突然の株価急落!九電工に何があった?|決算を確認

 1/31に九電工の株価が11%も下落しました。5600円が5000円です。1口あたり今日だけで6万円の損失です。このような下落は少なくとも2017年に入ってから一度もなかったと記憶しています。普段は日々の株価をあまり気にしてなかったのですが、これは見過ごせないと思い僕なりに調べた結果をお伝えしたいと思います。

 九電工はここにも書いているとおり僕の期待する銘柄の1つで、投資を始めた2016年から保有しています。この機会に理由を調べて今後の投資の糧にしたいと思います。

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2018/8/4追記:2018年の第一四半期決算分析についてはこちらに書いています。


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なぜ急に株価が下がったのか

 いろいろ調べた結果、結論から言うと、決算内容に対する失望売りです。
 1/30は九電工の四半期決算の発表日でした。30日の取引時間終了後に発表された決算への反応は翌日に現れます。タイミング的に決算発表が原因としか考えられません。
 ちなみに企業の決算発表は取引時間終了後の4時頃に行われるのが一般的です。取引時間中に発表すると市場の混乱を招く恐れがあるからです。 

九電工の決算内容

 決算の内容が原因だというのは間違いないでしょうから、九電工の決算内容を確認したいと思います。まず売上と営業利益・経常利益ですが、同社のHPにアップされた決算書の抜粋を引用します。

 正直これだけ見ても良いとも悪いとも判断できませんが、少なくとも昨年度も今年度も増収増益であることは分かります。経常利益は2年連続で二桁の伸びです。
 次に今年度通期の業績予測です。

 注釈にあるとおり、前回の中間決算からの変更はありません。決算での失望売りといえば業績を下方修正するというものが多いですが、同社は少なくとも計画とおり過去最高益を更新する見通しです。

 正直、決算内容だけ見るとなぜ売られたのか分かりません。次に僕が口座を持っているマネックス証券の銘柄スカウターを確認しました。

原因は市場期待を裏切ったから?|IFISコンセンサス

 銘柄スカウターから、経常利益の進捗率の引用です。
  
 ここで気になる行があります。「コンセンサス」という行です。
 正式にはIFISコンセンサスと言われ、複数の証券会社のアナリスト達の業績予測のことです。会社の決算発表とは別にアナリスト達が独自に決算を予想しているのですが、これが大きく株価に影響を与えます。
 決算の時期にはよくサプライズ決算と呼ばれ、コンセンサスを上回る業績発表をした銘柄が翌日に大きく株価を上げたりします。逆に増収増益の見込みであり、会社の予測通りであっても、コンセンサスを下回ると、市場期待を裏切ったとされ、株価が下がることがあります。今回の九電工はこれにあたると思います。

 今回の九電工の決算は3Qであり、会社発表の経常利益はコンセンサスを上回っています。一方、通期の予想に対して会社発表は前回予想を据え置き、前年比15%増益の37,000百万円を予想していますが、IFISコンセンサスでは37,800万円であり、2%ちょっと下回る水準となっています。

 通期の業績予想を上方修正しなかった、これが理由だと考えます。
 

今後の株価の予想

 すぐには前と同じ水準まで回復はしないと思います。これだけ下がったら反動が出るんじゃないかと思う人がたくさんいて、そういう安易な考えを食い物にする得体のしれない力が働き出すからです。もちろん上がってくれたら嬉しいんですが、2段底くらいは覚悟しといた方がいいかもしいれません。

 ただ、少し長い目で見れば、建設業はある程度先の見えている業種であり、よほどのことがない限り本決算でも好調な業績が発表されると見ています。また今は東京五輪に向けた整備等、目先の工事が潤沢なため、売り手市場であることが想像されます。これは利益率の高い工事を選べるということであり、経常利益に大きく寄与すると思います。いくら受注が多くても利益のない自転車操業だと株価の伸びは期待できません。
 ちなみに九電工は今日発表された北九州豪雨復興に係る補正予算の恩恵も受ける可能性があります。補正予算は企業にとって特需なので、売上げの底上げが期待されます。

決算前後にはご注意を

 上の予想が合っているかどうかは分かりませんが、つくづく株価は「期待」で動くものだと感じました。そしてその期待の帳尻合わせの大きなタイミングが決算です。四半期でもこれ程インパクトがあるため、本決算はもっと注意しないといけません。
 ちょっと波に乗って軽く儲けたいと、流行りの銘柄に手を出すこともあるかと思いますが、保有銘柄の決算日程は抑えておきましょう。

まとめ

 今日は九電工の株価急落の原因を僕なりに考えてみました。
 今回の急落は不祥事とかコンプライアンスの問題ではなく、また業績の下方修正があった訳ではなかったため、僕は見切り売りはせずに保有し続けようと思います。
 今まではROEとPERなどの指標をもとに割安株かどうかくらいしか見てませんでしたが、長く投資と付き合うためにももっと企業の決算内容やファンダメンタルに目を向けていきたいと思います。