補正予算について考えてみる

 今日は2017年9月に安倍内閣が今年度の補正予算を編成するというニュースを見て、補正予算が相場に影響を与えるのではないかと考え、国の予算というものについて考えてみたことを書きたいと思います。


  

 今日のテーマは補正予算ですが、その前にそもそも国家予算がどのように作られているのかを、サラリーマンとしての自分の経験も踏まえつつ、以下の流れで考えてみたいと思います。
 ・日本の国家予算ってどのくらい?
 ・国家予算はどうやって作られる
 ・補正予算って何?
 ・補正予算を投資家の立場でどう見るか
 ・補正予算の恩恵を得る投資先を考えてみる
 ・まとめ

日本の国家予算ってどのくらい?

 財務省のHP等を参考にすると、日本の1年間の国家予算は約100兆円と言われています。ただし、これは一般会計予算と呼ばれるもので、この他に特別会計予算というのもあります。特別会計予算は日本独自のシステムらしく、これは僕自身も全貌を理解できていませんし、話が発散しますので割愛します。

国家予算はどうやって作られる

 日本の一般会計予算(以下、国家予算)の100兆円がどのように決められていくかの流れを書きます。当年度執行する国の予算は前の年度に作られます。
 ・前年度の8月
 概算要求と呼ばれるフェーズです。これまでに各省庁から来年度計画している事業の執行にいくらくらい必要ですという見積もりが財務省に提出されます。これらを合計したものが次年度に対する概算要求額となります。
 ここで重要なのが、この積み上げには、企業の見積りが使用されているということです。
 例えば、来年度新しい図書館を建てたいとある町が国に予算要求したとした場合、その見積りには図書館の建設費などが含まれます。役場の人が建造費を見積もれるはずもなく、建設会社に見積りをとり、それを根拠に概算要求をしています。
 そして、僕らが目にする建設会社の次年度の売上げ高予測は、すでにこれを受注する前提で作られていたりします(僕は建設業ではないですが、会社の経営数値はそのように作られます)。

 ・前年度の12月
 財務省が各省庁の概算要求を精査し、政府としての予算案を作成します。
 8月の概算要求時点では多めに出されることが多く、ほぼ間違いなく全体としての予算枠をオーバするため、8月から12月にかけて事業の必要性などの吟味がなされ、緊急性の低い事業をカットするなどの調整がなされます。
 そして、この時点で生き残った事業は、ほぼ間違いなく予算化されます。
 余談ですが、この期間の後半は事業の生き残りをかけた財務説明で各省庁は必死です(僕はお役所勤めでないですが)。

 ・前年度3月
 予算案が国会承認されることで、晴れて次年度の予算が成立します。

ここで言いたかったのは、国家予算の成立には、企業も深く関与しており、それが企業の中長期の事業計画(公表される経営数値)に含まれているということです。

補正予算って何?

 今まで国家予算(一般会計)について説明しましたが、では補正予算とは何でしょう。補正予算とは、当年度の国家予算の計画から想定外の予算が必要となった場合に緊急でつけられる予算のことです。例えば、東日本大震災のあった平成23年度には、復興のための補正予算が4回成立しました。
 このように想定外への対処として補正予算が編成されるのが一般ですが、実際は補正予算は毎年組まれています。そして冒頭のとおり、今年度も編成されるとのことで、その規模はまだ明らかになってませんが、2兆円を超えるとみられています。

補正予算を投資家の立場でどう見るか

 補正予算は、上記のとおり計画外の予算です。
 これが意味するところは、補正予算によって間違いなく新たな実需(契約と言い換えていいかもしれません)が発生するのに対し、企業は経営数値にそれを反映していないということです。もちろん2兆円が全て企業に落ちてくるということはなく、地方自治体や公的機関の運営費にあてられるものも多いでしょうが、それでもこの補正予算によって売上げが底上げされる企業はあり、補正予算は当年度執行(のはず)ですので、その恩恵を受けた企業は売上げ増という形で今年度の本決算に反映されるはずです。上振れサプライズがおこるということです。
 

補正予算の恩恵を得る投資先を考えてみる

 2017年度の補正予算の中身は、安倍内閣が掲げるとおり「人づくり革命」、「生産性革命」を柱としたものとなる見込みです。情報は現状これだけです。

 ここからは連想ゲームです。
 
 株価は思惑によって動きますから、今後補正予算が成立に向かっていく中でどのような銘柄の株価に影響があるのかは僕のような素人には分かりませんし、もしかしたら影響ないのかもしれません。
 
 「人づくり革命」から想像されるのは待機児童の縮小に向けた政策や、教育関連でしょうか。幼児無償化を検討しているともあるので、そこで浮いたお金が教育に向けられると考えてみると、例えばベネッセHD(9783)、TAC(4319)、学研HD(9470)などが注目されるかもしれません。
 「生産性革命」と言えばAI、ロボット関係が想像できると思いますが、すでに十分動意付いていて新たに掘り出し銘柄を探すのは難しいと感じますが、このような視点で考えてみるのも投資の醍醐味と思います。

 ただ、僕が考えるようなことはプロ達はとっくに気付いていて、後から追っ掛けて痛い目みるのが常ですので、投資初心者の僕は相場との関係性を勉強するにとどめ、今年は様子見したいと思います。

 一方で連想ゲームからは直接光を当てられないかもしれませんが、建設系の企業は実需として着実に売上げが底上げされると思っており、例えば大成建設(1801)や鹿島建設(1812)や、僕が投資をはじめた日に買った思い入れある九電工(1959)の決算の上振れに期待したいです。まぁ決算は来年の6月なのでそれまでに売っちゃうかもですが。。

まとめ

 今日は補正予算について思うところを書きました。
 2017年度の補正予算は12月中に案がまとめられ、1月には通常国会で承認されるとのことで、これからのニュースとそれに関連した株価の動向に注目していきたいと思います。