると以下となります。

 ・為替 → 円安なら株高、円高なら株安(影響大)
 ・前日のダウ → 寄り付きに特に影響(影響大)
 ・日銀のETF買い → 午後の相場の下支え効果
 ・ダウ先物 → 日中の日経平均へ影響
 ・世界情勢 → 緊迫感が持ち上がると下げる(影響大)

 これは相場に親しんでいる方にするとごく当たり前のことですが、これから株に投資する方に是非知っておいて欲しい関係性です。個別の銘柄の業績等への分析も大事ですが、それとは無関係な外部要因があることを覚えておいてください。

 なお、全体的にマイナス面を例にとった書き方となりましたが、逆にこれらが全てプラス側に作用した時の日経平均の上がり方もまたすごいです。日本株はどの銘柄を買うかよりも、タイミングの方が大事な市場だと感じています。

 僕が投資をはじめてから概ね2年間、この傾向が続いています。もし、今日ここに書いたことが全く当てはまらない日が続けば、それは何かの予兆と捉えた方がよいと思います。例えば円安が進んでいるのに株価が下がってる、などは要注意な兆候です。