ZOZOTOWNがついにオーダースーツに参入|スタートトゥデイが仕掛ける100%ウール生地のカスタムオーダースーツを分析

 ついにZOZOがオーダースーツ業界に参入しました。ZOZOスーツによる体型データを使ったフィット感抜群のカスタムオーダースーツをドレスシャツとセットで7月3日より販売開始し、初回はお試し価格で24,800円とのことです。今日は報道発表の内容や同社のHP情報をもとZOZOのオーダースーツを分析してみたいと思います。

 僕は普通のサラリーマンですが、スーツはオーダースーツしか着ないと決めています。

 ZOZOスーツを知ったときから間違いなくオーダースーツに展開するだろうと思っていましたが、まさかこんなに早く実現するとは思いませんでした。

 今日は麻布テーラー、グローバルスタイル、花菱でオーダースーツを作った僕の経験から、ちまたで評判のZOZOのオーダースーツの特徴、コスパなどを比較しつつ書きたいと思います。
 

ZOZOのオーダースーツの特徴

 
 ZOZOのオーダースーツの特徴は大きく2つです。

 1つはZOZOスーツで測定されたデータをもとに個人の体型にベストフィットしたものであることです。これは他社が真似できない大きなメリットです。

 2つ目はウール100%素材の生地を使った着心地を追求したものであること、です。

個人個人の体型に合ったカスタムオーダー

 同社のホームページの紹介では、一般のパターンオーダーと異なるカスタムオーダーであるとあります。

 パターンオーダーは量販店を見れば分かる通り、たくさんのスーツから自分の体型にあったものを選択するというものです。カスタムオーダーは個人の体型ごとにスーツが生地から作られます。

 おそらく実際の製法としては、ある程度の型紙パターンを組み合わせてベースの型を作り、裾や袖の長さ、胴回りといった個別に調整可能なディテール部分を個人個人に合わせて作るのだと推察しています。

 これは麻布テーラーやグローバルスタイルといったオーダースーツ店と同じです。明らかにスーツ量販店のものよりサイズ感がよいでしょう。

 記者会見では島精機製作所のホールガーメントという、簡単に言うと衣類の3Dプリンターみたいな機械で作ったニットを販売すると発表していましたが、これでスーツが丸ごとポンって作られるところまでは現状技術が辿り着いていません。

 なお、たまにフルオーダーと表現されているのを目にしますが、フルオーダーは型紙が完全に個人毎に作られるものであり、これではありませんので誤解しないようご注意下さい。

着心地を追求したウール100%生地を使用

 ZOZOのオーダースーツではスーパー110’sの100%ウール素材の生地を使っています。

 一般のスーツ量販店の低価格帯のものは全てポリエステルとウールの混合素材を使っています。この方が加工がしやすく安価に製造できるからです。

 これに対しウール100%の生地は肌ざわりがよいため着心地が良く、生地に艶があるため高級感を感じられます

 ポリ混合素材はゴワゴワした感じがしますし、着続けていると擦れやすい部分が次第にテカってきます

 ちなみにスーパー110’sというのはウールの糸の細さを示していて、ウール100%の中でも結構いい生地使ってるということです。

 まぁこのスーパーの数字の差を感じられる人はそうはいないと思います。僕にも区別はつきません。
 
 周囲の評判ではZOZOスーツとの連携ばかりが取り上げられていますが、僕はこのウール100%に同社の強いこだわりを感じました。

 多くの男性はスーツは消耗品ととらえているため、ポリ混合素材を使ってさらに低価格を追求した方が注文数は多いと思います。

 ここをあえて着心地を重視したウール100%にこだわったところに量販店との差別化とともに、良い物を広く伝えたいというメッセージが込められていると思いました。

ZOZOオーダースーツのコスパ

 ZOZOのオーダースーツは、ビジネススーツ・ドレスシャツのセットで標準価格44,800円、初回限定で24,800円となっています。ドレスシャツ分を抜くと、初回は21,900円となります。

 これは、ウール100%であるということを踏まえると、めちゃくちゃ安いです。

 多分儲けはほとんど出ないでしょう。

 オーダースーツの価格の目安として、ウール100%で仕立てると、老舗テーラーのフルオーダーなら20万くらいはします。

 麻布テーラー、グローバルスタイル、花菱であればだいたい5万くらいからというのが相場感です。
  
 麻布テーラー他の最低価格帯であればZOZOの標準価格より安いラインナップもありますが、これらはポリ混合素材ですので、最低価格帯のものと比べるのはフェアでありません。

 標準価格でも他より若干割安だと僕は思います。

 ただし、これはあくまで生地を基準とした価格比較であって、縫製や店員さんによるスタイリング等の付加価値を抜いて考えています。ZOZOのオーダースーツは中国で縫製するということで、少し品質面が心配ではあります。

ZOZOオーダースーツの色、デザイン、オプション

 次に色、デザイン、オプションについて見て行きます。

カラーバリエーション

 色は無地(ブラック、ダークネイビー、チャコールグレー)、ヘリンボーン(ネイビー、ダークネイビー、ライトグレー、チャコールグレー)の計7種類から選ぶことができ、ストライプのラインナップも秋頃追加される予定です。

 当然ですが無難な色合いとなっています。

 ちなみにヘリンボーンはニシン(herring)の骨(bone)に由来しており、生地に下図のような模様が入っています。無地よりも若干紳士度がアップしますが、嫌いな人は嫌いな柄ですね。

 でも、僕が買うならライトグレーのヘリンボーン一択です。


 

デザイン

 デザインは至ってノーマルです。例えば花菱ならイタリアン、ブリティッシュ、インターナショナルといったバリエーションがありますが、こういった選択はなさそうです。

 肩幅や胴回り、着丈を微調できますので、これで細め、ジャスト、ゆったりと、好みに仕上げることになると思います。同社のHPからの引用ですが、下のような写真でジャストフィットからやや細めという感じですね。

 やり過ぎはよくないですが、肩周りに対して胴回りを若干引き締め、着丈を少し短くすることで、スタイリッシュな感じが出せます。

オプション

 カスタムオプションは以下が選べます。

 ・パンツの裾始末(シングル・ダブル)
 ・ジャケットポケット
 ・パンツポケット
 ・ネーム刺繍
 ・ボタン
 ・ベント
 ・背裏(背抜きか総裏仕立て)
 ・裏地(5色選択)
 ・ウエストベルト
 ・ラペル・ポケット・ボタンの大きさ、位置

 必要なカスタムオプションとしては十分だと思います。

ZOZOのオーダースーツの納期

 ためしにZOZOTOWNで注文画面まで進んでみましたが、お届け目安が9月末から10月初旬と表示されました。

 当初予定では初回分は8月上旬に発送、通常納期は2週間程度とのことでしたが、発表から数日で既に当初予想を越える注文があったということでしょう。

 購入を検討されている方は急いだ方がよいと思います。

今後の展開への期待

 当面はライトユーザーの取り込みが中心だと思いますが、今後の展開として以下を期待したいです。

生地種類の拡充

 僕が今までスーツをオーダーした麻布テーラー、グローバルスタイル、花菱との違いですが、やはり選択できる生地の種類です。

 ZOZOはユーザーが多いのでともすれば全く同じスーツを着ている人に出くわしかねません。

 是非海外の生地メーカーと提携したり、国内の新たな生地メーカーとのタイアップや機能性の高い生地などの選択肢が欲しいです。

オプションの充実

 水牛のボタンなど、ちょっとした個性を出せるオプションが充実して欲しいです。

 選択肢を与えすぎると興味があまりない人には逆効果なのかもしれませんが、オーダースーツを買うような人は個性を出したがるものです。

まとめ

 今日は最近評判のZOZOTOWNのカスタムオーダースーツについて調べた内容と僕の感じたことを書きました。

 ZOZOスーツの体型データによるジャストフィットとウール100%の着心地は、今までの既製品のスーツとは明らかな違いを感じられると思います。

 ウール100%であることを踏まえると初回割は明らかにお得な値段設定ですので、はじめてのオーダースーツには最適と言って良いでしょう。