投資信託とは

多くの方が投資を始める際にまず考えるのが、株を買うのか、投資信託を買うのかという選択です。

個別株は説明するまでもなく、株式市場に上場する会社の株を買い、その株価の上昇による利益(キャピタルゲイン)を得たり、株主優待や配当金(インカムゲイン)を得たりすることで利益を上げることを目的としています。非常にシンプルで分かり易いですが、変動が激しいです。

一方ギャンブルしたくない一般の投資家は投資信託の購入を選択されることになります。もちろん個別株と投資信託を組合せてもいいです。

投資信託は、僕たち投資家の資金を集めてその資金を運用をして、得た利益を投資家に還元するシステムです。言わば投資信託はパチプロ達による代打ちみたいなものです。例えば日本株式の投資信託ならば、パチプロ達はトヨタやソフトバンクやキリンビールなど、いろんな台に座り、夜になったら皆で取り分を山分けします。もちろんマイナスでもです。これは大勝ちも大負けも薄まるためリスク分散という効果があります。当然勝とうが負けようが代打ちをお願いするのには手数料がかかります。

投資信託には、国内の株式市場を専門にするものから、海外の不動産を専門にするものもあれば、これらを組み合わせたものなど多岐にわたり、投資信託協会によると現在は約1万種類以上もの投資信託が発売されているそうです。

なんでそんなに種類がいるの?と思うほど、毎日のように新商品が出てきて、当然中にはタチが悪くプロと呼ぶに相応しくない投資信託もたくさんあります。

投資信託を購入するにあたって一番重要なのは、このタチの悪いプロにお金を預けないことです。

まずは投資信託のメリットデメリットです。

投資信託のメリット

・リスクの分散

上で書いたとおり投資家の資金を集約して運用するわけですから、個人ではできない分散投資ができます。個別株の場合、利益が出た時はその恩恵を最大限受けられますが、逆に損失が出た時に資産を大きく毀損することになります。分散投資によるリスクの低減こそが最大の投資信託のメリットと言ってよいと考えます。

・積立てができる

毎月数千円とかの積立てができます。これは普段仕事が忙しく投資について考える時間をとれない方、ついついお金はあるだけ使っちゃうって方にとてもいいシステムです。

投資信託のデメリット

・手数料がかかる

投資信託には購入時の申し込み手数料、毎年かかる信託報酬や解約手数料といった各種手数料がかかります。株の場合は購入時の手数料のみです。最近は申し込み手数料無料(ノーロード)と呼ばれる商品が一般化されてきました。一番気にすべきは信託報酬です。これが例えば1%なら、100万円分の投資信託を購入した場合、運用益が出ていようがいまいが、毎年1万くらいが手数料としてもっていかれます。この信託報酬は商品によって0.2%から3%近いものまであり、投資信託を選択する上で最も重視すべき項目と思います。

・数が多すぎて選べない

投資信託のデメリットというか、はじめる上でのデメリットですが、上で書いたように投資信託は1万種類からあります。そのうちネット証券で買えるものは多い証券会社で2000種類くらい、少ないところでも1000近くあります。これでも十分多すぎて、一体どれを選べばいいの?という状況です。

次に僕の考える買ってはいけない投資信託です。タチの悪いプロの種類として3つ挙げます。

おすすめしない投資信託

・高利回りの、毎月(隔月)分配型の投資信託

これは巷で大人気の商品のようです。他の商品では考えられない位の分配金を毎月出すことで、年金代わりの資産運用ができますというのが売り文句のようですが、これから購入を検討される方は、ちょっと待って下さい。どういう商品か理解してますか。もし答えがNoなら再検討されることをお勧めします。心構えでも書いたように、自分が何に投資しているか分からないものに投資すべきでないからです。

僕は直感で怪しすぎると感じたので買ってませんが、毎月分配型のファンドの中には利回り30%というものもあるそうです。100万預けたら、毎年30万貰えて、3年後にはほぼ元本回収してさらにずっと毎年30万貰い続けられるすごくお得な商品だ!と勘違いしてしまう人もいると思います。
売る側からすれば、分配金利回りとトータルリターンの違いも分らずにそんな誤解をする方が悪いと言われるのでしょうが。

あえてかなりはしょって書いてますが、少なくとも上の色付きの意味が理解できない状況であれば、せめてもう少し勉強されてから購入することをお勧めします。僕も目論見書(※そのファンドの投資方針を記したもの)を1分ほど流し読みした程度で詳しくは理解していませんが(じっくり読む価値がないと思っているため)、わざと分かり難くしているという悪意を感じずにはいられませんでした。良質な投資信託の目論見書はシンプルです。また、上の毎月分配型投資信託は日本株メインといっているのに、出て来るはずのないブラジルレアルという言葉が出てきたことで、直感で危ないことやってんな、という印象を受けました。あくまで僕の直感です。ただ、利回り30%という数字が元本取り崩しを前提にしているだろうということは少し投資に触れれば誰でも分かると思います。

ただ、今のところ、プラスリターンの投資信託もあるようなので、納得して購入されているのであれば、それはそれでいいと思います。多くの人に人気の商品を正面きって投資初心者が叩っ斬るのはおこがましいとも思いますので。

・ファンドラップ

ファンドラップとは、お金そのものを預けて、後の運用は全部お任せします、というものです。手数料がバカ高いです。なんだかんだで年間3%くらいかかると言われています。ファンドが3%以上の運用益を出さないと、投資者はマイナスになります。

まぁ、投資なんかに頭を使う時間がもったいないという富裕層の方にはいいんじゃないでしょうか。逆に、そうじゃない人が使うべきサービスとは思えません。

・(大半の)アクティブファンド

投資信託にはアクティブファンドとパッシブファンドと呼ばれるものがあります。
アクティブファンドは投資銘柄を頻繁に入れ替えたりしながらリターンを追求した運用をします。一方でパッシブファンドはその目印に「インデックス」という言葉が使われていることが多く、何かの指標に追従しようと運用されるものです。具体的には国内株式のパッシブファンドで、日経インデックスとあれば、日経平均とほぼ同じ値動きを目指します。これに対しアクティブファンドは日経平均の値動きより大きく利益を得ようとしたものです。
名称にアクティブファンドと書いてある訳ではないので、ぱっと見でアクティブファンドかどうか分からないものが多いですが、僕の見極めの材料として、信託報酬が0.5%を越えるものはアクティブファンドと考えています(国内株式の場合)。逆に0.5%を越える信託報酬でインデックスファンドですと言っているようであれば、他のを選びましょう。

問題なのは、リターンを追求しているはずのアクティブファンドの多くが、インデックスファンドよりリターンをあげれていないという事実です。アクティブファンドの方が手数料が高いのにです。

優良なアクティブファンドは僕が教えて欲しいくらいです。これは上の2つとは違い僕自身も難しい問題と思っています。とりあえずここの結論は、上記事実より、よほど自分なりに納得する理由が無ければ、パッシブファンド(インデックスファンド)を選ぶのが無難だと思うということです。

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