エニグモを通して感じた株式市場(その2)

 前回は僕がエニグモ株の購入に至った経緯を書きました。今日はエニグモ株の株価の変動から学んだ中小型株の特徴について思ったところを書きたいと思います。

 エニグモは、海外に在住するバイヤーから直接国内の消費者が海外ブランドの服などを購入することができるバイマの運営を事業の柱としています。バイマに出店するバイヤーと購入する消費者を繋ぎ、その手数料を収入源とするEC(electronic commerce)のビジネスモデルです。僕はファッションが好きということもあり、同社の株を購入しました、とここまでが前回の要約です。

突然の大幅下落

 エニグモの最近の株価推移です。

 9月のある日に急激に下げました。同社のHPを見ると9/13の中間決算報告と一緒に「連結業績予想の修正及び特別損失の計上に関するお知らせ」が開示されていました。簡単にまとめると、連結子会社の広告収益が当初予測を下回る公算が高いため、業績予想を下方修正した、といった内容でした。

 これを受け、同社株はストップ安まで売られ、わずか1日で1600円の株価が1100円まで下がりました。5月から見ると半額以下になっていますので、いかに中小型株の値動きが大きいかを肌で感じました。

中小型株の決算には要注意

 エニグモに限らず、中小型株は売り上げ規模が大型株に比べると少ないため、決算で業績下方修正等があると大きく株価を下げることが多々あります。もちろん大型株でも下げますが、不祥事絡みとかでない限り、2,3ヶ月で株価が半分になるといったことはそうそうありません。

 企業の業績予測は基本4半期決算で更新され、特に3月の本決算、9月の中間決算は市場の注目を集めます。中小型株は特に、そのビジネスの分野だったりトレンドといった、期待が株価を押し上げたりしますので、実態としての業績がイマイチだったりすると、決算を機に失望売りを誘ったりするようです。もちろん逆もしかりで、大幅に市場予測を越えた利益が出ると、大きく上がったりもします。

中小型株と大型株の違い

 僕が投資を始めてこの1年で感じたのは、同じ国内株でも大型株の値動きは比較的緩やかで、中小型株の値動きはすごく激しいということです。今回のエニグモで改めてそれを感じました。僕なりになぜそうなるのか、その理由を考えました。

・企業の業績予想の確度の違い

 株式上場している企業はその年の業績予想を年初計画という形で公表します。ここで発表される売り上げ予測などの数字は、ざっくりですが、各営業部門の売り上げ予測を経理部門が集計して作ります。これに対する進捗率や数字の見直しを各決算で発表しています。
僕は営業でも経理でもなく、技術職ですが、技術営業とでもいうのでしょうか、比較的営業に近いポジションにあるため、年度計画を立てる時期になると、自分の担当する事業の受注予測を計算させられます。
 僕の勤めている会社は、比較的規模が大きく、事業の大半が継続したお客様向けのものであるため、受注予測も受注予定に近いものが多いという事業環境にあります。そのため、少なくとも次の1年の見立てはそんなにズレません。こういう数字の積み上げからなっているので、良くも悪くもサプライズは起こりにくいです。

 一方で、特に新興企業の多くがそうですが、一般消費者を対象とした事業構造の場合、売れるか売れないかは蓋を開けてみなければ分からないといった事業も多いと思います。例えばスマホゲームなんかも何人が会員登録するか、そのうち課金してくれるのはどれくらいか、などは見込みで入れるしかありません。売り上げ規模がまだ小さい中小型株であればこの見込みのブレが業績全体に及ぼす影響は非常の大きいです。エニグモの株価下落も想定売上高に達しない見込みを受けてのことでした。

 このように企業の規模や業態によって、業績予想との乖離確率の違いが、株価の値動きの特徴となって出てきているように思います。特に一般消費者向けビジネスの業績予想の確度が低く、良くも悪くもサプライズが起こりやすいと考えました。

 ただ、これが全てに当てはまるとも思っていません。

 たとえば、大企業でも東芝の「チャレンジ」は、到底達成が見込めない売上、利益を経営数値として使っていましたし、ディズニーランドは一般消費者を対象としていますが、来場客の母数がすごいので、ブレ幅も全体的には数%以内に収まると思います。

まとめ

 今回は僕が持っている唯一のマザーズ上場企業であるエニグモ株の下落から思ったこと、業績予測と決算の関係等を自分の頭の整理もかねて書きました。企業の業績予測がどう算出されたのか、それが控えめなのか、チャレンジ的なのか、4半期決算での進捗率はどうか、上ブレ下ブレはあるかなど考えたりすべきなんだろうなと、多分やらないですが、思いました。

 最後に、中小型株の爆発的な上昇の可能性はとても魅力的ですが、良いサプライズを他に先んじて見抜く目がないと戦えない市場であり、僕のような素人にはリスクの方が大きく映ります。僕にとってのエニグモのように、事業内容を応援したい企業だと思っても、値動きが激しく安心して保有できないため、当初の方針とおりこれからも大型株中心で投資していきたいと思います。