投資初心者がうかつに手を出してはいけない銘柄|東天紅

 まず先に断っておきます。今日の記事に東天紅を貶める意図は全くありません。歴史あるすばらしい会社だと思っています。ただ、これから国内株式投資を始めようとされている方に、日本株の投資環境の実態を伝えたいと思った時に、この1年で最も衝撃的だった経験がこの銘柄だったということです。

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パンダ銘柄という謎との遭遇

 僕は投資を始めた2016年9月から、僕なりに投資に有益な情報を得ようと、Yahooの経済欄に目を通すようにしていました(といってもトップページから1階層程度ですが)。
そんなある日以下のニュースを目にしました。

「東天紅の株価は一時34円高の192円まで買われ昨年来高値を更新している。上野動物園が16日、ジャイアントパンダのリーリー(オス)に昨年12月上旬から明け方に室内を歩き回るなどの発情の兆候が見られると発表したことから、一気に買いが膨らんだ。

 投資を始めて数ヶ月、ようやく「ニッケイヘイキン」の意味くらいは分かり始めた程度の僕です。ネットの情報とかも純粋に信じていた頃です。僕はその時、

「そうか、パンダと言えば中国、パンダが発情したら子供ができて、中国ばんざーいって感じで、中華料理店の東天紅に客がいっぱい入って売り上げあがるから、株価も上がるよね!」

 と、納得できるほどは純粋ではありませんでした。

「んな訳あるかーい!!何かもっと別の理由があるはず。」

 とウブな僕は何か別の業績改善とかの要因があるのではと思い少し調べましたが、結局特に何も見つかりませんでした。しばらくしてようやく、こういうものなんだ、と気がつきました。

 東天紅のここ1年の株価推移をマネックスさんから引用します。

 ぱっと見きれいな右肩上がりに見えます。ただ、特に枠でかこったところにすごいヒゲが現れています。これは一瞬ヒゲの上端まで株価が上がって、また戻ってきているということです。値動きの激しさを示しています。もう慣れましたが、パンダ発情、パンダ交尾しそう、やっぱやめた、でもやっぱりやった、パンダ妊娠、パンダ出産、赤ちゃん元気、パンダ命名、あたりのニュースの日に大きく動いているのでしょう。考えたくはないですが、赤ちゃんパンダが亡くなろうものなら同株も急落することでしょう。
 このような中で、大きく利益を得た人もいるでしょうが、それと同じくらいに損をした方もいるでしょう。

 東天紅自体に全く罪はありませんが、このような状況を経営者の方々はどう思っているのか気になるところです。

 この経験は、「一部」の投資家(と呼ぶのか?)はこういうマネーゲームをしているのであって、パチンコとおなじギャンブルを楽しんでいるんだ、と、経済知識も何もない投資素人であるという自分の引け目みたいなものがかなり薄れました。

 一方でこれは極端な例でしたが、株価というのは様々な「思惑」、言い換えれば連想ゲームで動いている側面もあるというのは面白い気づきでした。株価は業績云々、景気云々とは別次元で動くものだということです。ギャンブル上等!
 でもまぁ僕は発想が貧困なのでこのゲームに乗る気はありませんが。。

まとめ

 今日の話にまとめもなにもないですが、僕のような投資初心者が何気なく最初に購入した株が、運悪くこのようなマネーゲームに巻き込まれて思いがけない損を被るというはちょっと悲しい気持ちになります。投資初心者が個別株に手を出すのが悪いと言われればそれまでで、投資は全て自己責任だと僕も思いますが、このような状況が日本において株式投資というものを敬遠させる遠因になっているのではないかと思います。

 東証1部にある、すなわち日本を代表する企業の株でさえ、このようなマネーゲームの対象となる。この事実はこれから投資を始めようと思われている方に覚えておいて頂きたいです。

 最後に、このような本業と関係ないところで上がった株を信用売りしようという考えが思い浮かぶ人もいると思います。きっとこの考えは大半が上手くいきません。僕ら素人の考えは面白いように市場に読まれているからです。